どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

日曜日, 3月 27, 2011

Lady Greensleeves(前編)

「橘花・・・。」

「俺、もう迷わないから・・・。お前の愛情、疑ったりしないから・・・。」

「橘花・・・。」

部屋に鍵はかかっていなかった。
橘花はすやすやと寝息を立てて眠っている。
だが、なんだか部屋の印象が・・・違う。
「なん・・・だ?」

薄暗がりではあったが、目を凝らして周りを見回してみて、左京はぎょっとした。
部屋に・・・物がほとんどなくなっている。
「・・・橘花。起きろ。」

なぜこんなにも整然と部屋が片付けられているのか・・・。
橘花がとても気に入って貰いうけた、クリスが描いた天使の絵すらなくなっている。
橘花は・・・この場所から立ち去ろうとしているのか・・・。
ギルの嫌な予感は、的中していたということだ。
「う・・・ん・・・誰・・・。」

名前を呼ばれ、橘花は目を覚ました。
「・・・左京・・・?」
「・・・橘花、出掛けるぞ。着替えろ。」

「え・・・な・・・なに・・・?」
「いいから着替えろ。なんならそのままでもいいぞ。」

起き抜けの回らない頭で、橘花は必死に考えていた。
まだ夜が明け切らない時間に左京が部屋にやってきて、出掛ける、と言っている。
これは夢か・・・?
「早くしろ。」
「・・・。」

夢かもしれない。
夢でいい。左京に会うのは夢の中だけでいい、と願った自分に、神様が最後の慈悲を与えてくれたのかもしれない。
「・・・左京・・・?」

けれど、やけにリアルな夢だ。
「待って!」

橘花は、これが夢か現実か確かめる為に、左京の後を追った。
「・・・あ・・・。」

一歩、外に足を踏み出し、朝の空気の冷たさを頬で感じると、これは夢などではない、と分かった。
「早く来いよ。」
「・・・。」

左京は車に橘花を乗せ、走り出した。
「・・・どこに・・・行くの?」
「ギターの練習。」

「え・・・?」

左京はそれ以上、何も言わなかった。

ただ、街外れに向かって車を走らせる。

そして辿りついたその場所は・・・。

「・・・橘花、この場所・・・覚えてるか?」
「・・・うん。」

「忘れるはず・・・ない。」

左京と初めて言葉を交わした野外劇場跡。
あの日、左京と出会って、そして自分の運命は変わった。
「あの時も・・・ギターの練習しに来てたんだ。」
「・・・うん。」

「お前のことは、ずいぶん前から気になってたんだ。いつか声をかけようと思ってた。
こんなところまで・・・ライブでもないのに、わざわざ見に来るなんて、熱心だな、と思ってさ。」

「・・・ストーカーみたい、って・・・思ったでしょ?」
「まさか!こんな熱心な子に見て貰えるんなら、もっと頑張って有名にならなきゃな、って思った。」

「左京・・・。」
「たぶん・・・俺はあの時からお前に惹かれてたんだ・・・。」
「え・・・。」

「ずっと・・・お前に見ていて貰いたい、って思った。最初は・・・そうだな。最初は娘みたいな感じだったけど・・・でも、お前が笑ったり、目をキラキラさせて話しかけて来たりするのが、すごく嬉しかった。」
「・・・左京・・・。」

「お前の為に、もっと歌いたい、って思った。」
「ワタシの・・・為に・・・。」
「それから俺が作る歌は、全部、お前のこと頭に思い浮かべながら書いた歌になった。」

「左京・・・。」
「・・・なんか。リクエストないか?」

「リクエスト・・・?」
「なんでもいいぜ。俺の歌でもいいし、なんだって歌えるから。」
「・・・なんでも・・・?」



「左京さーん!」

田吾作は、朝早くからクレメンタイン・ハウスを訪ねて来た。
今日はなにがなんでも、左京を引っ張り出さなければならない。
本番のライブにしか出てこないなど、言語道断である。
「まだ寝てるのかな・・・。」

エントランス付近に誰も人がいないのを確かめて、田吾作は階段を上がった。
「・・・ったく手がかかるんだから。もうっ。」

「左京さーん。」

「左京さーん。・・・あれ?」

しかし、部屋に左京の姿はない。
「いない・・・。」

「・・・どこ行ったんだろ?トイレか?風呂か?」

田吾作は家中、左京の姿を探した。けれど、左京はどこにも見当たらなかった。

「もぉっ!田吾作くんったら、一緒に行くって言ったのに!」

続けて、京子もやってきた。
田吾作が、左京と橘花を引き離そうとすれば、自分が間に入って阻止するつもりでいたのだ。
なのに田吾作は、京子を置いて、一人で家を出たのだ。
「あ。あのー・・・すみません。」
「ん?」

廊下の隅で本棚を物色していたギルを見つけ、京子は声をかけた。
「あの・・・左京くんは・・・?」
「ん?なんか用か?まさか・・・左京のファンじゃあるまいな。」
「ファンといえばファンだけど・・・そうじゃなくて・・・左京くんは・・・いる?」
「・・・さぁ。知らないな。俺、別にあいつの保護者じゃないんで・・・。あんた、誰だ?」

「じゃ・・・橘花ちゃんは?」
「あんた・・・橘花を知ってるのか?誰だ?」
「私・・・左京くんのマネージャーの知り合いで、桐生院京子って言います。」

「ああ!あんたか!ロッタが喜んでた!一緒に服を買いに行って、式にも出てくれるって。」
「あなたが・・・ロッタちゃんの旦那様になるギルくんなの?」
「ああ。そうだ。」

「・・・イケメンね。」
「そうでもないさ。」
「左京くんと橘花ちゃんは・・・?」

「言ったろ?俺はあいつの保護者じゃない。知らないよ。」
「二人で・・・出掛けたの?」
「さぁね。」

「・・・ね、ホントのこと教えて。私・・・別にあの二人の仲を邪魔しようなんて思ってないわ。二人一緒に出掛けたの?」
「邪魔しようなんて思ってないって?」
「・・・ええ。この前、橘花ちゃんと話をしたわ。彼女、自分が左京くんの恋人だなんて言わなかったけど・・・そうなんでしょ?」

ギルは返答に詰まった。
この女・・・確かにロッタから、とても感じのいいお姉さんだ、と聞いていた。
けれど、コイツは左京のマネージャーと繋がっている。
はい、そうですか、と信用するわけにはいかない。
「・・・あんたがそれを知ってどうする?」
「言ったでしょ!二人を結び付けたいの!左京くんは橘花ちゃんと一緒になるべきよ!!」
「・・・なぜ?」

「そうね・・・それは・・・。」
「あっ!京子さん!!」

その時、背後から田吾作が近付いてきた。
家捜ししたが、左京はどこにもいなかった。
あと探す場所は・・・各人のプライベートルームだけだった。
「京子さん・・・来てたんですか・・・。」
「一緒に行く、って言ったでしょ?」
「・・・なんだ?コイツは・・・。」
「彼が・・・左京くんのマネージャーの米沢田吾作。私のフィアンセよ。」

「・・・思い切ったな・・・あんた・・・。」
「そうでもないわ。誠実なの。」
「ふーん・・・。」
「あの・・・。」

「左京さんが・・・どこにもいないんです・・・。」

「ふーん・・・。」
「あなた・・・何か知ってますね?」
「さぁ。」

「左京さんをどこにやったんですか!!出しなさい!今すぐ!!さあっ!!」
「は?何言ってんだ。お前・・・。」

「どこに隠したんですかっ!!その鳥の中ですかぁっ!?」
「・・・隠れるかよ・・・馬鹿か?お前・・・。」

「じゃあどこですかぁーーーっ!!!」
「おっ・・・おいおい・・・。」

いきなり初対面で自分に食って掛かってきた田吾作に、ギルは辟易した。
「・・・なぁ、コイツ・・・あんたのフィアンセだって言ったな?」
「ええ。」
「殴っていいか?」

「そうね・・・。あなたが全力で殴ったら、骨格が変わるかもしれないから・・・軽くならいいわよ。」
「えっ!?きょきょきょ・・・京子さんっ!?」
「・・・冗談よ。」

「とっ・・・とにかく捜索願を・・・。」
「馬鹿か!大の大人が家にいないだけで、何が捜索願だ!!」

「左京さんは普通の人とは違うんですっ!!左京さんに何かあったら・・・世界中の人が悲しむんですよっ!?」
「ああ・・・。確かにそうかもしれない。だが・・・左京自身は生身の人間だ。出掛けたきゃ出掛けるし、メシだって食うし、眠くなりゃ寝る。楽しけりゃ笑うし、悲しけりゃ・・・泣くんだ。」
「ですが・・・。」

「ねぇ、田吾作くん。彼の言う通りよ。あなたが左京くんを縛り付けることで、歌えなくなったらどうするの?」
「え・・・。」

「歌えないだけじゃないわ。息をすることすらままならなくなったら・・・。そうなったらどうするの?あなたが左京くんを殺すのよ?」
「あんた・・・いいこと言うな。」
「え・・・そ・・・そんな・・・。」

「私たちに出来るのは・・・見守ってあげることじゃないの?左京くんは絶対に間違いは犯さないわ。左京くんが決めたことが、もし、彼のミュージシャンとしての生命を脅かすなら・・・その時、守ってあげるのがあなたの役目じゃないの?」
「そ・・・そうでしょうか・・・そうならないように未然に防ぐのが・・・。」

「いい加減にしろ!それ以上言うなら・・・俺が貴様を警察に突き出す。立派な不法侵入だ!」
「え・・・。」

ギルに一喝され、田吾作は黙り込むしかなかった。

「・・・ねぇ、ギルくん・・・。」
「ああ。あんた・・・本当にあの二人のこと・・・。」

「ええ。全面的に応援するわ。・・・二人で出掛けたの?」
「ああ。左京は、絶対に今日、決めてくる。」

「私はあの二人の間に何があったのか知らないけど・・・橘花ちゃん、辛そうな顔してたわ・・・。きっと田吾作くんみたいな考えの人が、大勢いるせいかしらね・・・。」
「いいのか?あんた・・・フィアンセなんだろ?」

「田吾作くんは間違ってるわ!大丈夫!私が彼を説得する!」
「頼もしいな。」
「・・・あ、そうだ。さっき、私がなぜあの二人を結び付けたいのか・・・あなたに聞かれたわよね?」
「うん?・・・そうだ。なぜだ?」

「それはね・・・私が女だからよ!女なら、好きな人の傍にいたい、好きな人のパワーを引き出してあげたい、って思うの、当然でしょ!!」
「なるほど。妙に納得する理由だ。」
「橘花ちゃん、きっと我慢してるのよ。暗い顔して・・・。あんな若くて可愛い子が、人生を諦めたような目をしちゃいけないわ。だから・・・彼女の願いを叶えてあげたいの。」
「同感だ。」

ギルと京子・・・この二人がタッグを組めば、田吾作の思惑など意にも介さない。
京子は、時間をかけてでも、田吾作を説得するつもりだった。
きっと、これからの左京を見れば、彼も反対など出来はしないだろう。そう思っていた。

4 件のコメント:

  1. おはようございます♪

    京子、いい奴ですね!
    すごく頼りになる女性です!

    が、ギルの一言で吹き出しました(笑)
    「・・・思い切ったな・・・あんた・・・。」

    ギルってば真面目な顔して言うんだもの。
    もうおかし過ぎです(笑)

    さあ、いよいよ左京が行動を起こしましたね!
    もっと早く行動を起こしてれば良かったとは思いますが、
    でも私、左京の気持ちが凄くよく分かるんですよ。
    だって真剣に愛すれば愛する程、
    不安にもなるし臆病になって疑ったりもする。
    その不安な思いは、愛情の深さと比例するように強くなると思います。
    人は、愛する人の前では弱くなる生き物ですよね…。
    そう思ったら左京の行動は、当たり前だし、
    そして橘花の思いも又、左京と同じように当たり前だと思います。
    なんだか何言ってるのか分からなくなってますが(笑)

    ようは、二人はおたがいを思い過ぎてると言う事です。
    相手を思うあまり、行動に出れなかったり、身を引いたり…。
    そんな二人の事を思うと切ないです…。

    一日も早く左京が、橘花がいないと生きていけないと…歌えないと…
    その思いが彼女に伝わるよう…祈ってます!

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  2. まことんさん、おはようございます!!

    ギルのあの台詞、自分でも久々のヒットです!!
    でも、田吾作と京子さんのことをよく知らない人から見たら、見た目の釣りあいとか考えても、誰しもそう思うんじゃないかな~って思って(^_^;)ゝ
    京子さんには、田吾作を説得するっていう大役がありますのでね!
    もうちょっと頑張ってもらいます(^-^)

    左京、やっと勝負に出ましたよ~。
    すれ違ってる時って、どうしてもうまくいかなくって、一人で考え込んだり落ち込んだり、相手のことを疑ったりして、どんどん良くない方にいってしまいます。
    橘花も同じ。
    もっとちゃんと、左京の愛情を受け止めてれば、変な考えなんか起こさなかったのかもしれない。
    ずいぶん焦らしに焦らしまくりましたが、ここらで止めとかないと、手遅れになってしまいます(^-^;)

    このあたりの話しって、実は1ヶ月くらい前に、既に下書きは出来てたんですよ。
    なので、やけに気合、入ってます!!
    お楽しみに~(^-^)/・・・とだけ言っておきます。

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  3. こんにちは~♪
    コメントが遅れてしまいすみません;;

    さて…さすが京子さんですね(*^_^*)
    …冗談でも軽くなら殴ってもいいんですかww

    ギルと京子さんのペアは心強いですね~(^v^)
    田吾作なんかに負けないわww


    左京さんもこれからどうするのか…気になりますヽ(^。^)ノ

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  4. こくいさん、こんにちは~!

    あ、全然コメントとか気にしなくっていいですよ~。
    ホントは、ギルにマジで殴って貰おうかとも思いましたが、京子さんの目の前じゃ、出来ませんね(^_^;)ゝ
    田吾作、まだまだ二人の仲を認めるまでには至りません~。
    マネージャーって立場だったら、しょうがないんですけどね。

    左京はやれば出来る子です!!
    ちゃんと決めてくれますよ~♪
    でも、ちょっとコワイかも・・・。
    そのあとは・・・LOVE・・・ですよぉ!!

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