「やぁ!左京。頑張ってくれてるねぇ~。」
「あ・・・社長・・・。」
↑社長役w
「なんなんですか?この集まりはいったい・・・。」
「ま、それは皆が集まってから話そう。ところで・・・。」
「君はそこらの若造と違って分別があるが・・・くれぐれもスキャンダルは起こさないようにしてくれたまえよ!大事な時なんだからな!!」
『・・・ちっ・・・何人も愛人抱えてるてめぇに言われたくねえよ・・・。』
「聞けば、シェア・ハウスとやらに、男女数人で住んでいるそうじゃないか?そんなところは、即刻出たまえ!君ならそんなところで暮らさずとも、いくらでも豪邸に住めるだろうが!」
「俺は好きで住んでるんですよっ。」
「・・・ったく・・・ミュージシャンというヤツは、変わり者が多いな・・・。」
「・・・まぁ、どの道あとわずかだがな。」
「・・・え?」
あとわずかとは・・・いったいどういうことだ?
確かにライブ・ツアーが迫っている。
その間は、ツイン・ブルックで生活出来ない・・・ということなのか?
「よし!みんな揃ったな。・・・左京、さっさと座りたまえ!」
「へいへい。」
集まったのは、本社の幹部連中。
マネージャーの姿は、ここにはない。
おそらく、既に社長から話を聞いているのだろう。
「さて諸君!本日こうやって集まってもらったのは他でもない!我が事務所は、この度業務を拡大し、本社を移すことになった!これは先日の会議で話した通りだ。その移転先が決まったので、ウチの稼ぎ頭の左京にも来て貰った。」
「・・・え・・・?」
「どこですか?」
「聞いて驚くな・・・?・・・ロスだ!!」
「すごいぞ!!」
『本社を・・・移転するだと・・・?』
「もちろん!活動の拠点をすべて移す!事務所も、所属タレントもすべてだ!!」
「移転後は、ミュージシャン部門だけでなく、俳優部門にも力を入れ・・・」
『この街を・・・離れるのか・・・!?』
↑もう話し聞いてない
『なんてことだ・・・。ここから・・・出て行くのか・・・?』
社長の第一声を聞いたあと、左京は周りの音が一切耳に入らなくなった。
レーベル本体をすべて、ツイン・ブルックから移転する・・・。
それは、自分があの家を出て行くということだ。
橘花との思い出が詰まった、懐かしささえ感じるあの家を・・・。
「米沢、左京のことをきっちりマネージメントしてくれたまえよ!」
「はい。もちろんです。社長。」
「あいつは・・・まぁ、年はいってるが、最高のミュージシャンだ。しばらくはあいつに稼いで貰わなきゃならないからな!」
「はい!僕がきっちり目を光らせておきますので!!」
「ふむ。ではツアーのことはすべて米沢に任せて、我々は移転の準備にかかろう!事務所を移転させる物件の辺りはつけてあるからな!」
「はい。社長。」
『橘花・・・お前についてきて欲しい・・・。スキャンダルなんか・・・糞食らえだ!!』
どうしてもこの街を離れなければならないのなら・・・当然、橘花を連れて行く。
最初からそう決めてある。
早く話をしなければ・・・左京は焦りを感じていた。
「フルーツ・パイ・・・誰が作ったんだろう?」
「・・・ん・・・。」
「ん!美味しいっ!!」
「これ・・・食べたことないフルーツだな・・・。なんだろう?」←生命の果実です。
「あー。美味しかった。」
圭介は、飛行機のチケットが取れ次第、出発すると言っていた。
1日に1便ほどしか運行していない場所の為、あと数日はここに留まる、ということだったが、別れの時が近づいてきていた。
「・・・あと1ヶ月ちょっと・・・。ギルとロッタちゃんの結婚式にはなんとか出れそうだが・・・。」
深夜、帰宅すると、橘花の姿はなかった。
帰ってきていない、というわけではなく、自分が事務所に行っている間に、入れ違いに帰ってきて、もう部屋に引き取っているようだった。
「・・・こんな時間に電話が・・・?」
またもや、マネージャーからの電話。
しかし、呼び出しではなかった。
「・・・なんだよ。こんな時間に・・・。・・・は?家にいるよ、今。・・・夜遊びなんかするかよ、バーカ。いちいち電話してくんな。」
「・・・なんなんだ・・・いったい・・・。」
要は、早速、監視されている、ということだったのだが、左京はまだ気付いていない。
「んー・・・ここはちょっと大きすぎるな・・・。」
「こっちは・・・っと。」
「お。これ、なかなかいいな。これにするか。」
とにかく、橘花と二人で過ごしたい。
そして、二人の将来のことを話し合いたい。
左京の頭の中は、そのことでいっぱいだった。
「ギルー。教会、予約取れてよかったねっ!」
「ああ。天気がいいといいがな。」
「しかし、ホントにあそこでいいのか?もっとでかい会場でもよかったんだぜ?」
「ううん。可愛い教会で結婚式するのが夢だったの!あそこがいいのっ!」
「ま、お前がそう言うなら・・・。」
ロッタは、街の小さな教会で式を挙げたい、と言った。
チャールズの墓も無事見つかり、結婚式の日も決まった。
あとは、それを待つだけだ。
「ねぇねぇ、ギルー。」
「なんだ?」
「ドレス選びに行くの。ついてきてー。」
「ドレス?俺、見たって分からんよ。」
「えー・・・一人じゃイヤだー。誰かに見てもらわないと、分かんないもん。」
『・・・可愛い・・・。』
「俺ぁ、そういうの、マジで分からんからさ・・・あ、橘花に行ってもらえばいいじゃないか。」
「ん?橘花?」
「そういうの、女同士の方がいいんじゃないか?」
「そっかぁ。・・・うん!それがいいねっ♪そうする!」
「俺はさ!当日の楽しみにとっとくよ。うんと可愛いの、選んでこいよ?」
「んふ。うん。」
「・・・ねぇ、ギル。早く赤ちゃん、欲しいなー。」
「うん。ここまで来たら、もう避妊する必要もないな・・・。」
「・・・な、ロッタ・・・。」
「・・・うん。」
「・・・ってダニエル・・・いつからそこにいる。何してる。」
「んー・・・研究資料読んでる。」
「・・・空気読め。このタコ。」
「俺だけじゃないし。」
「ん~・・・読みかけの本がね。」←圭介
「・・・(萎えちまったぜ・・・。)」
今から一戦交えようとしていたが、こうも人目が多くては、その気も失せる。
この雰囲気では、ロッタに、部屋へ行こうか、とも言えなかった。
「左京、いろいろと世話になったな。」
「飛行機のチケット・・・取れたんですか?」
「ああ!明日、発つ。」
「そうか・・・寂しくなりますね。」
「ま、思いのほか長い滞在になってしまったからなぁ。」
出発前夜、圭介はもう一度左京と話をしてみよう、と思った。
あの時、橘花が泣き出した、その原因がつかめるかもしれない。
「・・・あ、そうだ。僕、この前君に、橘花の助けになってくれって頼んだけど・・・。」
「・・・はい。」
「あの言葉は撤回するよ。」
「えっ!?なぜです!?」
「橘花は一人でなんとかするさ。」
「・・・俺の助けはいらないって・・・橘花ちゃんがそう言ったんですか・・・?」
「(・・・あれ?・・・違うな・・・)いや、そうじゃない。橘花はそんなこと言わないさ。」
「じゃ・・・なぜ!?」
左京の今の態度を見て、圭介は地雷を踏んだ気分になっていた。
もしかすると・・・左京が一時的な気の迷いで橘花を誘ったのか、とか自分の立場を考えて、橘花を遠ざけようとしているのか、とか推測していたのだが、どちらも外れだ。
「・・・いいですよ。圭介さんに頼まれなくったって、彼女がそれを求めなくったって・・・俺は助けたいと思ってますから・・・。」
「あ・・・まぁ・・・君がそう言ってくれるんなら、これほど心強いことはないんだけども・・・。」
しまった・・・と思った。
今の言葉で、左京が、橘花を愛しているということを知ってしまった。
それを自分の浅はかな引っ掛けで、確かめることになってしまった・・・と圭介は臍をかんだ。
「・・・君は・・・まもなくツアーに出るそうだね?」
「はい。・・・あ、それでですか?傍にいられないから、助けてあげられないと?」
「いや・・・うん・・・。」
「大丈夫です!俺はずっと、彼女の傍にいますよ!」
「あ・・・そう?」
さりげなく話題を変えたつもりだったが、更に大きな地雷を踏んだかもしれない。
「・・・あ、そうだ。今度の取材旅行が終わったら、カスケード・ショアーズに戻るから、一度遊びに来るといいよ。」
「ホントですか!?キレイな街なんですよね?海があるんでしょ?」
「ああ!灯台があってさ、ウチは高台にあるから、そこからの景色は最高だよ!」
「俺、海の側で生まれて育ったから、この街はちょっと物足りないんですよね~。」
「サンセット・バレーかい?あそこほど都会じゃないけど、気が向いたら・・・。」
「ぜひ!」
『・・・おかしいな・・・。だったらなんで、橘花はあんな寂しそうな顔してるんだ・・・?』
『・・・あっ・・・しまった・・・ここで『娘さんをください』って展開になったら・・・どうやって逃げよう・・・。』
・・・と、圭介は危惧し、内心ハラハラしていたのだが、左京は、それ以上は何も言わなかった。
「・・・お元気で。身体壊さないように気をつけてください。」
「うん。・・・ありがとう。」
こうして・・・圭介はクレメンタイン・シェア・ハウスから、次の取材地へと旅立って行った。
胸にわだかまる小さな不安の芽を抱えたまま・・・。
パパとはいったんここでお別れです。
ありがとう!圭介パパ!
あなたのおかげで、楽しい日々でした・・・(/_<。)
んむむ・・・。ひそかに時間は流れていきますね。
返信削除お宝を発見したあと、その後どうするか。
きっかちゃん自身の人生が待っている訳ですが、
おっかけしてた左京と恋愛関係になれて晴れてHAPPY!
のような気もしますが、両手話で左京の胸に飛び込む事は出来ないんですかね?
ツアーで離れ離れに?きっかちゃん着いて行くの?
左京を選べば着いて行くしかないし、行きたくなかったら遠距離かお別れだし、
気持ちが難しいですねぇ~・・・。
この間の通りすがりの人さん、こんばんは!
返信削除ふむ~・・・難しいのですよ。
本当は、左京と恋人同士になれて嬉しいはずなのに、いろんなことを考えてしまってるんです。
あのまま、左京とゴールイン・・・だと、話し、終わってたんですけどね(笑)
長年、左京のおっかけをやりすぎてて、どうしても頭の中から、「ロック・スター 佐土原左京」っていう存在を消せない。
今、自分が抱かれてるのは、「ロック・スターの左京」なのか、生身の左京なのか分からなくなったりして。(余計訳わかんないですね・・・すみません・・・。)
さて。
着いて行くのか行かないのか。
どっちでもない、と言っておきましょう。
それは、ひ・み・つ♡