「・・・ああ。ギル、おはよう・・・。」
「・・・どうした?また・・・情けない顔してるな・・・。」
「ああ・・・。昨夜、宗太とちょっとやりあっちゃって・・・。」
「坊ちゃんと?珍しいな・・・。どうした?」
「いや・・・。」
「・・・橘花のこと・・・か?」
「・・・ああ。」
左京と宗太が対立するのならば、原因はそれしかないであろう。
しかも宗太はあの時、左京に知られても構わない、と言った。
それで左京とやりあったのかもしれない。
「何を言われた?」
「・・・。」
「橘花に迫った、とでも言われたか?」
「ギル!お前・・・なんで知って・・・。」
やはりその通りだった。
そんなことを言えば、左京との関係がどうなるかくらい、分からない年ではないだろう。
・・・いや、同じ女性を好きになった時点で、どちらに転ぼうとも、二人の関係が崩壊することは、目に見えていた。
だから左京は、橘花とのことをひた隠しにしていたのだ。
「俺・・・現場に踏み込んだんだ。」
「え・・・。き・・・橘花は・・・。」
「・・・すまん。もっと早く気付けばよかった・・・。」
「まさか・・・。」
宗太は、途中で邪魔が入った、とは言っていたが、その時、橘花がどうなっていたのか、宗太がどこまで橘花を追い詰めたのかは言わなかった。
ただ、『抱いた』と言っただけだ。
「あ・・・あいつ・・・抱いた、なんて言ってたけど・・・。」
「安心しろ。そいつはハッタリだ。橘花はちゃんと、服は着てた。」
「あ・・・。」
「・・・いや。安心しろ、というのは間違ってるな・・・。あいつ・・・泣いてた。」
「え・・・。」
「あのガキ・・・何考えてやがるんだっ!」
「泣いてた・・・か・・・。」
「それから顔見てないが・・・お前、見たか?」
「いや・・・寝顔・・・だけ。」
「お前・・・気持ちは分かるが、お前がそんな辛気臭い顔して、どうする?」
「ん・・・橘花がどんなに傷ついてるかって思うと・・・。」
「・・・俺・・・宗太がそんなことするなんて、思ってもみなかった・・・。橘花の助けになりたいって思ってるのに・・・思ってるだけじゃ・・・。」
「左京。」
「自分を責めるな、と、こないだも言ったはずだ。」
「けど・・・。」
「お前がそんなことぐじぐじ悩んで、橘花が救われるとでも思ってるのか?」
「・・・俺は無力だ・・・。あいつに・・・何もしてやれない!」
「左京・・・何もしてやれないなんてことはないだろう?今、お前が出来る精一杯のことをしてやればいい。」
「出来る・・・精一杯のこと・・・?」
「・・・左京。もういいだろう。」
「え・・・。」
そう言って、ギルはにっこりと笑った。
もう、この家の住人は皆、左京と橘花の関係に気付いている。
「誰憚ることなく、橘花のことを抱き締めてやれ!」
「・・・ギル・・・。」
「それなら・・・出来るだろう?」
「ギル・・・俺・・・。」
「左京・・・。」
「・・・あ・・・。」
「お前のその、ちっこい身体に詰まった、ありったけの愛情を、あいつに注いでやれ!」
「う・・・ちっこいは余計だ・・・。」
「はは。悪い。けど・・・ちっとは元気、出たか?」
「ああ・・・。」
「ありがとう・・・ギル。」
「持つべきものは、でっかい親友だろ?」
「ははっ。自分で言うか!」
「ふっ。やっと笑ったな。」
「ん。」
「よし!それでいい。」
↑可愛い♡
「ちゃんと笑って、しっかり橘花を抱き締めてやれ!」「ああ!」
「坊ちゃんのことは・・・時間が解決してくれるのを待つんだな。お前がしっかり橘花のことを抱き締めてれば、嫌でも諦めがつくだろう。何年でも待ってやれよ。」
「あ・・・。」
「・・・そう・・・だな・・・。」
『・・・しまった・・・最後に余計なこと言っちまった・・・。』
せっかく左京の笑顔を見ることが出来たのに、また沈鬱な面持ちに変わっていく。
『宗太・・・。・・・分かってくれる日が・・・くるんだろうか・・・?』
宗太がまた、自分に話しかけてくれるまで、いったいどのくらいかかるだろう。
左京は、宗太を一人前の大人として扱ってきた。
ただ、それは、宗太を見放しているということではない。
対等な男同士として、宗太の人格を尊重してきた結果だった。
だが、昨夜、宗太が自分にぶつけてきた言葉はすべて、『親』としての自分に対する、子供らしい甘えやわがままだった。
自分は、宗太に対する接し方を間違っていたのだろうか・・・。
『左京・・・元気を出せ・・・。逆風に負けるな!』
そうやってエールを送ることしか出来ない。
それが今、自分に出来る精一杯のことだ・・・とギルは思っていた。
「橘花ー。・・・あ、だいぶ腫れ、引いたね。」
「うん。」
「まだ痛い?」
「もう痛くないよ。大丈夫。」
「お化粧すれば隠れるよねっ。」
「うん。」
「・・・ね、買い物、行かない?いろいろ揃えなくちゃいけないものがあるんだー。」
「ギルは?」
「だってぇ・・・ビスチェとかガーターとかストッキング買いたいんだもん~。橘花の方がいいの。」
「ん・・・ゴメン。あんまり外、出たくないんだ。」
「橘花・・・。」
「・・・ゴメンね。今は・・・無理なの・・・。」
そうやって寂しげにちょっと目を伏せる橘花を見ると、ロッタも寂しくなった。
「じゃ、あたしもやーめたっと!」
「え・・・?」
「橘花と一緒に行きたいんだもん。橘花が元気になるまで、待つよ!!」
「ロッタ・・・。」
『橘花が悲しそうな顔してるとつまんない・・・。最近、ずっとそうなんだもん・・・。』
『早く元気にならないかなー。』
ロッタはまた、ロッタなりに、橘花を気遣っていた。
ギルから、橘花の顔の傷については何があったのかは聞いていたので、元気付けてあげたい、と思うのだ。
しかし、橘花は乗ってこない。
いつかもこんなことがあった。あの時は、二人で踊って憂さを晴らした。
その時よりも、橘花にはもっともっと大きな、気がかりなことがあるのだ、ということだけは分かった。
「・・・あ、橘花。」
左京は、橘花と話すチャンスを伺っていた。
橘花はずっと部屋に閉じ篭っていて、食事の時くらいしか顔を出さないのだ。
「橘花、ちょっと・・・。おいで。ここ、座って。」
たまたま橘花が通りかかったので、左京は声をかけた。
でないと、今度、いつチャンスがくるか分からない。
「・・・左京・・・。」
「・・・おいで。」
橘花は、その言葉に素直に従った。
『・・・よかった・・・断られなくて・・・。』
「・・・あのさ・・・。」
しかし、何を聞こうか、何から話そうか、と言葉を捜し、左京は言葉に詰まった。
・・・いや、まず順序立てて話さなければいけない。
そもそも自分は、何を橘花に伝えたかったのか・・・。
「俺・・・。」
「・・・ん?」
「俺さ・・・今度のツアーが終わったら・・・。」
しかしその時、軽快な音楽が鳴り始め、左京の言葉をかき消した。
「・・・ロッタちゃん・・・そこで踊るの・・・やめてくれないか?」
「だってここしかステレオ、ないんだもーん。」
「・・・左京、ワタシ、部屋に戻るね。」
「あ・・・。」
「橘花・・・。」
『・・・この子に・・・空気読めってのは無理か・・・。』
「ふんふ~ん♪」
「ロッタちゃん・・・。」
「二人とも、つまんなそうな顔してるんだもん。元気出るかな~って思って。」
「・・・時と場合によるんだよ・・・。」
いつになったらきちんと橘花と向かい合えるのだろう。
やはり、共有スペースで話をするのは難しい。
ならば、部屋で二人きりになるしかない。
左京は、橘花の後を追った。
関係ないんですが、ウチの会社にはワタシと同じ苗字の人がもう一人いて、
ワタシは時たま、『ちっさい○○さん』と呼ばれています。
いや・・・ワタシ、別にちっさくないのですが、もう一人の方が大きいので・・・。
そちらは、『でっかい○○さん』と呼ばれるわけなんですが・・・女性なのに『でっかい』って呼ばれるの、どうなのよ!?
遠慮のない会社である・・・。
ギルと左京も、そんな感じで。
yuzuさん、こんばんは!
返信削除地震の後は気持ちが沈みがちになっていたのですが、
昨日ぐらいからまたパソコンを開いてます!
といっても、節電・停電の中ですので、
前のように頻繁ではないんですけどね。
遊びにきたらお話しが進んでいて嬉しかったです♪
圭介パパはついに気付きましたね~
娘と左京の関係に気付いてからは色々理解するのが早かった!
さすが圭介パパ~
橘花への思い溢れる言葉にジーンとしちゃいました:;
橘花は何も悪いことをしていないのに、
どんどん深くて暗い所へ1人で行ってしまってますよね・・・
パパが行った通り左京が手を握ってくれたら・・・それを離しちゃダメだよ><
宗太は・・ついに・・・欲望のままに行動しちゃいましたね。
怖かっただろうな、橘花:;
相手の事を考えられる大人にならなきゃ!
けっこう難しいことですけどね。
でも女の子を泣かすような男になっちゃダメだぁ!!
yusuさん、私最近、ギルに夢中です><
だってカッコイイだもん(笑)
余裕のある男ってカンジで、みんなの良き相談相手!
やっぱりカッコいい♪
ご報告↓
こんな時ですがこんな時だからこそ繋がりを求めて、ツイッター始めました^^
まことんさんの所でyuzuさん発見!
後程フォローさせて頂きたいと思っていますm(__)m
Naonさん、こんばんは!
返信削除計画停電とか節電とかだと、やっぱりパソコンつけっぱなしというのは気になりますものね・・・。
たま~に覗いてくださるだけでありがたいんですよ~(>_<。)
でも、こうやって覗いてくださった方のためにも、更新はせっせとやってます。
ちょっとでも楽しんでもらえたらいいな、という気持ちです。
さすがのパパも、自分の娘のことには、ギリギリまで気付きませんでした。
墓探し、って一大イベントがあった時だったし、そっちにばかり気を取られていて、気付くのが遅くなってしまって、気付いた時にはもう、自分は行かなきゃならなくって・・・。
だから橘花に、精一杯の言葉を送ったんです。
迷って、一歩踏み出せない時は、止まってもいいんだよ、って。
で、その頼りになるパパがいなくなってしまったので、ギルの出番なんですよ(^-^)
左京は、橘花のことであれこれ思い悩んでるし、ダニエルと宗太はあんなんだし(笑)
前から、ダニエルや宗太に対しては、頼りになる兄貴的存在だったんですが、ここ最近はずっと、左京のことを気遣ってあげてます。
結婚も決めちゃったし、余裕です♪
宗太がちょっとおかしくなってるんですけど、これはきっと、ダニエルがなんとかしてくれます!
ダニエルにも心境の変化が訪れてますので。
左京と宗太は、実際に喧嘩させちゃったので、今、ゲームの中でも険悪・・・というか、お互い避けあってるんですけど、宗太が冷静になってちゃんと考えれば理解するはずです。
今は、橘花への気持ちが優先しちゃってますけど、それはやっぱり、まだ若いから。
若さというのは、時に暴走してとんでもないことになりますからね。
あ!ツイッター、始めるんですか!!
ワタシのアカウントは、別にシムズ用でもなく、あんまり呟いたりしないんですが、ぜひぜひ~!
お話しましょう♪
来るものは拒まない体質(?)なので、いつでもどうぞ~♪