「この辺りかなぁ・・・。」
とにかく掘ってみることしか、橘花には思いつかなかった。
「・・・こうしてみると、この家って広いんだもん・・・。」
しかし、こうやって掘っていれば、なにか感触があれば、すぐに分かる。
「ここはどうかな?」
裏庭にいくつも穴を掘ってみて、その感覚をつかんでいた。
「・・・違う・・・。ここじゃないような気がする・・・。」
1日にこうやって掘れるのは、1箇所か、せいぜい2箇所。
「でも・・・。」
途中で掘るのを止めてしまうことは出来なかった。
もしこの場所だったら・・・と思うのだ。
もうちょっと掘れば、なにかにぶつかるかもしれない・・・そう思うと、完全に何もない、と確認出来るまで、掘るのをやめることは出来なかった。
「あっ。ねぇねぇ、左京。聞いて!」
「ん?」
「あのねーあのねー、ギルがねー・・・。」
「プロポーズしてくれたのっ!」
「そうか!ギルの方からしてくれたんだ。よかったじゃないか。おめでとう。」
「えへ。ありがと。」
「・・・んー・・・。」
「ん?」
「左京・・・なんか元気ないねー。」
「そうか?普通だよ?」
マネージャーから、全国ツアーの話を聞かされ、左京は戸惑っていた。
正直、曲がそんなに売れているという実感はなかったし、ライブをやれば客は入るが、地方で知られているだけで、全国でツアーが出来るほど大物ではない、と思っていたのだ。
「・・・ホントに1位だ・・・。」
「・・・ちっ・・・。面倒くせ・・・。」
自分のことより、今は橘花の墓探しの方が大切だ。
しかし、全国ツアーの話を断るわけにはいかないことも分かっている。
『橘花・・・。俺・・・どうしたらいい・・・?』
今から打ち合わせやリハーサルを重ね、準備をして、2ヵ月後には出発する。
それから3ヶ月間、各地を回らなければならない。
家にいられる時間も少なくなるだろうし、ツアーに出れば、ツイン・ブルックにしょちゅう戻ってくるわけにもいかない。
『・・・一緒に行こうって言ったら・・・どんな顔するだろうか・・・。』
ついて来て欲しい。
切実にそう思う。
しかし、そうする為には乗り越えなければならない問題が山積みであることも事実だった。
「・・・ここも違うっぽい・・・。」
「やんなっちゃうな。もう・・・。」
もう、何箇所掘っただろうか。
とにかくプールを中心に、あちこち掘り続けていたが、それらしい手応えがいっさいないのだ。
けれど、必ずどこかにチャールズの墓はある。
それを信じることだけが、橘花の気力を支えていた。
「ん~・・・料理でもして、気分転換しよっと。」
暗くなったら手を止めるように、と圭介から厳命されている。
掘削機の音が大きくて、近所迷惑にもなるし、やるときはやる、休む時は休む、とメリハリをつけなければ、身体が参ってしまうことを、圭介は心配していた。
「よっ・・・と。」
「ふふっ。ワタシの料理の腕も上がったもんだわ。焦がしてばっかりだったのがウソみたい。」
「よしっ。上出来!」
食事をして、きちんと睡眠も取る。
だが、極力他のことはやらずに、墓探しに没頭していた。
「・・・あれ?これ・・・君が作ったの?」
「うん。」
「食べていい?」
「どうぞ-。」
「橘花が作ったパンケーキ・・・。」
「・・・ん。いい匂いだ・・・。」
「・・・うまい・・・。」
↑たわいもない男である。
「橘花・・・俺が作ったパンケーキの味が好きだ、なんて言ってたけど・・・。」
母親が最高の食材を使って作ったものよりも、自分の好みに合わせて自分で作ったものよりも、橘花が作ったパンケーキが、この上なく極上の味に感じられた。
そんな日々を繰り返していたある日のこと・・・
その日は晴天で、朝の冷えた空気で空が澄み渡り、キラキラと輝くような日差しが降り注いでいた。
「今日はここっ!」
掘削機をセットし、いつものように掘り始めた。
「・・・あれ?なんか引っかかった・・・?」
いつものように掘り進めようとしていたが・・・掘削機を始動させてすぐに、ドリルの先がなにかに当たった感触がした。
「・・・なに・・・?」
また、いつものように大きな石にでも当たったか、と思ったのだが・・・。
「・・・違う・・・。」
「これ・・・。」
「・・・なんだろう・・・?」
胸がざわつく。
この下に・・・
間違いなく何かある。
「左京に・・・。」
圭介でも、エリックでもなく、橘花は無意識のうちに、左京に知らせなくてはならない、と思った。
なぜなのかは分からない。
だが、誰よりも一番最初に、左京に教えたかった。
おまけ。
こんな大事な撮影シーンの時にお客さん!?
「君・・・帰ってくんないかな・・・。」
「なによぉ。みんな自立オフになっててかわいそうだから来てやったんじゃない。」
↑NPCのソフィア・カールトンさん
この日撮ったヤツは、まるっと没にしました・・・。
掘削機の場所も違うし。
こんばんわ♪
返信削除お?いよいよ何か見つけたのかな?
胸がざわつくって事はそうですよね!
そっか…左京に知らせたいか…。
橘花…それはね、愛だよ、愛。
そうやって父親よりも愛する男の名が一番にあがるんですね。
そう考えると父親の役目も悲しいものがありますね(笑)
そして左京もそう思ってますよね。
母親が作った料理よりも橘花が作った料理が美味しい(極上)って思ってる。
なんだかいいですね。
父親や母親にとっては淋しい事だけど、
人はそうやって家族以外の人間を愛することを覚え、
親元から離れていくんだな~。
橘花も左京もタイミングなんだと思います。
たまたまこのタイミングに二人が出会い、惹かれ、
相手を思いやる。
それってやっぱり運命なのかな…。
なんだかそう思います♪
とか変な事ばっか言ってますが、なんかほっこりしたんですよ(笑)
たぶん、左京が橘花の料理を極上って思ったところから
そう思っちゃったんだな~これが(笑)
明日は旅行に旅立ちます。
と言いましても近場ですけど。
久しぶりに温泉に入ってのんびりしてきま~す♪
まことんさん、こんばんはー!
返信削除温泉!!いいなぁ~。
温泉なんて、何年も行ってないわ・・・。
リフレッシュしてきてくださいね!!
さて、話はいよいよ大詰めです!
・・・と言っても、まだまだ続くんですが・・・(^_^;)ゝ
とうとう見つけましたよー!
ここからしばらく、探検みたいになります。
愛・・・ですよね。
気づかってくれてたのは圭介も同じなんだけど、やっぱり左京に知らせたい。
そう思ってしまったんですよ。
どうあっても惹かれあってるんですよ。この二人。
最後はちゃんとハッピーエンドにしますが、そこに行き着くまでにまだ長い道程があります。
お互いのことをまず一番に考えてしまうのは、左京も橘花も同じ。
でも、だから苦しむんですよね~。
まずは墓を探さなくっちゃ!
それが終わったら、じっくり相手のことを考え始めます。
・・・というか、橘花は、間違った道だけど、もう考え終わってて、この先どうするか決めてます。
なんだか衝動みたいに始まった恋だけど、熟すのに時間がかからなかった分、苦しんで貰いましょ。
一つ一つ片付けていって、そしたら何か見えてくるはずですもんね。
のんびりしてきてくださいね!!
ワタシはその間もガツガツ更新しときます!!(^-^;)
こんばんは☆
返信削除私もまことんさんと同じで左京が橘花の作った食事が何よりも美味しいと思ったことに感動しました!
母親の味を超えるのって大変なんですよ・・
橘花、左京に愛されてますね。
いいな~(笑)羨ましすぎる(笑)
私的には左京が食事している後ろでロッタが踊ってるのが可愛かったです♪
ギルからのプロボーズ嬉しかったんだなぁ~
なんて思っちゃいました^^
Naonさん、こんばんはー!
返信削除左京のお母さんであるヒイナさんは、すっごく料理がうまくって、ガーデニングスキルも一流だったので、左京はいっつも美味しいものを食べさせてもらってたんですよ。
橘花は料理が苦手なので、たぶん、そんなに美味しくはないんです。
でも、左京にとっては橘花の手で作られたものが、最高の味に感じられたんです。
やっぱり愛ですよ。愛(^-^*)
ロッタちゃんは、嬉しくて嬉しくて溜まらないんですよね~。
今、橘花が大変な時なんで、ギルに、「あんまりはしゃぐな」って釘刺されてるんですけど、嬉しくて、つい踊っちゃう♪
これも愛です!\(∇≦\)