どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

月曜日, 2月 28, 2011

君を守りたい

「きーーーっか!!いくらこの家にあるって分かったからって、そんなに闇雲に掘るもんじゃないよ!」
「だって・・・。」

「見なさい。庭が・・・

「穴だらけで歩けなくなるよ。」
「うん・・・。そうね・・・。」
「どうすんだよ、これ。」
「うん。ダニエルか宗太くんに頼んで埋めて貰うわ。」
『・・・こいつ、オトコ利用するのうまいな・・・。』

墓はこの家にある。
それが分かって、橘花は嬉しかった。
だが、まだ、それらしきものが見つからない。
「まぁ、待てって。エリックのヤツを呼び寄せよう。」
「でも・・・エリックにも場所は分からないんじゃない?」

「うん。あいつが知ってるわけじゃない。」
「でも・・・じゃあ呼んでどうするの?」
「設計図を持ってきて貰う。」
「設計図?家の?」

「そ!」
「でも・・・設計図に載ってるんだったら、エリックは気がついてるはずじゃない。」
「もちろん墓がある場所が載ってるわけじゃないさ。」
「だったら・・・。」
「持ってきてもらうのは、今のこの家の設計図だけじゃない。この家は、何回か建て直してるんだろ?だったら、昔の・・・チャールズ・クレメンタインが暮らしていた家の設計図を見てみれば、なんか手掛かりがあるんじゃないか?」

「そんな古い図面・・・あるのかなぁ。」
「橘花。アーネストは・・・設計士だったんだよ?」
「あ・・・。」

そうだ。
アーネストは、街の開発の為、設計を学んでいた。
もちろん、チャールズが建てた家は、アーネストが設計したわけではない。
しかし、この家になんらかの仕掛けを施したのがアーネストなら、その図面は存在するはずだ。
そして、アーネストの家系に連なる、エヴァンス一族が、その図面を保存していないはずがない。

「な、左京。こないだの話なんだけどさ。」
「うん?」

「宗太の与太話!」
「ああ。空想癖が強いってヤツ?」
「それそれ!」

「あの時さ、宗太、なんて言ったと思う?」
「ん?さぁ・・・。」

「橘花とお前がさ・・・。」
「俺と?橘花ちゃん?」
「・・・電話、出なくていいの?」

「ん。ちょっと失礼。」

「はい。佐土原・・・。」
「続きはまた今度な!」

「・・・なんだ。まーたお前か!お前の専用回線じゃねえんだよ、米沢っ!!・・・ご機嫌伺いなんかいいんだよっ!・・・わーかったからっ!明日な、明日!」

「・・・ったく・・・。こいつ、仕事出来るのか出来ねえのか分かんねえな・・・。」

「・・・ふ・・・。けど今回だけは礼を言ってやるか・・・。」

いつものマネージャーからの電話に、今回ばかりは救われた。
さっき・・・ダニエルが言いかけてたこと・・・。
『宗太に・・・聞いたのか・・・。』

もし、電話が鳴らず、あのままダニエルに問い詰められていたら、自分はなんと返事をしただろうか?
正直に打ち明けただろうか?
『・・・いや、おそらく・・・。』

シラを切りとおすに違いない。
橘花とのことが本当だ、と発覚すれば、ダニエルも、そして宗太も、今までのように自分に接してくれなくなるのは分かっている。

自分たちの恋は、誰からも歓迎されない。

そういえば・・・ギルはロッタにプロポーズ出来たのだろうか?
いや、ロッタから逆にプロポーズしたかも知れない。
誰からも祝福される愛。
それがとてつもなく羨ましくなった。

『・・・イヤな男だな・・・。俺。』

だから橘花は制止するのだろう、と思った。
激情に駆られ、彼女を抱き締めようとする自分を、そう言って押し留め・・・
『・・・俺・・・橘花に守られてる・・・?』

情けなかった。
本当は、守ってやらなければならないのは自分なのに、欲望に勝てなくなる自分が、心底情けなかった。

「あ!おじさん!おじさん!」
「(・・・こいつまで・・・)・・・なんだい?」

「出たらしいですね!例の幽霊!!」
「ああ!この家にきっとあるぞ~。」

「墓!!」
「お宝!!」

「・・・なんだ、なんだ。君は金目当てかい?」
「だって!!エリックが言ってたじゃん!莫大な遺産が眠ってるって!!」

「そりゃそうかもしれないが・・・別に君のものじゃないだろ?」
「けど・・・あ!そうだ!俺が橘花と結婚すれば、遺産は俺のものっ!!」
「おいおい・・・。」

「お義父さんと呼ばせてくださいっ!!お義父さんっ!!」
「・・・橘花はそういうの、好まないと思うな~。」

「え?」
「あいつそういう即物的なのキライだから、ギラギラしてるヤツはキライだろうな。君みたいな。」←おじさんって言われた仕返し。

「あ・・・そう・・・なんだ・・・。」
「・・・ま、あいつ、今は恋愛どころじゃないだろ。焚きつけたのは君だけど、なんか、こう・・・。」

・・・どうしてこんな時にうまい言葉が見つからないのだろう。
仮にも物書きで生計を立てているというのに、作家として失格だな、と圭介は黙り込んだ。
『なんだろう・・・生き急いでる・・・っていうのが一番ぴったりくる表現かもしれないな・・・。』

『思い詰めてる・・・そんな感じがする。』
「・・・お義父さん?お義父さんったら!」
『・・・ま、こいつに言っても分かりゃしないだろうけど・・・。』

どいつもこいつも、『お義父さん』と呼ばせるには決め手に欠ける・・・となぜか品定めをしてしまっている圭介であった。


そして・・・

「やぁやぁ。みんな、元気かな?」

エリックがやってきた。







いや・・・なんでいきなりこんなメルヘンチックなタイトルに・・・
思い浮かばなかったんです・・・。


今回、お笑いがなくってつまらないので、おまけ。

日曜日, 2月 27, 2011

小さな波紋

「あれ?見たことない幽霊だな・・・。」

「誰だ?そこらへんの浮遊霊が紛れ込んできたか?ロッタに退治して・・・。」

「いや・・・待て・・・こいつぁひょっとして・・・。」

ギルが朝目覚めると、チャールズの霊がそこに座っていた。
朝・・・といってもまだ夜も明けきらぬ時間・・・。
「誰かに・・・いや、こんな時間じゃ、まだ誰も起きてない・・・。」

チャールズの霊はしばらくそこに居たが・・・夜が明けるとやがて消えた。

「お!左京!!起きてたか!ちょっと聞いてくれ!」
「ん?」
「・・・ん?顔色悪いぞ?お前・・・。」
「うん・・・。あんま寝てなくて・・・。」
「大丈夫か?」
「ああ・・・。で?何?」
「・・・ああ!俺、見たぞ!!」

左京は昨夜、橘花の部屋に忍んで行こうとして、チャールズの霊に会い、驚いて引き返したのだった。
それであまり眠れていない。
頭がぼんやりする。
「見た?なに?」
「あいつだよ!チャールズ・クレメンタイン!!」
「え・・・。」
「チャールズの幽霊だ!」
「あ・・・俺も昨夜・・・見た。」
「どこで?」

「えっと・・・橘花の部屋の・・・前。」
「(・・・こいつ、夜這いしようとしてたな・・・)俺もだ。テレビの前の椅子に座ってた。」
「やっぱり・・・。俺、幻覚じゃないかと思ってたんだけど・・・。」
「いや、確かにいた。あいつの霊が出るってことは・・・。」
「・・・墓はこの家のどこかにある・・・。」

「・・・ということだ。」
「ギル、橘花に教えてやってくれ。あいつ、ヒントを欲しがってた。」
「いや。お前が教えてやれ。」
「え・・・。俺が?」

ついでにちゃんと橘花を抱き締めて来い、とギルは言いたかった。
左京と橘花の仲が、今どんな状態にあるのかは知らないが、これは間違いなく恋煩いの顔だ。

「橘花、ちょっといい?」
「ん?」

二階で一人、遊んでいた橘花を、左京は呼び止めた。
本当なら、この役はギルに譲りたかった。
橘花の部屋に忍んで行こう、としていたことに多少の罪悪感を感じていたし、彼女とこうやって二人・・・周りに誰もいない状態になると、どうしても触れ合いたい気持ちが抑えられなくなるからだ。
「あのさ・・・俺、昨夜、見たんだ。」
「ん?」
「チャールズ・クレメンタインの幽霊。」

「え・・・ウソっ!?」
「ホント。」
「どこでっ!?」

「・・・君の部屋の前・・・。ギルも見た、ってさっき言ってたんだ。」
「ホントに!?じゃ・・・やっぱりお墓はこの家のどこかにあるんだ!!」
「そういうことだ。」

「嬉しいっ!!絶対見つけるわ!!」
「橘花・・・。」

急に橘花が飛びついてきたので、左京の心臓はメーターを振り切りそうになった。
「橘花・・・。」

そして、ここぞとばかりに、彼女の身体を強く抱き締めた。
柔らかな胸のふくらみ、しなやかな腰、橘花のシャンプーの香り・・・。
『・・・離したくない・・・このまま・・・。』

「・・・あ・・・。ゴメンなさい・・・。」
『・・・ちっ。もうおしまいかよ・・・。』

橘花が我に返って、身体を離した。
ぬくもりがまだ、手のひらに残っている。
「ワタシ、パパに報告してくるね!」
「あ・・・ああ。」

↑左京、作り笑顔コワいんですけど・・・。
そう言って橘花は駆け出して行った。

『ふむ・・・。』

『・・・勃ってしまったんだが・・・どうする、この始末・・・。』

こうやって感情に抑止力が働かなくなるから・・・だからギルに頼もうとしたというのに。

「宗太~。まーた発散か?一人部屋になったんだから、ベッドで発散し放題だろ?」
「あ、ダニエルさん・・・あの・・・あのさ・・・。」
「なんだ?」

宗太は、ダニエルにすべて話そうとしていた。
しかし、いざ話そうとすると、なんとなく言葉が出てこない。
「えーっと・・・。」
「なんだよ。俺、忙しいんだよ。」

「なにが忙しいだよ。自分から話し掛けてきたんじゃん。」
「え?あ・・・そうか。」
「・・・変な薬とかやってないよね・・・。」
「やるか。バカ。」

ダニエルと話していると、バカバカしくって面白くて、だから宗太は、左京が橘花に何をしたのか話すのを一瞬ためらった。
しかし・・・
「ダニエルさん・・・ボクさ、ダニエルさんに黙ってたことがあるんだ・・・。」
「ん?なんだ?隠し事は苦しいぞ~。お兄さんに打ち明けてみなって!」

「・・・あのさ・・・お父さんが・・・。」
「うん?」

「橘花さんにキスしてたんだ・・・。」

↑タイさん・・・
「はぁ?お前、なに言ってんの?左京がそんなことするか!バーカっ!」
「ホントだよ!!」
「見たのか?お前。」

「う・・・いや・・・ロッタさんに聞いたんだけど・・・。」
「なーんだ!やっぱり!ちょっと仲良くしてたのを、ロッタが面白がってそんな風に言ったんだろうよ!」
「でも・・・。」

「もしそれがホントだったら、俺が」

「ぐわーーんっ!!・・・っと一発ぶちかましてやるよ!」

「・・・なっ。」
『・・・やっぱバカだ・・・この人・・・。』

ダニエルは、宗太の話を信じようとしなかった。
・・・とそこへ・・・
「よっ。二人で何話してんだ?」
「左京。」

左京が二人の側へ近づいてきた。
「いや~・・・宗太の与太話。」
「・・・ボク、シャワー浴びてこようっと。」

「与太話?」
「うん。宗太、あれ、空想癖強いんじゃない?」
「芸術家目指してるんだから、いいじゃないか!芸術家ってのは想像力とインスピレーションが勝負だろ?」
「そりゃそうだな。」

↑タ・・・タイさん・・・?
「空想すればいいんだよ。それが作品を生かすんじゃないか?」
「左京・・・お前、いい事いうなぁ・・・。」

左京が橘花にキスをした?
だとしたら左京は、どんな気持ちで?橘花はどんな気持ちに?
『・・・まさかなぁ・・・。』

だとしたら左京は、自分にこんな風に屈託なく笑顔で話しかけてくるだろうか?
はなっから宗太の話など信じていなかったが、しかし、ほんの少しだけ、ダニエルの心にも一石が投じられ、小さな波紋が広がっていた。






ちょっと短め。
帳尻合わせです(^-^;)