暗い内容のため、しばらくの間、記事を隠してアップしています。
絶対、大丈夫!・・・という方以外は、閲覧をご遠慮ください。
元気になったら見てくださいね!
でも、更新は止めません(^_^;)ゝ
「どれ?」
「こっちだよ。橘花さん。ドア、閉めて?」
「うん。」
左京と部屋を分けて、宗太がここで創作活動に専念するようになってから初めて、橘花はこの部屋に入った。
「キレイにしてるね。」
「そうかな?」
「あ、これ?・・・宗太くん、ホントにうまいんだもん。ワタシなんかが見なくても・・・。」
「ん~・・・でも、なんか途中で煮詰まっちゃってさ・・・。」
「どうして?材質も悪くないし・・・。このまま彫り進めていいと思うよ?」
「ホント?」
「うん!」
橘花の笑顔が眩しい。
頭がくらくらする。
心臓が口から飛び出しそうなくらい、早鐘を打っている。
「ありがとう。橘花さん。」
「あ・・・。」
宗太にこうやって抱きつかれるのは、初めてではない。
事あるごとに、宗太はこんな風に、自分に触れてきた。
けれど・・・橘花は、この時、嫌な感じが胸の奥から湧き上がってくるのを感じていた。
「・・・宗太くん・・・もう・・・いい?」
キスをされたこともある。その時は、確かに不意打ちではあったけれど、不快ではなかった。
なのに、今は、この部屋から、早く逃げ出したい。
だが、それをすれば、宗太を傷つけることになる。
そう思うと、橘花は動けなかった。
「・・・待って。・・・絵も・・・見て欲しいんだ。」
「絵は・・・宗太くんの方がワタシなんかより・・・。」
「橘花さんが、いいと思うかどうかだけでいいんだ。」
「まだ・・・途中なのね。」
「静物画?キレイな色使いだし・・・やっぱりうまいじゃない。ワタシ、こういうの好きだけ・・・」
「・・・ど・・・。・・・えっ・・・。」
振り向くと、そこには服を脱ぎ捨てた宗太が立っていた。
「そ・・・宗太くん、どうし・・・。」
「・・・橘花さん・・・。」
「橘花さん・・・ボク、橘花さんのこと好きだって・・・言ったよね?」
「あ・・・うん・・・。」
「返事はいらないって言ったけど・・・。」
「・・・ボク・・・あなたのことが欲しいんだ・・・。」
「え・・・。」
宗太がそう言って強く手を握り締める。
足元から震えが起こり、動けなくなった。
「そ・・・宗太くん・・・やめて・・・。」
「ボク・・・橘花さんのこと、好きで好きでたまらないんだ・・・。毎晩、あなたを思って眠れないくらい・・・。・・・ね、ボクのものに・・・なって・・・?」
宗太の手を振りほどこうとするのだが、強い力で押さえつけられ、腕に力が入らない。
「い・・・イヤっ!だ・・・誰か・・・っ!!」
「・・・そんな可愛い声上げたって、ダメだよ・・・。」
「やめてっ!!」
宗太の吐息が耳にかかるとぞっとした。
無理に押さえつけられ、身動きが出来ない。
これもまた、神が与えた罰ならば・・・そんなことが頭をよぎったけれど、どうしても受け入れられない。
逃げ出したい。なのに、声が出ない。足が動かない。
怖い。
「坊ちゃん、いるか?今日は武術の稽古・・・。」
「坊ちゃ・・・ん・・・。」
そこに現れたギルが、救世主にも思えた。
宗太の腕の力が緩むと、橘花はそこからすり抜けた。
「・・・何をやってる。」
「ギルさん・・・。」
「何をやってると聞いてるんだっ。」
「う・・・。」
「見損なったぞ!お前がこんなことするとはな!!」
「ギルさんには関係ない!ボクと橘花さんの問題だ!」
「橘花、泣いてるじゃないか!何をしたっ!?」
「無理やり手篭めにしようとしたか?はっ!最低だな!お前はっ!!」
「き・・・橘花さんのことが・・・好きなんだよっ。」
「・・・橘花、お前、部屋に戻ってろ・・・。」
「う・・・ん・・・。」
「・・・大丈夫か?歩けるか?」
「・・・うん・・・。」
橘花の足音が階段を降り、小さく聞こえなくなるまで、ギルは黙っていた。
「・・・坊ちゃん、なんだってあんなことしたんだ。」
「・・・。」
「答えろ!!」
「・・・言ったろ?橘花さんのことが・・・好きなんだ。ボクのものに、したい。」
「橘花の気持ちも考えずにかっ!!」
「だって・・・拒絶しなかった・・・。告白した時は・・・。」
「今はっ!?」
「う・・・。」
「拒絶されたんだろうっ!!」
「で・・・でも・・・逃げなかったじゃないか!」
「男の力で押さえつけられて、逃げられるかよっ!!」
「・・・ボクは・・・橘花さんが好きなんだ・・・。誰にも渡したくない・・・。自分のものにしたい・・・。」
「橘花はモノじゃないっ!」
「・・・誰かに奪られるくらいなら・・・壊したっていいんだ・・・。ボクのものになってくれるなら・・・。」
「おかしいぞっ!お前っ!!」
「おかしい?おかしくなんかないよ。壊したい・・・壊したいほど・・・好きなんだよ。分かる?壊してしまえば・・・誰も、もう欲しいとは思わないだろ?」
コイツは狂ってる・・・。
今まで、ストイックに自分の気持ちを押し殺していたというのに、何が宗太をここまでさせたのだろうか・・・。
「・・・左京には黙っててやる。頭を冷やせ。」
「・・・別に言ったって構わないよ。言えばいい。」
「お前・・・やっぱりおかしいぞ!傷つけて、壊して・・・それで好きだなんて・・・。」
それは愛じゃない。
ただ、嫉妬に狂っているだけだ。
「おーい。どうした?なんか大きい声が・・・。」
「・・・なんでもないよ。」
「な・・・なにやってんだよ・・・。」
怒鳴り声のようなものを聞いて、宗太の部屋に駆け込んできたダニエルだったが、その状況にぎょっとした。
ギルと宗太が背を向け合って立ち尽くしている。
しかも、宗太は上半身裸になっている・・・。
「そ・・・宗太・・・お前まさか・・・。ギルと・・・。」
「お前はバカかっ!?ダニエルっ!!」
ギルはそう言い捨てて部屋を出て行った。
「・・・な・・・宗太。ホントに何が・・・。」
「・・・ダニエルさん。なんか・・・睡眠薬、持ってない?」
「え・・・眠れないのか?・・・今はないよ。・・・今度、病院から持ってくるよ。」
「頼む・・・。」
どういう状況なのか、まったく分からない。
けれど、口出しさせないという圧迫感が伝わってきて、ダニエルは何も聞けなかった。
「左京、ちょっといいか?」
「ん?」
「橘花・・・ひどい怪我してるだろ?」
「・・・あ・・・うん・・・。」
「理由、聞いたか?」
橘花が言っていた『しばらく』が、どのくらいの期間のつもりだったのかは知らない。
だが、一昼夜経ったのだから、最低限の約束は守った。ギルは元々左京には話すつもりだった。
「聞いたけど・・・本当の理由は・・・教えてくれないんだ・・・。」
「そうか。」
「・・・まぁ、お前には話しにくいかもしれないな。」
「どういう意味だ?」
「・・・俺、見たんだよ。」
「え?」
「あいつ・・・街で絡まれてた。」
「ど・・・どこの男だ!?なんで止めてくれなかった!?」
「男じゃない。女だ。」
「え?」
「だから、止めに入るまでもないと思った。・・・失敗したよ。すまん。」
「お・・・んな?」
「ああ。俺が見かけたとき、言い争ってるような感じだった。けど、女同士だし、友達かも知れないと思って、そのまま通り過ぎたんだ。その時・・・お前の名前が出てたんだ。」
「・・・俺・・・?・・・あ・・・。」
「察しがついたか?・・・お前のファンだよ。」
「俺の・・・。」
頭を殴られたような衝撃だった。
いったい誰が、橘花にあんなひどいことをしたのか、とずっと考えていた。
なのに・・・自分に原因があるとは、今の今まで気付かなかった。
「・・・左京。一手、手合わせ願おうか。」
「それどころじゃ・・・。」
「ちっと頭を冷やした方がいい。ほら。一手目は?」
「む・・・。」
「・・・頭、回んねぇよっ!俺のせいなのに・・・。なんで橘花のヤツ・・・俺に言わないんだ・・・。自転車で転んだなんてウソついて・・・。」
「・・・左京。冷静になれ。お前を傷つけたくないって、橘花の気持ち、分からないのか?」
「俺・・・?俺なんかより・・・あいつの方が傷ついて・・・。」
「じゃ、お前。それを知ってどうするっていうんだ?相手は仮にもお前のファンだぞ?」
「う・・・。」
「冷静になってよく考えろ。橘花の気持ちを汲んでやれ。」
「けど・・・俺のせいで・・・。」
「自分のせいだとか思うな。ちゃんと橘花のことを抱きとめてやれ。でないと・・・。」
宗太のことで二重に傷ついている橘花が救われない・・・。
その言葉を、ギルはぐっと飲み込んだ。
あああああああ・・・。
おまけ。
本当は・・・
「返事は、押忍か、サー・イエッサーだぁっ!!馬鹿者っ!!それでも軍人かぁぁぁっ!!」(@ひぐらしのなく頃に)
「軍人じゃないしー。」
・・・と入れたかったのですが、このシリアスな展開で、それはないだろ・・・と、やめました・・・。
ちなみに・・・
宗太の敗因は、『ベッドがシングルだったこと』です。
yuzuさん、こんばんは!!
返信削除あぁぁぁぁ・・・・。
ベットがシングルだったか・・・・ガクッゥゥ・・・。
いやあ~~、人間の醜いところを描写するのって難しいですよね!
でもそこが一番面白いところかもしれない。
カッとなってもいかに相手のことを冷静に判断し表現できるか。
しかしまあ宗太の醜いところは、またひどいですねぇ。
普通顔にキズつけてる女にそんな事する?って言ってやりたいです。
自分の事しか考えていない恋愛は、時として凶器にもなりますね。
ギル、一発殴ってもよかったのに。
宗太のむだにムキムキの筋肉が気持ち悪いぐらいに見えました。
宗太がせまってる所はちっともムラムラしません、
気の強い女性なら、平手打ちかまされてもしょうがない所。
いや、グーパンチでもいいな。
暴力振るわれた女の子相手にせまるなんて、最低ー
な、そう思うだろ?1号2号、ピピーー!!
宗太、ちゃんとおかしいって言ってくれる人がいてよかったね。
ダニエル・・・あんたはちょっと外にでも出ててw
この間の通りすがりの人さん、こんばんはー!
返信削除ベッド、シングルでした(^_^;)ゝ
でも、そこまでやっちゃうと、本当に救いようがないので・・・。
宗太、ガタイ良すぎるだろ・・・って、これ撮影してる時にギョッとしました。
確かに鍛えてはいるけど、いや・・・ここまで・・・。
ホントは、パンツ一枚か、全裸でもよかったんですが、自分でも、ちょっと・・・と思ってしまったんで、やめました。
つーか、この家の男ども、左京以外はみんなムキムキなんですよね~・・・。
なんか手持ち無沙汰になったら、誰かが誰かを鍛えてたりするんで。
ダニエルも、脱いだら結構すごいです。
なんだ、この筋肉ダルマの集団は(笑)
橘花、たぶん普通の精神状態だったら、グーパンしてますね。
殴らなかったのは、宗太に悪いことした、って気持ちがどっかにあったからです。
でも、愛情の押し売りはよくない(・△・)
ダニエル・・・なんでわざわざそこに踏み込むかな・・・。
なんでかそこにいるんだもん。
宗太の思い上がりは、がつんと一発、打ち砕かれますよ。
1号と2号に。
・・・いや、冗談です・・・。