どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

土曜日, 3月 26, 2011

決戦前夜

「・・・ただいま帰りました・・・。」
「おかえりなさい。ちょうどよかったわ!もうすぐ食事が出来るから!」

「はい。・・・あの、京子さん・・・。」
「なーに?・・・はい、出来上がり!」

「さっ。食べましょ?」
「はっ・・・はい・・・。」

田吾作が夢見ていた、彼女の待つ幸せな生活・・・。
なのに、左京の様子がおかしいせいで、心から楽しめない。
「・・・どう?」
「うんっ!美味しいです!!」

「よかった!田吾作くんの好みの味付けを、覚えなくっちゃね!」
「・・・あの・・・京子さん・・・。」
「なに?」

「・・・向こうで話しませんか?」
「いいわよ。」

田吾作が自分に何を聞きたいのか、京子には分かる。
左京の好きな相手・・・それがいったいどんな女性なのか、知りたがっているのだ。
「あの・・・京子さん・・・。」
「はい?」
「この前・・・左京さんのところに行って貰いましたよね?」
「うん。」

その時のことを、京子はあえて、自分から話さなかった。
ただ、『左京には会えなかった』と田吾作に告げただけだ。
「その・・・そこには・・・女の人はいましたか?」
「ええ!いたわよ。二人。」

「二人・・・。」
「二人とも可愛かったわ~。一緒に服を買いに行ったのよ。やっぱり女同士っていいわね!」

「あの・・・それで・・・左京さんの好きな女っていうのは・・・。」
「・・・ねぇ、田吾作くん。」
「はい?」
「・・・左京くんが恋をしちゃ・・・いけないの?」
「えっ?」

京子が何を言い出すのか、と田吾作は訝しんだ。
あの家で、京子は何を見たというのか・・・。
「左京くんだって、私たちと同じ、普通の人間よ?恋をする権利くらい、あるでしょ?」
「・・・左京さんは・・・普通の人じゃありません。」
「えっ・・・。」

「あの人は・・・僕の夢なんです。」
「・・・夢?」

田吾作は、サンセット・バレーで暮らしていた時のことを思い出していた。
遠い目で、思い出を手繰り寄せ、京子に話し始めた。
「僕は・・・サンセット・バレーで、左京さんのライブを見ました。何度も何度も見ました。あんなに魅力的なアーティストは、他にはいない。僕はあの人に憧れて、この業界に入って、そして、左京さんのマネージメントをすることようになって・・・。本当に嬉しかった!!憧れの左京さんのマネージャーになれるなんて・・・。だから僕は決めたんです。」
「・・・何を?」

「僕はあの人を・・・世界がひれ伏すトップ・スターに押し上げる、って!!」

「その為には、恋なんかしてるヒマはないんですよ!スキャンダルなんか、起こさせちゃいけない!!」
「・・・はいはい。」

思い込んだら一途なところ・・・。
それこそが、京子が田吾作に惹かれた一番の要因なのだが、こればかりは自分も譲れない。
「でもね、田吾作くん。左京くんが誰かを愛して、そのことが彼を更に魅力的にしてるのだとしたら?」
「そんなことはありません。」

「どうしてそんなことが言えるの?左京くんは・・・以前とは変わったわ。好きな人が出来て、急激に売れ出したんじゃないの?」
「違います!!」

「僕のマネージメントの腕ですっ!!」

「ずいぶん、自信あるのね。」
「もちろんです!」
「違ったらどうするの?」
「そんなことは・・・ない!」

「明日も左京さんを迎えに行かなくっちゃ。」
「・・・私も行くわ。」

左京が売れた一因は、確かに田吾作のマネージメントもあるだろう。
しかし、それ以上に、橘花への愛の深さが、左京を歌わせている、と京子は思っていた。


「・・・左京、寝てるのか?」

「・・・いや・・・。」

横になって目を閉じても眠れない。
いったい、今何時なのだろうか・・・。
「お前・・・夕方、お前のマネジャーとか言うヤツが、ぎゃーぎゃー騒いでたぞ。」
「ああ。・・・いいんだ。」

「仕事・・・行ってないのか?」
「・・・行く気にならないんだ・・・。」

橘花には、左京の面倒は見てやらない、と言ったものの、どうやら一日中引きこもっていた様子の左京を心配して、ギルは部屋にやってきたのだった。
「どうしたんだ、お前・・・。」

「俺たちの結婚式は三日後だ。結婚したところで、今までの暮らしとそう変わるわけじゃないが、これからはそうそうお前の相談に乗ってやれないかもしれないぞ?」
「・・・分かってる・・・。」

「しっかりしろ!左京!!」
「う・・・。」

そう檄を飛ばせば、いつもの左京なら一つ頷いて、顔を上げる。
だが、この時は違った。
「・・・うっ・・・えっ・・・。」

「えっ・・・え・・・っ・・・。」

「え・・・?お・・・おい・・・。」
「う・・・わぁーんっ!」

「さ・・・左京っ!どうしたっ!!」

ぼろぼろと泣き出した左京を見て、ギルは驚いた。
「お・・・俺・・・俺・・・橘花に嫌われたら・・・。」

「もう・・・歌なんか歌えない・・・。生きてけない・・・。」
「左京!!」

ここまで追い詰められているのか・・・とギルは左京を抱き締めた。
「うっ・・・えっ・・・えっ・・・。」

これが・・・佐土原左京か・・・。
ステージに立てば大勢のファンを切り従え、魅了して、自信たっぷりに歌い上げる佐土原左京が、たった一人の女の愛を得られない、と自分に縋って子供のように泣きじゃくっている。
それほどまでに橘花を慕い、焦がれ、求めているのだ。
「左京・・・左京、よく聞け。橘花はお前のこと、嫌っちゃいないぞ。」
「・・・うぇっ・・・うっ・・・ウソだ・・・。だったらなんで・・・俺と顔合わせないようにしてるんだ・・・。」

「ウソじゃない。本当だ。一生、お前を好きだ、っていう気持ちは消えないって・・・そう言ったんだ。」

「橘花・・・が・・・?」
「そうだ。ほら、顔、上げろ!」
「くっ・・・。」

「・・・な。いい子だ。左京・・・。」
「・・・ギル・・・。」

自分より、ずいぶん年上のはずの左京が、自分の息子のように思える。
この純粋さ・・・。
誰にでも見せる顔ではない。
普段は大人の顔をして、クールに、何事にも動じない、という態度で振舞っている左京が、自分の前ではこんなにも小さく、ボロボロになって泣きじゃくっている。
「ほら。顔上げろ。鼻水を拭け。」
「う・・・ん・・・。」

「俺、昼間、橘花と外に行ってたんだ。お前のこと好きか、って聞いたら、好きだ、ってあいつ、二つ返事で答えやがったぞ。」
「ほ・・・ホントに・・・?」

「・・・えっ・・・え・・えぐっ・・・。」
「な・・・泣くなって!!」

「お前がそんなんでどうする!!橘花のヤツ、ほんっと口数少なくてまいっちまうんだけどよ。それだけははっきり言ったから。」
「俺・・・。」

「・・・けど左京。あいつ、気になることを言ってた。」
「・・・え?」

「自分は・・・お前の足枷になる、って言ってたんだ。」
「あ・・・足枷!?なんだよ、それっ!!俺・・・そんなこと、一度も思ったことないよ!!」

「だから橘花とちゃんと話し合え、って言ってるんだ。お前のその気持ち、伝わってないぞ?」
「そ・・・そんな!!」

「・・・ものすごく迷った顔をしてた。あいつが何を考えてるのか、俺には分からん。
でも・・・時間がない、とも言ってた。」
「時間・・・?」

「時間ってなんだ?時間がないのはこっちの方だ。」
「だからお前がぐずぐずしてるからだろ。・・・左京、すごく嫌な予感がするんだ。」

「・・・え?」
「お前・・・今から橘花を連れ出せ。」
「こ・・・こんな夜中に・・・?」

「ね・・・寝てるだろうし・・・部屋に鍵が・・・。」
「お前・・・そんなことばっかり言ってると、ホントに一生そのままだぞ?・・・もうすぐ夜が明ける。鍵がかかってたら俺がこじ開けてやる。」
「・・・ギル・・・。」

「・・・ま、お前が一生このままでいいって言うんなら、俺はもう、お前らのことは知らない。お前がどうなっても、手を貸してなんかやるもんか!いい加減、勝負に出ろ!」
「・・・。」

「・・・分かった。」
「よし!」

「・・・左京・・・お前があいつの迷いを断ち切ってやれ。お前にしか出来ない。あいつが何を考えていても、お前はしっかりそれを受け止めてやるんだ。その為には・・・お前が迷わないことだ。」
「そう・・・だよな。俺がしっかりしなきゃ・・・俺がふらふらしてるから、あいつも頼れないって思ってるのかもしれない。」

「頑張れ!左京!もうお前の泣き顔見るのなんか、ゴメンだ!」
「すまなかった・・・。本当に・・・本当にありがとう、ギル。」

「行け、左京。もう夜が明ける。」
「ああ。」

「行くよ。」

そう言って微笑んだ顔には、まだ涙の痕が残っていた。
けれども、少年のようなその笑顔は、いつもの左京に戻っていた。

4 件のコメント:

  1. yuzuさん、こんばんは!

    左京さん、泣いちゃったーー\(゜ロ\)(/ロ゜)/オロオロ
    左京は本当に橘花のこと好きなんですね。
    だからこそ悩んで落ち込んでそして泣いてしまった・・
    それでも仕事を全て完璧こなしている左京。
    やっぱカッコいいです^^
    でもギルの活躍なくしては語れません!
    ギルも本当にカッコいい!!

    決戦前夜ということでこれからが本番ですね!
    橘花も意地を張らず、素直に左京の思いを受けれてほしいな~><

    さてさて余談ですが本編のタイトルをみて、
    ドリカムの決戦は金曜日が頭の中でリピしちゃいました♪

    返信削除
  2. Naonさん、こんばんは!!

    タイトル、『決戦は金曜日』にしようかと、ずいぶん迷ったんですよ(^_^;)ゝ
    でも、ギルとロッタちゃんの結婚式が土曜日・・・その三日前だから水曜日のはず・・・なので、やめたんです。
    この辺りから、タイトルに、歌の題名が続いたりするので、イメージしながら読んでくださると嬉しいです♪

    えへ(*゚ー゚)>左京、泣かしちゃった。
    ずっと泣かせたかったんですよ。
    男でも泣くだろうな、って思って。
    仕事を完璧にこなしてるのは・・・ミュージシャンなんかやめてやる、っていうのと、状況次第では続ける、っていうのと、左京が両方考えてるからです。
    このままミュージシャンを続けられるのか・・・それは田吾作次第♪えっ( ; ロ)゚ ゚

    ギルは大活躍です♪
    ホント、包容力があって、頼れるんですよね~(^-^*)
    これからロッタちゃんと結婚して、いい旦那様になって、ゆくゆくはいいパパに♪
    甘えさせてくれる人って、周りにいるとすごく安心感あるんですけど、左京はもう、ギルに甘えてばっかりいないで、今度からは橘花に甘えさせてもらわなきゃ!!

    ああ~・・・今、あさっての分の記事を書いてるんですが・・・一人でニヤニヤしてしまう~( ´艸`)
    春はもうすぐです!!

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  3. こんばんわ!!
    今日はいっぱい読み進みました☆

    ダニエルが可愛いww
    あと1号2号www
    めっちゃ可愛いですね!「ぴっ」て(*´▽`*)

    それにしても、ユズさんのところの京子さんはステキな服着てますよね。
    私のところにも出演していただいてるんですが、DLしてうちのところに来たら上下真っ白な服装で。。。
    着替えさせてないのでなんだか申し訳ない状態です(^^;

    左京さんと橘花ちゃんがどうなっていくのか。
    ハラハラドキドキしながら読み進めます☆

    是非リンク貼らせていただきたいです!よろしいでしょうか??

    返信削除
  4. ネコさん、おはようございます!!

    わ。ダニエル、可愛いなんて言ってもらえて、きっと大喜びですよ!!
    最近、左京ばっかりに人気が集中しちゃってるんでб(^_^;)
    1号と2号も可愛いでしょ?
    最近、あんまりしゃべらせてないんですけどね。

    京子さんですね、DLしてきた後、別データでアクティブにして、その時髪型とか胸の大きさとか身長とかメイクとか、服とか替えて、それからカタログに入れなおしたんですよ~。
    あの服は、たぶんレイトナイトに入ってるデフォの服です。
    今まであんな感じの服が似合う女の人がいなかったので、嬉しい(*^-^)

    マスターコントローラー(というMOD)があれば、非アクティブでも、服を替えたり出来るので、重宝してます♪

    左京と橘花は、もうそろそろ大詰めです。
    どうなるのか、楽しみにしててくださいね!

    リンクですか!?喜んで!!
    どうぞどうぞ!!ご自由に!!
    ワタシもネコさんのブログのリンク貼りますね!

    ありがとうございます!!

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