「んん~・・・俺って・・・枕替わってもぐっすり寝れちゃうタイプだったんだー。」
空き部屋で寝たダニエルでしたが、ずいぶんとぐっすり眠れたみたいです。
「ね、ね、橘花、聞いてよ!俺、幽霊に会う夢見ちゃった~。」
「えー?幽霊なんているのー?」
「いるさ!月夜の晩に現れて、徘徊するんだぜ!きっと!!」
「ワタシ、見たことないからまだ信じられないけど・・・見えたらコワイと思う・・・。」
近しい人が亡くなると見える、というのは聞いていましたが、橘花はまだ、幽霊を見たことがありません。
だからその存在を信じてはいないのですが・・・
「左京のご両親のお墓・・・ここから出てくるのかな?ワタシにも見えるのかな?」
見えるものなら見てみたい、会ってみたい、と興味はあるのです。
「あー・・・今日はいいお天気~。」
今日は遠くまでよく見渡せるほど晴れています。
「橘花ちゃん。・・・ん?掃除なんかしてんの?」
「ちょっと汚れてたんで・・・。」
「やっぱメイド雇うか・・・。」
「勿体無いと思うけど・・・。」
「いや、それより、ちょっと出掛けない?俺に付き合って?」
・・・と、ヒマそうな橘花を誘って左京が出掛けた先は・・・
「おーっ!ここが一番近くに見えるかな?」
「あ!灯台!!サンセット・バレーの灯台かなぁ。」
「今日は良く晴れてるから見えると思ったんだよなー。」
「ずいぶん近くに見えるけど・・・。」
「だけど、案外距離、あるんだぜ。天気がいい日はこんな風に近くに見えるけど、曇ってたら全然見えないもんな。」
「ウチからも小さく見えるんだぜ?知ってた?」
「全然知らなかった・・・。(わ・・・左京・・・顔、近い・・・)」
「ウチの両親、灯台の見える景色が大好きでさ!だからあそこに墓作らせてもらったんだよ。」
「そうだったんだー。ステキなご両親だったんでしょ?」
「すっごく仲良くってね!橘花ちゃん。付き合ってくれてサンキュ。」
「ワタシ、なんにもしてませんよ!」
「いやいや・・・こんな殺風景なとこじゃ、楽しくないだろ?お詫びに好きなトコ連れてってあげるよ!」
「えっとね・・・じゃあ、サロンに行きたい!コーディネイトしてもらうの!」
「OK!なんなら俺がコーディネイトしてあげるよ!」
橘花だって年頃の女の子です。
たまにはプロの手で服を選んでもらったり、メイクしてもらったりしてみたかったんです。
あわよくば、左京に服を選んでもらえたら・・・なんてことも考えていました。
だって、左京が選んだ服が、左京の好み、ということになるのですから!
けれど・・・
「あ!左京!!」
「左京?」
「左京!!サインしてー!!」
「今日はプライベートなんだけど・・・。」
店につくなり、ファンに囲まれてしまいました。
「連れもいるのに・・・まいったな・・・。」
仕方ありません。
左京はスターなのです。
橘花は店の隅に座って、黙って待っていました。
『ちょ・・・そろそろ解放されてー。橘花ちゃん、待ってるし・・・。』
「左京!ありがと!!ボク、左京みたいになりたいっ!!」
「はは。サンキュ。(こ・・・子供だし・・・。)」←子供嫌い
「これで最後!」
「左京!!ありがとう!!ライブ、観に行くわー。」
「ぜひ!!」
「ふぅ・・・。橘花ちゃん・・・ゴメン。もう遅くなっちゃった・・・。」
「しょうがないよ。左京は・・・有名人なんだもん。」
『ワタシも・・・ほんの少し前ならあの輪の中にいたのに・・・。』
「ホントごめん!今度、絶対埋め合わせするから!」
「別に・・・いいの。またファンに見つかっちゃうよ。」
「そんなこと言うなよ。今日はたまたまだってば。」
「ううん。」
ファンの輪の中に入れず、一緒に左京の姿を見てはしゃぐことも、サインをねだることも出来ない・・・同じ家で暮らすことになって、大きな代償を払ったような気がします。
「あの人たちが羨ましい・・・。」
「・・・え?なんか言った?」
「ううん。なんでも・・・。」
「うーん・・・なんかむしゃくしゃする・・・。」
「あ、電話し忘れてたからかも?」
「もしもし?メイド協会?夜中に悪いね。メイドの派遣を頼むよ。・・・おたく、24時間営業だろ?」
左京ってば・・・罪なオトコです。
あの場所が一番灯台に近づける場所でした。
あれ以上近い場所にはいけなくって・・・。
ほったらかしといたら、
こんなことになってましたw
左京、やっぱり以蔵の血を引いてんだわ(^-^;)
0 件のコメント:
コメントを投稿