La pioggia

「あれ？またどっか行くの？」
「うん。遅くなるから。」

橘花はいつも出かけてばかり。
「どこ行くんだよー。俺も連れてってよ。」
「イヤ。」

せっかく同居人になったというのに、ダニエル、まだ橘花とまともに話したことがありません。

「つまんない・・・。今度出掛けるときは、なにがなんでも一緒に行くぞっ。」

橘花が出掛ける時間は決まっていませんが、帰ってくるのは大概深夜過ぎ。
ダニエルの部屋は玄関の前なので、橘花が出掛けようとする気配を察知することが出来るんです。

・・・というわけで、出掛け前の橘花を捕まえました！
「あっ！どこ行くのっ！？おしゃれしちゃって！」
「もー・・・。なんで出掛けにいっつも呼び止めるかな・・・。」

「だってさー・・・俺、橘花のこと知りたいし・・・。ねっ。今日は連れて行ってよ！」
「あんた行っても面白くないよ。」
「どこ行ってんだよ。・・・あ。デート？」
「違うよ。」

デートするような相手がいれば、こんな広い家に一人で住んでません。

「なぁ～・・・頼むっ！一緒に連れてって！退屈なんだよ～。」
「ダニエル、仕事は？」
「月曜から行くよ～。」

「んもー・・・。行ってもホントに面白くないよ？・・・ってかホントに連れて行きたくないんだけど・・・。」
「なんで？なんで？面白くないとか絶対言わないし！」
「そこまで言うならアレだけど・・・。文句言わない？」
「言わないよ！！」

仕方がありません。
ダニエルと一緒にタクシーに乗り込みます。


タクシーを飛ばして着いたのは、街外れの野外劇場。

「ん？ここ？なんかイベントでもやってんの？」
「別にやってないよ。」
「だったら・・・なに？」
「聞こえない？」

橘花に言われて耳を澄ましてみると・・・ギターをかき鳴らす音が聞こえました。
「イベントでもないのに・・・あ・・・。」

そこでは・・・左京がギターの練習をしていました。
「見たことある・・・。佐土原左京だ・・・。」

「うふ。これが楽しみなんだよね～。」

これが追っかけの醍醐味！
橘花は、ホールでのライブはもちろん、シークレット・ライブや、こうやってただ、人気のない場所で練習する左京を見るのがなによりの楽しみ！
特に話しかけたりすることはないけれど、最後の最後まで、いつも左京のことを見ていたんです。




「・・・うまい・・・。やっぱプロだ・・・。」

ダニエルもいつしか、左京の演奏に聞き入っていました。



・・・と、その時、

がらがらがら・・・
ぴっしゃーーーんっ！！！

空に雷鳴が轟き、

ぽつぽつと・・・
「あ・・・。」

雨が・・・降り出しました。

「ひゃあ！こりゃまいった！！」

せっかくの演奏会でしたが、中止です。

「あ！大丈夫？濡れたんじゃない？」
「あ・・・だ・・・大丈夫です！」

雨のおかげで、なんと！左京と話すきっかけが出来ました！！
「君・・・いっつも見に来てくれてるよね！ありがとう！！」
「え・・・ワタシのこと・・・覚えててくれてるんですか・・・？」
「当たり前だよ！今日の服、いいね！」
「あ～・・・。」

実は、ストーカーと思われたくなくて、毎回変装してるつもりの橘花だったのですが、左京には見抜かれていました。
恥ずかしい(/.＼*)

「曲が悪かったかなぁ。」
「曲・・・ですか？」
「そ。La pioggiaっての。『雨』って意味だよ！」

※左京が作った曲ではありません。イタリアのGigliola Cinquettiという人が歌っていたカンツォーネです。

「君はー・・・初めて見る顔だね！彼女の連れ？・・・あ、彼氏？」
「違いますっ！！」

・・・なぜ思いっきり否定する・・・ダニエル・・・。

「橘花はただの同居人ですよー。」
「きっか？きっかちゃんていうんだ。あの子。」

「彼氏でもないのに、同居？なに？独身寮かなんか？」

「いえ・・・。橘花がシェア･メイト探してて・・・。シェア･ハウスで同居してるんですよー。」
「シェア･ハウス・・・ふぅーん・・・。」

左京、その言葉に興味を持った様子。

橘花と、なんでか一緒にいた宗太がそれぞれ帰った後も、左京は随分ダニエルと二人、話しこんでいましたが・・・
「さっきの・・・シェア・ハウスの話しなんだけど・・・そこ・・・広い？」
「ん？すっごい広いですよー。部屋、余りまくってますもん。」
「そっかぁ・・・。」

「さっきまでそこにいたヤツ、宗太ってんだけど、今住んでるトコ、学校から遠くってさー。」
「ああ！さっきの子。高校生なんですか？」

「あいつと一緒に住むトコ、探してんだよねー。」
「ああ！そうなんですか！」
「一度、家、見に行っていい？」
「どうぞどうぞ！！」

・・・勝手にそんなこと言っていいのか？ダニエル？

「じゃ、今度電話するから！番号教えて？」
「いいですよー。」



「左京って・・・有名人なのに、ちっともそんな感じじゃなくて・・・いい人じゃん！」

「お！橘花が作ったワッフル、残ってる～。ラッキー♪」

お前はのんきでいいな・・・ダニエル。

「・・・はぁ～・・・左京と話しちゃった・・・。落ち着け、自分・・・。」

橘花は着替えるのも忘れてドキドキを抑えようとしているのに！！


雷と雨は出来ましたが・・・設定を失敗して、雨宿りしてるところに降っちゃってます(^-^;)ヾ
『視点を置いたトコに降る！』って頭では分かってたのに、雨宿り場所の下に視点を置いて設定してしまいました。
しかも、降る範囲が案外広いんだもの。
雷は、音もスゴイです！！
虹はどうやっても出来なかったよ～｡･ﾟﾟ･(>_<;)･ﾟﾟ･｡
誰か解明して～！（公式フォーラムにも載ってなかったと思う・・・）
それと・・・初めて画像を加工してみました。（文字のっけただけだけど・・・。）
め・・・めんどくさい・・・。