さて、左京が灯台に見入っていた頃、橘花は近くの学校で、ギターを演奏して欲しい、という依頼を受けていたので、学校へと向かっていました。
「ギター演奏ったって、ワタシ、ミュージシャンでもないのになぁ・・・。でも、おこずかい稼ぎにはなるか!」
彫刻ではまだまだ稼げませんし、貯金も心許なくなってきたので、子供相手だしいいだろう、と依頼を受けたのでした。
ギター演奏を終え、学校を出ると・・・
「あ!宗太くん?」
授業を終えた宗太にばったり遭遇しました。
「あ、お姉さん、こんにちは。」
「お姉さんって・・・橘花でいいよ。柑崎橘花。」
「えーっと・・・じゃ、橘花さん。」
橘花は、宗太の顔と名前くらいは知っています。
なんせ、憧れの左京の息子なのですから。
「授業、終わったんだ。」
「うん。お父さん、もう引っ越して行った?」
「うん!朝早くに来たよ!」
「そっかー・・・。」
「・・・あのね、橘花さん、ゴメンね?」
「ん?」
「お父さんさ・・・勝手に引っ越すなんて決めちゃって・・・。」
「え・・・?」
「迷惑じゃなかった?」
「迷惑ってか・・・家の中に左京がいると思ったらキンチョーするけど・・・。」
「ボクのせいなんだよねー。ホテルが学校からちょっと遠いし、ちょっと寂しい場所だから、良くないって。で、焦ってたみたいでさ。悪気はないんだけどね。お父さん。」
「そうなの?」
「ボク、寂しい場所とか全然平気なんだけど・・・。」
「あ・・・。」
「ワタシも!一人のほうがいい!人ごみの中って苦手。」
「橘花さんも?」
橘花は、宗太に妙な親近感を覚えています。
それは、宗太も同じでした。
「ボク、彫刻の勉強したくって、お父さんに付いてきたんだけど、住むトコなんか別にどこでもよかったんだよ。」
「彫刻?」
「ワタシ、今勉強中!いくつか出来たよ!」
「ホント?」
「わ!じゃ、ボクに教えてよ!」
「いいよ!」
「やったっ。」
「ふふっ。」
「あ、宗太くん、バス、行っちゃう・・・。」
「いいよ。」
「帰らないの?」
「ん~・・・橘花さんに一緒に来てもらいたいトコがあるんだ。」
二人でタクシーに乗り込みます。
「橘花さんって、この街にずーっと住んでるの?」
「ううん。こないだ来たばっかり。」
「じゃ・・・。」
「こんな場所、知ってた?」
「なーに?ここ・・・。」
そこは、宗太のお気に入りのスクラップ置き場。
「見て見て!宝の山だよ!!」
「わ!!」
左京には、危ないからそんなところへ行くな、と叱られそうだし、これが宝の山だなんて言ったら笑われそうでしたが、橘花は喜んでくれそうな気がして、宗太は橘花をここに連れてきました。
そして思った通り、橘花は眼をキラキラさせています。
「いろいろ落ちてるなぁ。使えそうなものがいっぱい!」
「でしょ?集めて、なんか作れないかな?」
二人は時を忘れて、スクラップを漁っていました。
「橘花ー。ただいまー。」
そんなことは知らないダニエル。
仕事から帰って、橘花の姿を探しています。
「あれ?いないの?」
また、勝手に橘花の部屋に入ったあげく、
「なんだよー。ベッド、ぐちゃぐちゃじゃん。」
ベッドメイクをしてあげてるのかと思いきや、
「ふー。どっこらせ。」
橘花のベッドでくつろいでました!!
「へへ~。橘花の匂いがするぅ~。」
変態かっお前はっヾ(*`Д´*)ノ"
案の定、左京にたしなめられてます。
「お前・・・女の子の部屋に勝手に入ってベッドに寝転ぶなんて・・・良くないぞっ。」
「えー?だってこの部屋、居心地いいんですよー。いい匂いするし・・・。」
「左京さんだってしたいでしょ?ね?ね?」
「したくないっ。」
「ちぇ。つまんね。橘花、どこ行ったんだろ・・・。」
夢中でスクラップを漁っていましたが、日が落ちて、辺りはすっかり暗くなっているのに、橘花は気付きました。
「宗太くん、そろそろ帰ろ。お父さん、心配してるかも?」
「え~・・・もうちょっと遊ぼうよ。」
「また一緒に来てあげるから。・・・お風呂入りたいし・・・。」
「んー・・・絶対だよ。」
ようやくご帰還です。
左京・宗太親子が引っ越してきて、4人になったクレメンタイン・ハウスです。
お察しの通り、橘花と宗太は同じ、「一匹狼」の特質を持っています。
気が合うわけです。わざとです。
ところで、公共施設ってNPCが自然に集まってきますが、スクラップ置き場も例外ではないようで。
宗太が、スクラップ漁るのにちょっと飽きて、ジュースかなんか飲んでたんですが、
雀卓囲んでるのかと思っちゃいましたよ!!(゚ロ゚;)
あーびっくりした!
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