「う~ん・・・お風呂場にアヒルでも欲しいとこねー。」
「今度買ってこようかな。」
日中はダニエルは仕事に出掛け、宗太は学校、左京はギターの練習をしに出掛けてしまうので、家にいるのは橘花一人のことが多いんです。
けど、学校が終わると、宗太が飛んで帰ってきました。
「ただいまっ!」
「ね!橘花さん!彫刻、教えてよ!」
「うん!」
「ワタシもどこかで習ったわけじゃないけど・・・まずは粘土で道具の使い方を覚えるの。」
「うん!やってみるよ!」
「宗太くんならすぐ出来そう!」
橘花は隣りでスクラップいじりでもすることにしました。
「ん・・・粘土だから簡単に削れるけど・・・モノの形作るのって難しいな・・・。」
「出来た!」
橘花のほうが一足先に完成しました。
「ボクももうちょっと・・・。」
「ワタシ、部屋の掃除してくるねー。後で見せてね!」
「うん。」
橘花が部屋を出て、少しして、
「出来た!・・・なんだ?これ・・・。」
陳列台?
初めて作った割にはうまいと思うんですが、宗太、ちょっと納得いかない様子です。
掃除しようと、左京たちの部屋に入った橘花だったのですが、そこにぽつんと飾ってある写真に気付きました。
「キレイな人・・・誰?」
と、そこへ左京が帰ってきました。
「あ!橘花ちゃん!」
「ワタシ、掃除しようと・・・勝手に入ってゴメンなさい・・・。」
「別にいいよ。・・・ってか、掃除なんか・・・メイドでも雇おうか?」
「メイドなんか・・・勿体無いですよ。それよりあの写真・・・キレイな人ですね・・・。」
「ああ!あれ!母さんだよ。」
「え?左京さんのお母さん?」
そう言われてみると、どことなく左京に雰囲気が似ています。
「美人だろ?父さん、母さんにべた惚れでさ・・・。」
「うん・・・。」
「母さんが亡くなったその日に、父さんも後を追うようにして亡くなったんだ。」
「え・・・。」
「それで・・・電話鳴ってるよ?」
「あ・・・。」
「んもぉ・・・タイミング悪いんだから・・・。」
「もしもし?・・・は?シェア・メイト?(・・・あ、広告削除するの忘れてた・・・)」
「あー・・・実は・・・え?どうしても?・・・うーん・・・。」
ばたばたして、シェア・メイトの広告を取り下げるのを忘れていました。
橘花としては、これ以上同居人は増やしたくないところ。
でも、まだ空き部屋はあります。
「ん?電話、終わった?」
「はい。さっきの話の続き・・・。そういえばこないだもなんか言いかけてませんでしたっけ?」
「ああ!」
「裏庭にね、ウチの親の墓を作らせてくれないかな、って思ってさ。」
「なんだ!そんなこと。いいですよ!」
「一応、橘花ちゃんの許可貰わなきゃね!」
「別にワタシの許可なんて・・・ここは左京の家でもあるんだし。」
「そう言ってくれると嬉しいなぁ。」
『んー・・・お父さんも橘花さんのこと、好きなのかなぁ・・・。でも・・・お父さんって誰にでもあんな感じだしな・・・。』
こっそりと心理分析をする宗太です。
「俺・・・最近、仲間外れっぽくね?」
ちょっと寂しさを感じているダニエル。
そんな時は橘花の部屋へ。
「きっかー。」
「ん?」
「・・・ん?なに?これ。」
「あ、それ。作ったの。水飲みラマ。欲しかったらあげるよー。」
「ホント?」
「・・・まさか、爆発物とかじゃ・・・。」
「まさか!そんなもん、作れるわけないじゃん。」
「しゃーない。貰ってやるか!(・・・ってか、あの横に寝たい・・・)」
「(なんてね!殴られるのがオチだよなー。)」
「(でも橘花、部屋に入るな!・・・って言わなくなったよな。)」
それは・・・単なる「慣れ」です。
お互いの行動パターンも分かってきて、擬似家族になってきているからです。
ダニエル、そこんとこ勘違いしないように・・・。
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