左京がベッドに入ったすぐ後のこと・・・
「ん・・・俺、呼ばれてる・・・。」
「以蔵。」
「誰だ・・・?」
「以蔵。」
「ヒイナ・・・か?」
「あ・・・。」
「ヒイナ!!もう来てくれたのか!!」
「ヒイナ!!」
「ちょっと待ってろよ。すぐ行くから!!」
突然訪れた死。
悲しみにくれた以蔵を見ていられなかったのですが、同じ日に二度もシニガミが来るなんて・・・。
「迎えに来たぞ。」
「父さん!今、なんか物音が・・・。」
「ひっ!シ・・・シニガミ・・・!!」
気配を察して、慌てて飛び起きてきた左京ですが、既に以蔵の実体はなく・・・。
「シニガミ!お前、仕事熱心だな。一日に二回も来るなんてな。」
「どうしてもお前の嫁さんに言われたことが気になってな。」
「ヒイナ?何を言ったんだ?」
「最期に言い残すことはないか、って聞いたら・・・もう言ってきたって言われたんだ。お前・・・なにか聞いたか?」
「ああ!ははっ!なんだ、そんなこと。」
「俺は・・・幸せだった。そりゃ、これだけ長く生きてりゃ、いろんなことがあったよ。辛いこともあったし、悲しい想いもした。けどなぁ、思い出すのは・・・ヒイナと過ごした楽しい毎日のことだけだ。」
「そんなことを聞いてるんじゃない。なにを・・・。」
「そ・・・。」
「まさしく、薔薇色の人生ってヤツだ。最期の時まで一緒だなんて、感無量だね。」
「左京には悪いが・・・あいつはまだ若いし、俺たちの死なんかすぐに乗り越えて、生きていくだろ。
さ、早くヒイナのところに連れて行ってくれ。」
「言い残すことはそれだけだ。早くヒイナに会いたいんだ。早くあいつのこと抱きしめて、安心させてやりたいんだ。
・・・ああ・・・。
寂しいのは俺だけじゃなかったんだ・・・。ヒイナもきっと寂しがってる。
だって俺たち・・・一緒に暮らし始めてから、離れたことなんかなかったんだから・・・。」
「・・・。」
「・・・なんて・・・人を食った夫婦だ・・・。・・・ったく。」
以蔵が天に召され、シニガミも去っていきました。
一人残された左京。
以蔵の突然の死に、何が出来るわけでもなく、嘆くことしかできません。
「父さん・・・母さん・・・。」
「同じ日に二人とも亡くなるなんて・・・。けど・・・これでよかったんだよな・・・?父さん・・・幸せだろ?」
やっぱり、一人で寂しい思いをするのが嫌で、ヒイナさんが以蔵を呼び寄せてしまったんでしょうか?
それとも、以蔵が嘆き悲しむのを見るのに耐えられなくて、シニガミに頼んだんでしょうか?
本当に、よりによって同じ日に亡くなるとは、思ってもみませんでした。
けれど・・・やっぱり二人の絆が深すぎて、お互いに離れるのは不自然だと感じたのでしょう。
きっと、今頃、ヒイナさんは天国で以蔵の腕の中に飛び込んでいるに違いありません。
二人が天寿をまっとうしたので、この物語はおしまいです。
この後、エピローグとあとがきに続きます。
「お待たせ!」
「以蔵・・・大好き!!」
うお~!ヒイナさんに続き以蔵まで……。
返信削除思わず涙が…。
まさか同じ日なんて…。
最後に「お待たせ!」
「以蔵・・・大好き!!」
でもうポロッと来ちゃいました。
何と言う夫婦愛。
これはちょっと感動ですね。
二人は永遠に一緒ですね…。
なんだかよかったような気がします。
以蔵一人でヒイナさんのいないこの世界で住んでても
淋しいですもんね。
こんな死に方ならいいな~なんて思っちゃいました。
左京の言葉じゃないけど幸せですよね?
エピローグはまだですが、ユズさんもお疲れ様です。
たぶん気落ちしてるんじゃないでしょうか?
淋しいですよね…。
子供と言うか家族と言うか…そんな感じですもんね。
うっ……以蔵・・・
私も淋しいです…
まことんさん、こんばんは!
返信削除アップした直後にコメントいただいてしまって・・・ありがとうございます!
ホントにホントに、同じ日に亡くなるなんて思ってもみなくって、ただただ驚くばかりです。
いったい、どれだけ愛し合ってたんだ!・・・と思いましたね。
気落ち、というよりも、気が抜けてしまって・・・。
これ、書くのに何時間もかかってしまって、何度も読み返して修正して・・・ってやってたんですが、書いてる間中、ぼろぼろ泣いてました。
以蔵とヒイナさんの二人と別れるのが辛くって・・・。
でも、気を取り直して、今、エピローグを執筆中です!
寂しいって言ってくれてありがとうございます。
以蔵もきっと喜んでますよ!