『なかなか・・・そう簡単に見つかるもんじゃ・・・ないなぁ・・・。』
『掘っても掘っても、出てくるのは石ころばっかり。ここじゃ・・・ないのかな・・・?』
簡単には見つからない、とは分かっていたが、家の敷地内を引っくり返すつもりで掘り続けていた。
しかし、何も出てこない。
なんでもいい。
手掛かりが欲しい。
本当にこの家にあるのかないのか、それだけでも示して欲しい。
「ロッタ、お前早起きだな。珍しい。」
「違うの。眠れなかったの・・・。」
「うん?どうした?」
ギルに抱かれて有頂天になったロッタだったが、その興奮が覚めると、ギルにプロポーズしなければいけないことを思い出し、彼女にしては珍しく考え込んでいたのだ。
けれど、考えれば考えるほど頭の中が混乱して、ショート寸前。
で、徹夜してしまったというわけだった。
「大丈夫か?お前・・・。」
「うん・・・。」
「今日は休みだろ?どっか連れてってやろうかと思ったんだけど・・・。」
「え!?遊び、連れてってくれるの!?行く行く~っ!!」
「お前・・・徹夜なんじゃないのかよ・・・。」
「ギルが遊びにつれてってくれるんだもん!平気だよっ!!」
「・・・ま、そんな遠くには行かないし・・・いっか。」
「どこどこ~っ?どこ行くの??踊り?プール?」
「こんな朝早くから踊るバカがいるか。お前の体力、どうなってんだよ。」
「だぁ~ってぇ。ギルが遊びに連れてってくれるんだもん♪」
『ふっ・・・可愛い・・・。』
「ねぇ~。どこ?」
「とりあえず行くか!坊ちゃんに車借りて行こう。」
週末の早朝。
キリっと冷えた空気が心地いい。
「お前、頭はっきりしてるか?」
「うん!大丈夫!!」
宗太に借りた車を走らせ着いた先は・・・
「ん?堤防?ここで何するの?」
「釣りだよ。」
「釣り?あたし、やったことなーい。」
「・・・下、降りよう。」
「こけるなよ。」
「平気!」
「おー・・・風が気持ちいいな。」
「ねー。魚釣り禁止、って書いてあるよー?」
「いいんだ。釣るのは魚じゃないから。」
「?」
そう。ギルが釣りたいのは、魚ではない。
場所は別にどこでもよかったのだが、とにかく、家の中では周りの視線が気になって、なかなか行動を起こせない。
だからロッタが起きていたのを幸い、ここまで連れ出したのだ。
「ロッタ。ちょっと来い。」
「なぁに?」
ロッタは、ギルの表情を見て、ビクっとした。
なんだか・・・怖い。
なにか・・・怒られるようなことをしただろうか・・・。
「ロッタ・・・よく聞け。」
「う・・・うん・・・。」
「これを・・・お前にやる。」
そう言ってギルは、ポケットからおもむろに光るリングを取り出し、ロッタの指にはめた。
「え?え?なぁーに?これっ!あたしにくれるの??」
「そう。」
「どうしたの??なんで?なんで?」
「お前・・・俺と結婚しろ。」
「キレイな指輪~。・・・えっ!?」
「もう一度だけ言う。お前、俺と結婚しろ。」
「ギ・・・ギル・・・それって・・・。」
「返事は?」
「それって・・・プロポーズ!?」
「ん。」
思いもかけないギルからのプロポーズに、ロッタは驚いた。
そして、驚くと同時に、考えすぎてキリキリ頭を痛めたことも、思い悩みすぎて眠れなかったことも吹っ飛んでしまった。
「す・・・するするするーーっ!!!結婚するっ!!」
「(よかった・・・断られなくて・・・)よしっ。」
「ギルーーっ!!」
ロッタは嬉しかった。
生きていてよかった、と生まれて初めて思えた。
自分は愛されている。
自分が探し続けた王子様に、今、愛されているという実感がこみ上げてきた。
「ロッタ、お前、わがままは言っていい。けど・・・これからは俺にだけ言え。他のヤツに言うな。誓えるか?」
「うん・・・。」
「お前みたいなわがまま姫は、俺くらいしか結婚してやろうなんて言わないぞ。感謝しろ。」
「うん!ギル・・・好き・・・。」
「ずぅーっと死ぬまで、あたしと一緒にいてくれる・・・?」
「もちろん。」
「あたし・・・ギルの赤ちゃんが欲しい・・・。そんでね、可愛いお洋服着せてあげて、可愛がってうんと愛してあげて育てるの・・・。」
「・・・おっと・・・。」
涙が溢れそうになった。
ロッタが承知してくれただけでも上々だったのに、こんな可愛いことを言い出すとは思わなかった。
「・・・たくさん作ろう。子供・・・。」
「うん!二人で可愛がるの!!でも、あたしのこともちゃーんと可愛がってね!!」
「もちろん。」
「お城みたいな白くて広ーいおウチに住んで、毎日踊って暮らしたい!!」
『・・・早速出たぞ・・・。』
「(しかし・・・悪くない気分だ・・・。)式も挙げよう。但し・・・。もうちょっと待て。」
「あたしはいつでもいいよ?今から教会行っても・・・。」
「いや・・・。」
ギルは、見届けたかったのだ。
橘花があの家の謎を解くのを。
そして、それが終わった時、橘花がどうするのかを。
ロッタとの結婚は、それからでも遅くない。
もう一緒に暮らしているのだし、結婚したとしても、当面はあの家から出る気はないのだから。
「橘花ちゃん、また掘ってんの?」
「うん。・・・でも、なんにもない。やんなっちゃう。」
「なんかヒントはないかなぁ・・・って思ってるんだけど・・・。」
「ヒント・・・か。」
「そうなの。なんか・・・印とか。」
『圭介さん・・・行ったな・・・。』
「それか・・・。」
「・・・橘花。」
「あ・・・。」
「・・・も。左京・・・ダメってば・・・。」
「ゴメン・・・。けどさ・・・。」
こんなに近くに居るのに、手を伸ばせば触れられるのに、いつでもどこでも抱き締めるわけにはいかないのが辛い。
「・・・我慢出来ないんだ・・・。」
「・・・ダメ・・・。」
『ダメよ・・・左京・・・。惑わせないで・・・。』
左京に触れられると、胸の中に飛び込んでいきたくなる。
いっそそうしてしまえたら、どんなに楽だろう。
『ダメ・・・か・・・。』
初めて肌を合わせ、気持ちを確かめ合ったあの日から、ずっと橘花を抱いていない。
しばらくは墓探しに専念したい、といって、ほとんど外にも出ず、絵を描くことも彫刻を作ることもせずに、一心不乱に庭を掘り返しているのだ。
『今夜・・・部屋に忍んで行こうか・・・。』
橘花を抱き締めたかった。
人がいない隙を見計らって、彼女に触れたり、キスをしたりしているが、橘花は左京のそんな態度を『ダメ』だと言って、必ず制止する。
『・・・ふむ・・・。フルーツ・パイってこうやって作るのか・・・。母さん、よく作ってくれてたな・・・。』
仲睦まじかった父と母の姿を思い浮かべていた。
子供が見ていようと構わずに、キスしたりハグしたり・・・。
それを見て育ったのに、自分はどうしてこんなにドライなのだろうか、と以前は思っていた。
だが違う。
自分を熱くさせてくれる人がいなかったからだ。
今夜・・・彼女の部屋に行く。
そう決めた。
だが・・・。
昂ぶる気持ちを抑えながら、橘花の部屋を訪れようとした左京の前に・・・
「・・・え・・・?」
チャールズ・クレメンタインの霊が姿を現した。
チャールズは橘花の部屋の壁をすり抜けて・・・そしてふわり、と消えた。
「ワールドイズマイン」という歌をご存知でしょうか?
ボカロのオリジナル曲で、初音ミクが歌っています。
♪世界で一番おひめさま
そういう扱い心得てよね
その一 いつもと違う髪型に気が付くこと
その二 ちゃんと靴まで見ること いいね?♪
・・・という歌詞です。
わがまま姫の歌なんですが、無口で無愛想な王子様に惚れちゃってて、王子様が鈍くって、姫の気持ちになかなか気付いてくれなくて焦れてる、非常に可愛い歌です♪
ロッタちゃんのテーマ曲です。
あ、ちなみにフルーツ・パイは橘花の好物です。
yuzuさん、こんばんは!
返信削除解った、何故遅い時間にコメントするのか。
つい今しがたまでシムズやってたんですよ。で疲れて休憩がてら
人様のブログを見に行くから1時とかになっちゃうんですよ~。
なるほど~~。
さて?・・・・・・。左京君。君ってやつぁ。
人目もはばかってあっちこっちで、
いちゃいちゃ、いちゃいちゃ、いちゃいちゃと。
そういうのは、いつかぜ~~~ったい見つかりますよ。
ロッタちゃんとギル。よかったね~。おめでとう。
二人は必ず幸せになりますよね。いいなぁ~~。
あ、また2時とかに書き込みしました。明日日曜日だから、いいかな~~?
いいとも~~~!w
この間の通りすがりの人さん、おはようございまーす!!
返信削除あっ。なるほどなるほど~。
シムズやってたら、いつの間にか時間、経っちゃいますもんねー。
それで夜更かしさんなんですね♪
大丈夫!昨夜は、メール来た時は、布団に入ろうとしてたとこで、でもまたパソコン立ち上げるのがちょっと面倒だったんで、読むだけ読んで、返信は朝になりましたー。
そもそも、携帯は目覚まし代わりに使っているので、枕元に置いてはいるんですけど、メールの着信音もバイブも切ってあるので、うるさくて目が覚める、とかそんなんじゃないんですよ。
ただ、『メール来た』って気配というか直感(?)で目が覚めるんで、起きちゃう自分が悪いんですねー。
逆に、日中の方が気付かないことも多いし(^_^;)ゝ
左京、ダメですね~(笑)
そりゃ、橘花に『ダメ』って言われますがな。
フリーにしてると、ホント、人目を憚らずやってますからね~。
左京、本当に溜まってるんでしょうなぁ。
う~ん。
なんとかしてあげたいけど、話の流れ上、そうはいかないので、もうちょっと我慢して貰いましょう。
ギルとロッタちゃん。
Happyな感じになりました♪
こうしてみると、なんだか似合いの二人だわ♡
まだ生活時間が合わない二人だけど、赤ちゃんが出来れば、ロッタちゃんは仕事、辞めるかも。
たくさん赤ちゃん、産ませてあげたいな。
お。今日は日曜か。
もちろん、何時でもいいとも~~(^0^)/
あぁぁ~泣いちゃいました(ノω・、)
返信削除プロポーズシーン・・ステキでしたっ♪
あ~いい~~
もぉほんわかあったかジーンですよ・・(〃ω〃)
左京とパパ・・この二人もおもしろぃですねぇ~
いずれもしかすると・・親子?( ´艸`)
あたし的にはアリですっ!(キッパリ
パッと見ちょっと似てる二人ですが
まったく違った大人の雰囲気が大好きです。
それにしても左京・・ベタベタしたいんだなw
まぁ、始まったばかりだし仕方ないか( ´艸`)
かわいぃ~☆
橘花ちゃんは必死にさがしてるんだから
おぉぃ!男たち・・
身の心配をする前に手伝えーーっつぅの!w
霊がいるという事はこの屋敷に墓があるに違いないっ
橘花ちゃん がんばれ~~っ☆
でも・・1人で出て行かないでねw
あ・・そうか・・なるほどっ!
ん~~あたってるかな・・続きが楽しみです♪
こんにちわ~♪
返信削除ギル!かっこいい!
ロッタちゃん、よかったね♪おめでとう!(^^)!
ギルが両手を広げてそんでロッタちゃんが
「ギルーーっ!!」の時のしぐさが凄く可愛らしい。
こっちまでや~んってなっちゃいます♪
そして左京。
思いっきりティーンエイジャーの頃に戻ってますね(笑)
なんか左京も凄く可愛いです♪
橘花にダメ…って言われてしゅんとしてるようで笑っちゃいます(笑)
ああ、なんだか抱きしめてあげたくなっちゃう。
私でよければいつでもどこでもチュウでもなんでもしてもいいのに(笑)
けど彼は彼なりに不安なんだと思います。
なんせ初めての恋と言ってもいいんですもんね。
左京がいじらしく感じました。
そして左京がチャールズ・クレメンタインの霊と遭遇しましたね!
幽霊だ!ひゃ~~!
なんだかいよいよって感じで盛り上がってきましたよ!
続きを楽しみにしています!!!
左京の夜這い(笑)を邪魔するかのように現れたチャールズの亡霊
返信削除パズルが解ける時が近づいてきたみたいですね(わくわく)
左京ってあのラブラブカップルの息子のわりにはクールというか、褪めている感じでしたが、中年(<失敬)の今頃になって初めて本気で惚れる女性に巡り合えたわけで良かったですね
宝探しが終わった後、橘花との関係にどうゆう決着がつけられるかハラハラしながら見守らせて下さい
ではでは・・・
ぽよ~んさん、こんばんは!!
返信削除ギル、決めてくれましたよ~(^-^)
カッコよかった?でしょでしょ~♪
ロッタちゃんとギルって、ホントにお似合いなんですよ。
本当に、絶対最後はギルのところに戻って来る、っていう感じです。
ギルとロッタの結婚式もやりますよ~。
まだまだ先だけど・・・。
んで、出来れば二人の子供が見たい!!
パパと左京は、なんだかいいコンビです♪
やっぱり年も一番近いし、子を持つ親同士、話しも合うのかな~。
男ども、ホント手伝え!・・・って感じです(^_^;)
掘削機って、スキルがなくても扱えるのかな?
そういえば試したことなかったです。
発明スキルを持ってるのは、橘花だけなんですよ。
橘花がどうするのか・・・楽しみにしててくださいねっ☆
まことんさん、こんばんはー!!
返信削除ギル、なかなか良いでしょ?
相変わらずのプロポーズシーンなんですが、順番をバラバラにしてみたらいい感じでした(^-^)
二人は幸せになりますよ~。きっと。
包み込んでくれる人に、ロッタちゃん、やっと巡り合えたんです。
それに比べて左京ったら・・・w
図らずも、左京が言ってましたよね。自分の方が処女みたいだ、って。
それなんですよ。
初恋と言ってもいいくらいの気持ち。
・・・ま、40過ぎてそれもちょっと気持ち悪いけど・・・。
擬似恋愛みたいなうす~い恋しかしてこなかったんで、経験はいっぱいあるけど、本当に好きな人の前では、どうしたらいいか分からないんですよね~。
・・・あ、左京の方がちぇり~ぼ~いなのかもヾ(>▽<)ゞ
いよいよ謎解きです!
その前に・・・ちょっとしたことをやります。
いえ、ストーリーの中じゃなくってね。(なんなんだよ)
片岡さん、こんばんはー!!
返信削除あっ・・・悔しいっ!!
先に夜這いって言われちゃった・・・。
次回、その言葉で笑わせようと思ってたのに・・・。
でも、紛うことなき夜這いなんで、しゃーないですね(^-^;)ゝ
そうそう。
考えてみれば、前作から左京は悩んでたような気がします。
以蔵とヒイナさんの息子なのに、なんでクールでドライなんだろうって。
あーんな仲のいい夫婦から生まれて、その仲の良さをずっと見て育ってきたのに、なんで自分はああいう風になれないんだろうってね。
中年の恋もありですよね。
かえってしつこそ・・・いや失礼r(^ω^*)
左京と橘花がベタベタいちゃいちゃしてるところをもっと見て貰いたいんですが、宝探しが先です!
ホント、左京が黙って行かせるはずないんですから。