「マルゴ、俺も帰るよ。」
「あの子とはまた会えるじゃない。もうちょっと私に付き合って。」
「君ねぇ・・・。」
「・・・明日、サンセット・バレーに帰るの。お願い。今夜は付き合って。」
一人で帰ってしまった橘花が気になった。
すぐにでも後を追いかけたくてじりじりしていたが、こうまで言われて、マルゴを置き去りにするのも気の毒な気がした。
「・・・ったく。食事したら帰るぞ。」
「ありがとう・・・。」
目の前の店に入り、二人、何を話すでもなく、ただ腹を満たした。
マルゴがなにか言いたげな素振りは見せていたが、左京はあえて聞かなかった。
「じゃ、俺、帰るから。」
「左京、また会いに来てもいい?」
「何の為に?」
「会いたいと思って、会いに来ちゃダメなの?宗太にも会ってないし・・・。」
「そんな関係じゃないだろ?それに、そう簡単に宗太に会いたいなんて言うなよ。
あいつにとって、顔も知らない産みの親に会うって事が、どれほどの重みを持つのか分かってるのか?」
「・・・顔は知ってるはずよ・・・。」
「・・・なぜ?」
「まだ小さい頃・・・一度だけ儀助と二人で訪ねてきたわ・・・。」
「・・・だったら尚更だろ?宗太は俺にそんなこと一言も言わないし、会いたいと思ったなら同じ街に住んでた時に、会いに行ってるはずだよ。会いに行ったのは一度だけなんだろ?
その時に宗太の中では決着がついてるってことじゃないか。・・・気紛れでそんなこと、言わないでくれ。」
「え・・・気紛れなんかじゃ・・・。」
「ウソつくなよ。仕事ってのもウソだろ?」
「知ってたの・・・?」
「勘だよ。」
「・・・やっぱりあなたには敵わないわ・・・。そう。私・・・また離婚したのよ。」
「サンセット・バレーの人か?」
「そう。」
「それで寂しくなって、会いに来たか。」
「向こうで儀助には会えるけど、声かけずらいし・・・。」
「そりゃそうだろ。」
「俺はいいけどさ、儀助や宗太のことを振り回すのはやめてくれ。」
「・・・あなた、やっぱりあの頃と変わってないわ。いつも頭の隅は冷静で、醒めてる。熱くなることなんかない。・・・人間の本質なんて、そうそう変わるもんじゃないわね・・・。」
「・・・ホテルまで送って行くよ。」
「・・・駅でいいわ。これ以上ここにいる意味ないから・・・。」
寂しさを紛らわせる為に会いに来た、と彼女は言ったが、それだけではないだろう。
あわよくばよりを戻そう・・・そこまではいかなくとも、連絡を取り合うくらいまで仲を修復できないか、そんなことを考えていたかもしれない。
けれども彼女は、自分のことを『変わっていない』と言った。
あの頃と同じ、『変わっていない』自分とよりを戻せるかどうか、少し考えてみれば分かることなのに、と左京は思った。
それよりも、橘花の方が心配だった。
「橘花ちゃん、さっきはゴメン。あのさ・・・。」
「・・・ごちそうさま。」
家に帰ると、深夜を過ぎていた。
橘花は今、食事をしていたようだった。
「ちょっと待って、橘花ちゃん。」
「・・・奥さん、帰ったの?」
「ああ。送ってきたよ。・・・ホント、今日はゴメン。この埋め合わせは・・・。」
「キレイな人だね。宗太くんのお母さんなんでしょ?」
「そうだけど・・・。な、話し・・・。」
「全然そんな感じじゃないね。すっごく若いし、左京が好きになったの当然よね。」
「そうじゃなくって・・・。」
「あ、分かった。左京、奥さんと待ち合わせでもしてたんでしょ?約束してたんだね。だから一緒に行きたいなんて言って・・・。」
「約束?なんでだよ。」
「だってさ、会いに来てたんでしょ?」
「違うって。俺の話し、聞いてくれよ。」
「・・・明日でいい?ワタシ、もう寝るわ。今日は邪魔しちゃってゴメンね。」
「橘花ちゃん!」
「俺の話し、聞けって!」
「・・・手、離してよ・・・。」
左京の話というのはなんだろう?
前の奥さんとよりを戻して、ここを出て行く?
だから自分と彼女を引き合わせた?
「やめて。今は聞きたくない。あの人の話なんて・・・。」
「なに誤解してんだよっ。」
「だって・・・ワタシ、こないだも見たんだもん。公園で、あの人と抱き合ってるとこ。付き合ってる人なのかな、って思ってたけど、前の奥さんだったんだね。ワタシなんかよりずーっとキレイだし優しそうだし料理もうまいだろうし女らしいし頭良さそうだし優しそうだし・・・あ、さっき言ったか。えーっと・・・。」
「・・・え・・・?」
「少し・・・黙って・・・。」
「・・・やっぱり話は明日にしよう。・・・おやすみ。」
「・・・。」
『俺・・・さっき、何した?』
「・・・左京。」
ぼーっと考えているところに、急に声をかけられ、ドキっとした。
「・・・見ちゃった。」
「ロッタ・・・。」
「左京、橘花のことが好きなの?」
「好きだよ。」
「即答出来るって・・・それって、人間としての好き嫌いでしょ?そうじゃなくって。」
「・・・どうなんだろ・・・。」
「分かんないの?じゃ、なんでキスしたの?」
「なんでだろう・・・。」
「呆れた。・・・でも、そんなもんかもねー。」
ロッタに見られていたことに対して気まずい、というよりも、どうして自分があんな行動を取ったのかが分からずに、困惑していた。
「・・・答えが出たら教えてね。あたしも知りたいから。」
「教えないよ。」
橘花が自分とマルゴの仲に嫉妬している、ということが分かった時、驚いた。
そして、橘花を愛しいと感じた。
そこからは何も考えていない。
気がついたら抱きしめていたのだ。
「考えるより先に行動するなんて・・・らしくないな・・・。頭の隅っこにいっつも冷静さが残ってるって言われたばっかりなのに・・・。」
今までこんなことはあっただろうか?
自分は確かに今まで、なにかに熱くなったことなどないかもしれない。
今、頭の芯がぼぉっとして、何も考えられなくなっているこの感覚を、なんと表現したらいいのだろうか?
左京は今、生まれて初めて目を開けたような、そんな妙な感覚に陥っていた。
覚醒したのは左京でした(^-^*)可愛い。
こんばんわ~♪
返信削除うわ~!うわ~!うわ~!
左京…絶対に恋してる!
橘花に完璧に恋してる!絶対だから!
なんだか興奮しちゃってます(笑)
もう、うわ~しか出てこない。
突然のキス。素敵!もうウットリですよ~。
あんな風に突然キスされたらしびれまくりますよね(笑)
なんだかマジで興奮がおさまらない(笑)
彼は初めて熱くなった自分に気づいたんですね。
もしや初めて人を愛しはじめてる?
確かに今までの彼はクールだったし、愛に執着がなかったように思えます。
ですが、それは熱くなれる女性に巡り合ってなかったからだったんですね。
それを橘花が目覚めさせた…。
くっ…素敵すぎるっ…!!!
あ~どうしよう。左京の事がもっと好きになった(笑)
やべーやべー(笑)
続きを楽しみにしています!!!
まことんさん、こんばんはー!
返信削除それ、当たりです。
左京ってば、本気で熱くなれるほど人を愛すのが初めてなんですよー。
そりゃあ一度は結婚して、子供まで出来たけど、彼が愛してたのは一人の女性じゃなくって、『家族』だったんですよね~。
離婚してからは、適当にいろんな人と、それなりに付き合ったりもしたけど、本気とは程遠かったってことです。
さ~て、どうしよっかなぁ、と考えてます。
いや、この後のストーリー展開。
実は、ラスト・シーンは決めてて、あと、周りのこととかもあれこれ決めてはあるのですが、橘花の男性関係については、全然決めてないんですよ。
ワタシの気分次第で、ダニエルだったかもしれないし、宗太だったかもしれない。
だからこの数話は、かなり自分的に冒険でした。
なんか、ふと、『・・・左京だな』と思って作った話です。
でも、その直感が大事かも。
ところで、同僚二人はインフルエンザでもなんでもなくって、元気に出勤してきました!よかった~(^o^)
仕事も今日、大きいのが一つ片付いたんで、ゆっくりシムズ出来そうです~ヽ(^◇^*)/
脱線しないうちにゲーム、起動しますっ!