「左京ー。答え、出た?」
「・・・でねぇよ。出ても教えないって言ったろ?」
「ちぇー。でもさー、嫌いな人には、キスなんかしないよねぇ?」
「好きか嫌いかで割り切れるもんじゃないだろう。」
ロッタが言う『答え』。そんなものはとうに出ている。
行動の後についてきた気持ち。
・・・いや、とうに自分の中にあった気持ちに気付いただけだ。
橘花と言葉を交わせないことが、こんなに辛いことだとは思わなかった。
もしかすると、避けられているのかもしれない、と感じていた。
一体、いつから自分は橘花に惹かれていたのだろう?
『・・・ダメだ、俺。もう耐えらんない・・・。』
自分の気持ちを自分の胸の内だけに留めておくのが苦しい。
宗太のことも気になる。
とにかく橘花の顔を見て話したかった。
そして・・・あの日目覚めた自分の気持ちを言わなくては、と思った。
『・・・偽らない自分の気持ち・・・か。』
ギルにそう言われて、橘花は決めた。
もう迷わない。自分が好きなのは、左京だけだ。
「・・・橘花ちゃん、ちょっといい?」
「・・・左京?」
そんなことを考えている矢先に左京が部屋にやってきた。
決めたばかりなのに、左京に声をかけられただけで、心臓が締め付けられるように苦しくなってくる。
左京とまともに言葉を交わすのは、キスされたあの日以来だ。
橘花はくじけそうな気持ちを励まそうとしたが、振り向くことが出来なかった。
「・・・なに?」
「あのさ・・・。」
左京が何を言い出すのか、と橘花は身構えていた。
話を聞くのが怖い。
あの日のことは忘れてくれ、と言うだろうか・・・。それとも・・・。
「あの日のこと・・・。」
「・・・俺、謝らないから。」
「・・・え?」
思わず振り返って、左京の顔を見た。
その途端、左京を思う気持ちが橘花の中で弾けそうになった。
「それ・・・どういう意味?」
「言葉通りの意味だよ。君は嫌だったかもしれないけど、俺の気持ちから出た行動だから。謝る気はないよ。」
「左京の・・・気持ち?」
「ああ。」
心臓が早鐘を打つ。
「俺・・・君のこと好きだ。」
「・・・え・・・。」
一瞬、頭の中が真っ白になった。
それから、左京の言葉が反響して頭の中に流れ込んできた。
「ワタシのこと・・・。」
「・・・好きだ・・・って言ったんだ。」
「ま・・・待って。」
「宗太から告白されたんだろ?俺、あいつに勝てる、とか思ってない。君は俺に対してなんの感情も抱いてないだろうけど俺は・・・。」
「・・・ちょっと待って。そうじゃない。違うわ。」
「え?」
こんなことを言われるとは思っていなかった。
今まであれこれと思い悩んで、左京を避けるような態度を取っていたのがバカみたいだ。
「違うのよ。左京のことが好きなのは、ワタシなの。ワタシが、左京のことを好きなのよ。抱き締められて夢みたいだった!こんなことが自分の人生に起こるなんて、ウソみたい!」
「橘花ちゃん・・・。」
橘花の言葉が左京の思いと絡み合い、空中に消えていく。
視線が交差して、そして、二人の気持ちが溶け合っていった。
「ホントかよ?」
「ホント。・・・左京のことが・・・好き。」
「・・・なんて・・・可愛いこと言うんだ・・・君は・・・。」
「・・・だって・・・えっと・・・。」
「だって・・・最初っからワタシ・・・左京のこと好きだったんだもん・・・。最初はただの憧れだったけど・・・今は違う。本当に好きでたまらないの・・・。」
「・・・俺みたいな男でいいのか?」
「ワタシみたいな小娘でいいの?」
「・・・ちくしょう・・・。」
「くっそー・・・こっち向いて?」
「・・・ん。」
橘花が愛しい。かわいい。
宗太のことやダニエルのこと、その他の周りのこと、自分の立場、年齢、そんなものすべてが左京の中で、なんの意味もなさなくなっていた。
橘花だけがいればいい。
すべてを犠牲にしてでも手に入れたいと思っていた。
今、その望みが叶った。
「・・・橘花の部屋・・・誰かいるな。結界でも張ってんのか?入れねー。」
橘花の部屋に入ろうとしていた圭介だったが、妙な空気を察知して動けなくなっていた(笑)
「・・・橘花・・・。」
「ん?」
「・・・俺、止まらなくなりそう・・・。・・・抱きたい。」
「待って・・・ここじゃイヤだよ。」
「ん?」
「誰かに聞き耳立てられてるかも。みんなに知られたくない。」
「親父さんもいるしな・・・。そうだな・・・知られたくないのは・・・俺も一緒だ。」
「・・・今度、外に出掛けような。」
左京がそっと囁いた。
『・・・あのままだったら、ワタシも止まんなくなってた。左京があんなこと言うなんて・・・信じられない。』
「・・・橘花、さっき部屋に誰かいた?」
「ん。左京。」
自分の願い事を神様が聞き届けてくれた、そんな気がする時間だった。
けれども、だからこそ橘花は、あの瞬間が夢じゃないのか?と疑って、我に返ることが出来た。
相手が左京でなければ・・・あのまま抱かれていただろう。
「なんだ。左京か。お前、部屋に結界張るなよ。」
「張ってないよ、そんなもん。」
圭介は、左京なら安心だ、と高を括っていた。
自分と同じ年頃の左京が、自分の娘ほども年の離れた橘花に思いを寄せるなど、想像も出来ないのだ。
『パパ、いたのか・・・。危なかった・・・。』
「橘花、お前、宗太くんに口説かれたんだって?」
「違うよ。好きだって言われただけ。」
「・・・んで?どうなの?」
「そうねー・・・。」
「なんだ。その気がないんなら、ちゃんと断れよ。」
「・・・なんでそうなるの?」
「だってお前も彼のこと好きなんだったら、そんな言い方するか?」
「分かんないじゃない。」
「分かるさ。お前、昔っからそうだ。お前も好きなら、好きってはっきり言うだろう?」
「そうかな?」
「学生の時も、彼氏が出来た時は大喜びで報告したくせに。」
そうだ。
圭介に、『左京と何かあったか?』と問われれば、答えてしまうかもしれない。
隠すのはいいが、圭介に嘘をつくのは嫌だ。
「でさ、うまくいってんのかと思ったら、そのうち『別れた』とか唐突に言い出してさ。『左京の方がいい』って。なんだそりゃ?」
『・・・左京って名前・・・出さないでよ。ドキッとするから・・・。』
「左京、左京って子供の頃からバカの一つ覚えみたいに追っかけまわしてさ。お前・・・執念深いなぁ。いや、さすがというべきか。今、一緒に住んでるんだもんなぁ。」
「(だから・・・)・・・パパは・・・再婚とかしないの?」
「再婚?さぁなー。」
「好きな人とか・・・いないの?」
話題を変えないと心臓がもたない。
「今はいないなぁ。」
「前はいたの?どんな人?ワタシの知ってる人?」
「お前のママ。」
「えー・・・それって・・・。執念深いのはどっちよ。」
なんだ、執念深いのは圭介の遺伝か・・・と言おうとして、ハタ、と思った。
そうか。
自分はクレメンタイン一族の血を引いているだけじゃない。
圭介の血も引いているのだ。
過去に生きた人達の、気が遠くなるほど無数の遺伝子が積み重なり、かけ合わされて、今の自分があるのだ。
『やだ・・・考えたら怖くなってきた・・・。』
「もう食わないのか?」
「お腹いっぱい。ごちそうさま。」
「お前さー・・・誰と付き合っても結局、『左京の方がいい』ってなるんだから、中途半端な気持ちなら付き合うんじゃないよ。」
「分かってるよ。」
『こいつ・・・結婚なんか出来るんかなぁ。左京がこんなに近くにいたんじゃ、まともに恋愛も出来ないんじゃないの?』
圭介の心配は、残念な方向に向かっていた。
むむ・・・んむむむ~~~、
返信削除うらやまし~~~~~ぃ、きっかちゃんが、
うーらーやーまーしー。
悪魔:
何を悩んでるの?さぁ大手を振って彼の胸の中に飛び込んじゃなさい!
天使:
だめよ!そんな周りのことを考えないようなことしていいとおもってるの?
悪魔:
だ~って、昔から超あこがれてて、その人おっかけてこの町に来たぐらいだよ?
万々歳じゃない、ハッピーエンドじゃない、何をまようことがあるの?
まごうことなき、左京とハッピーになればいいじゃ~ん
天使:
でも、でもでも、宗太君はどうするの?それにダニエルも。
むふふ。「抱きたい」とか、もう布団の中に入って足バタバタですよ。
よお~し、これで週末も元気に過ごすぞ!オー!
(物語の感想を言えよと、w)
この間の通りすがりの人さん、こんばんは~。
返信削除よしっ。受けた!∑d(≧▽≦*)
もぉ~、この間の通りすがりの人さん一人だけでも、左京の「抱きたい」に萌えてくれたら、それでいいです。
ホント、ワタシは悪魔の立場なので、ブログ書いてて、『ん?別にいいじゃん。いちゃいちゃしちゃえば。』とか思ってしまうんですよ。
あ~・・・ニヨニヨが止まらない~( ̄m ̄* )
物語の感想とか、気にしなくっていいですよ~。
自分のブログで、通りすがりさんのコメントが読めるなんて、幸せ~♪
ありがとうございました!!
左京の「抱きたい」発言に顔がゆるみっぱなしの片岡です
返信削除ふはは、「ここじゃイヤ」ならばどこで初ウフフを…? ブリッジポートにラブホってありましたっけ? (<よけいなお世話)
左京にまな娘を奪われるはめになるとはみじんも思っていないパパさんにも萌え♪
「圭介さん、これからは『お義父さん』って呼んでもいいですか?」
「やだっ(即答)」
いやはや… 私も物語の感想でなく、自分の「萌え語り」になってしまいました yuzu様、ごめんなさい
片岡さん、こんにちはー!
返信削除片岡さんも萌えていただきましたか!よかったー(^◇^;)
ラブホとかないので、作ろうかとも思ったんですが・・・やめました。
時間も惜しかったし、そういえばとある場所にそれっぽいところを作ってあったなぁ、と。
家の中ではやっぱり出来ないです(笑)
鍵開けてたら誰かしら入ってくるし、鍵かけたら左京が入れないし・・・(そういえば、そんなMOD、あったなぁ。)
パパは今ちょっとカヤの外ですねー。
や、左京と橘花が二人の仲を隠してるんで、誰も知らないんですねー。
『お義父さん』・・・呼ばせてみたいなぁ。
本当に貰い受けるなら、対決は避けられないですもんね♪
萌え語り、大歓迎です!
全然!謝らなくってもいいんですよぉ。
片岡さんのところで久しぶりに伊達さんを見て、こっそり萌えていたのは同じですから・・・。
橘花の部屋に左京を呼んで、ふたりだけになったらドアに鍵をかければよいのではないでしょうか?
返信削除それならば他の家族は入って来れないはずです
実は、家庭内不倫のL家でこの方法を使ったばかりなので…
でも、実際に不倫現場を目撃していなくても家族は「事実」を察知してしまうらしく、またたく間に家庭不和になりました
SIMって何かテレパシーのような特殊能力を持っているみたいですね
またまたお邪魔しました(ぺこり)
おっ?なるほどー。
返信削除けど、目撃してなくても察知してしまうのなら、やっぱり外じゃないとダメかな?
外でいたしても、察知するのかもしれないけど・・・。
うーん・・・シムの第六感はあなどれないですねー。
ここはやっぱり、「妬みはもうおしまい」とかいう生涯報酬が活躍するとこなんでしょうかね?
こんにちわ♪
返信削除私も左京のあの言葉に私も萌えっぱなしです。
「・・・俺、止まらなくなりそう・・・。・・・抱きたい。」
こ、これは…左京~~!!!!
なんて言う素敵なセリフを…。…まいったな…。
まいったまいった…あ~まいった。
そのセリフだけて昇天しちゃいそう(笑)
左京はああいったセクシーなセリフがめちゃめちゃ似合いますね。
先が楽しみだな~考えただけで胸キュンです(ハート)
私も自分の萌え話だけですみません(笑)
ですよねぇ~。さすがに同じ屋根の下で
返信削除隣に友達や父親がいるところでは、なかなかできないですよねえ。
昔あやまって、親のちょめちょめを見てしまったときの、いたたまれなさとか、
何かそんな空気が流れますよね~w(違うって?w)
家庭内でやってしまって、事実を察知されてしまったときの
修羅場っぷりは、ゲームのデータなのに、ピリピリする緊張感が出ますよね。
私はお嫁さんの父親と同居してたんですが、「別れる様に頼む」っていうのを
試しにやってみたら、仲むつまじい夫婦が本当に別れてしまって、
そのあと子供から思いっきり嫌われて凄く気まずい雰囲気になりました。
家庭内不倫なんてもう考えただけでも恐ろしく(ワクワク)しますよねえ。
あ!もちろんこれはゲームの中のお話ですよ!!オホホホーw
まことんさん、こんばんはー!
返信削除おっ。これまた、やったー☆
左京のあの台詞、どうしようかとずいぶん考えたんですが、(恋に落ちてからそこまでが、なんだかえらく早いような気がして・・・)でも、「抱きたい」という台詞を口に出して言っちゃうところが左京なんですよ。
もうね。自分が書いてて、ドキドキドキドキするんですよ。
橘花が羨ましいっていうか、左京の行動とか台詞とか考えるのが楽しくて♪
あー・・・一番左京に惚れてるのは、ワタシかもしんないです。
ワタシも萌えてますっ!(そればっかり(^-^;)ヾ)
この間の通りすがりの人さん、こんばんはー!
返信削除なんか、周りに人がいるところって、スリル感はあるんですけど、やっぱり出来ないですよね~。
おおおお親のちょめちょめは見たことありませんが、宗太に目撃されてしまったら、グレるくらいの勢いかもしれませんねぇ。
そうそう。「別れるように頼む」っての、あれ、ひどいですよね!
頼んだら、どんなに愛し合ってる夫婦でも、あっさり別れてしまうんですよね~。
一体、なんなんだ、シムズ・・・。
アメリカではあれが普通なのか??
家庭内不倫プレイもワクワクドキドキですよね(笑)
やったことはないんですが、ロッタちゃんがいろいろやらかしそうで、コワイ~((((;゚Д゚))))
一体どんな修羅場になるのか・・・やってみようか・・・(をい。)
・・・いや、ゲームだから。ゲーム・・・。
またもやお邪魔しました
返信削除橘花と左京が家以外の場所で初ウフフをしても、たぶん宗太とダニエルには感づかれますよ そして、宗太とダニエルにとって左京は間違いなく「敵」となります 家庭内修羅場は確実、わくわく(<こらこら)
そういえば「別れるように頼む」には拒否権はないんですよね (プロポーズはごくまれに断られることがあるのに…)
にっこりと笑って「あなたの言う通りですね」…って
「あっさり納得するなよ!!」と叫びたいです こういうところがアメリカンな感覚なんでしょうか?
ほ。外でウフフしても感づかれるとは!!
返信削除シムの察知能力、恐ろしや。
・・・いや、ホントに修羅場、確定ですよ~。どうしよう・・・楽しみ・・・いや、心配です~。
シムの嫉妬って、案外えげつないですよね。
会うなり罵られたりケンカ売られたりしませんか?
ま、複数人とうまくやろうったって、難しいのは現実も同じ。
でも、一度は対決させないと、宗太もダニエルも納得しないですよね。きっと。
前作の時に、ラブラブ夫婦に試したことがあるんですよ。「別れるように頼む」って。
どうなるかな?と思って。
拒否出来るのかとワタシも思ってました。
不倫相手に「奥さんと別れて」って頼んだこともありますが、せめて同世帯内では選択肢があってもいいと思うんですが・・・。
というか、最初から選択肢を作れよ、と。