どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

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主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

火曜日, 2月 15, 2011

ジェラシー

何があったのか、理解できないのは橘花も同じだった。
「・・・くらくらする・・・。」

「息が出来ないよ・・・。苦しい・・・。」

けれどもその苦しさは、逃れたい苦しさではない。
左京の息遣いが耳に残る。
左京に触れられた部分がすべて熱を持って、ずきずきと疼く。それがゆっくりと心まで侵食していく。
「ワタシ・・・左京のこと好き・・・なんだ・・・・。」

そうなのかもしれない、と昨日までは訝しんでいた。
けれどもこうやって口にしてみると、その思いに支配される。
分かりきっていたことの再確認・・・そんな気がした。

左京は、昨夜寝付くのが遅かったにも関わらず、朝、早く目が覚めてしまった。
・・・というよりも、ほとんど眠れなかった。
「ね、お父さん、話してくれた?」
「あ。・・・うーん・・・。いや、忘れてた。すまん。」

「えーっ。珍しいなぁ。お父さんが忘れるなんて。」
「うん。ゴメン。」
「・・・やっぱりお父さんからも聞きにくい?じゃあ、ダニエルさんにでも頼もうかなぁ。」
「その方がいいかもな。あいつ、なんも考えないで、ズバッと言うだろうし。」

もちろん、忘れてなどいない。
だが、宗太に頼まれた話をするどころではなくなってしまった。
「左京は身辺騒がしくてそれどころじゃないんだろうよ。」
「え?なに?」

ギルが何を言い出すのか、左京は内心あわてていた。
ロッタがギルに昨夜のことをもう話しているかもしれない。
「左京がどっかの女の人と抱き合ってたって話だよ。ずいぶん噂になってるぞ?」
「なんだ。そんなの。仲いい人とハグくらいするじゃん。お父さん、有名人なんだから、そんな噂いちいち真に受けてたら、身体もたないよ。」

なんだ、そっちか・・・とホッとした。
もし、ロッタがギルに話していたとしても、宗太の目の前でそんなことは口にしないかもしれない。
『・・・息子の好きな娘に横恋慕か・・・最悪だな、俺。』

宗太が橘花に仄かな恋心を抱いているのは知っている。
加えて、ダニエルも同じだということは分かっている。
それでも、芽生えてしまった気持ちは元に戻すことは出来ない。
「・・・で、左京。実際のトコ、どうなのよ?」
「え?」
「赤いコートのオンナ。誰?」
「・・・ああ。前の嫁。」
「なんだ!そうだったのか。」
「宗太には黙っててくれな。スキャンダルの方がまだマシだ。」
「オーライ。」

結局、宗太には、マルゴが来ていたことを話してはいない。
隠す必要もなかったが、マルゴが何を考えてツイン・ブルックまでやってきたのかということは、出来れば知られたくない。
『スキャンダル・・・か。』

自分の気持ちは、絶対に宗太に知られてはならない。
けれども、左京は橘花の顔が見たくて仕方なかった。
声を聞きたい。身体に触れたい。抱きしめて、キスをして、そして・・・。

「よっ、橘花~。お前、宝探ししないの?」
「宝探し?」

「遺産だよ、遺産。クレメンタインの。いくらぐらいあんだろうな?1000万?1億?」

「ワタシ、そんなのに興味ないよ・・・。」
「なーに言ってんだよ!金はないよりあった方がいいに決まってんだろ?な。探すの手伝うからさー。」

聞きにくいことをずばり聞けるのは、確かにダニエルにしか出来ない芸当かもしれない。
宗太に頼まれるまでもなく、ダニエルは橘花に、気になっていることを聞いていた。
「そんなに欲しかったら、ダニエルにあげるよ。」
「えー?お前が探さなきゃ意味ないんじゃないの?大体お前、ここんとこ暗いぞ?仕事、してんのか?」
「・・・してるよ。」
「ウソつけ。あれっきり彫刻、作らないじゃん。な、俺、またモデルやってやろうか?」

「・・・そんな気分じゃないんだ。ゴメン。」
「どうしたんだよ。お前らしくないなー。・・・あ、どっか連れてってやろうか?サッカー見に行こうか?」
「だからそんな気分じゃないんだってば。」

「じゃ、どんな気分なんだよ。・・・なんか変だなー。」

どこかに、自分が手にするべき遺産がある、と聞けば、探すのが普通じゃないのか、とダニエルは思うのだ。
だが、橘花は行動を起こそうとはしない。それが不思議でならない。
橘花が彫刻を作らないのは、怖いからだ。
チャールズの像を作っているときに、誰かに操られて作らされているような、自分の手足が誰かに支配されて意識しないのに動くような、あんな感覚をもう味わいたくないからだった。

『・・・もうっ。ダニエルのくせに、変なトコ鋭いんだから・・・。』
「ね、橘花さん。」
「ん?」

「ボクさ、今、畑作りに凝ってんだよねー。」
「野菜とか?」
「うん。今度さ、気が向いたときでいいから、種拾い、付き合ってくれない?」
「種?お店で売ってるんじゃないの?」

「店で買えるのは普通の種だろ?そうじゃなくってさ、レアな品種があるんだよ。生命の果実って知ってる?すっごく美味しいんだよ!」

「あ、なんか聞いたことある。」

「無理に・・・とは言わないけど・・・。気が向いたらでいいんだ。」
「うん。分かった。」

宗太が気遣ってくれているのが分かった。
ダニエルが気がついているのだ。考えてみれば、宗太が気付かないわけはない。
『・・・くっそ・・・なんかイライラする・・・。』

宗太と橘花がそうやって、なんのことはない話をしているだけなのに、左京は苛立ちを感じていた。
そんな自分を、最低だ、と思う。

『嫉妬してんのか・・・俺。・・・あ、橘花ちゃん・・・。』

声をかけようか、と思って、やめた。
『何、一生懸命作ってんだろな。・・・可愛い・・・。』

今、声をかけると自分が暴走してしまいそうで、けれども暴走したいような、いや、でも暴走してはいけないような、でも後先考えず暴走したいような・・・。
『んあーっ!何考えてんだ、俺っ!』

自分はもう、一生恋愛など出来ない、と思っていた。
なのに、今、これまで感じたことのない感情で、身も心も焦がれるようだった。
「・・・なんだ・・・俺・・・。今まで恋愛なんかしてなかったんじゃないか・・・。」

「バカだな。」

「こんなに一人の女性を欲しいなんて・・・思ったことない。」

橘花にこのことを告げるか止めるか・・・しかし、自分の気持ちだけでも伝えたい、そんなことを考えていた。

「ね、ギル。機嫌直った?」
「お前が反省するならな。」
「反省はしてるってばー。」

「・・・ったく調子いいな・・・お前は。家ん中で修羅場になったら、俺、友だちなくすだろ?」
「左京はもう誘えないよー。」
「なんで左京限定なんだよ。」

「ギルにだけ教えてあげるっ。」
「なんだ?」

「あのねっ、あたし、見ちゃったんだー。左京が橘花にキスしてるトコ。」
「えっ?」

「マジか?」
「大マジ!ビックリしちゃったよ~。」

その時、後ろに宗太がいることに二人とも気付いていなかった。
「ちょ・・・ロッタさんっ!今の話・・・何っ!?」
「あ・・・宗太・・・。」
「(ヤバイな・・・。)」←ギル

小声で囁いたつもりだったのだが、宗太に聞こえてしまっていた。
「ホントなの!?お父さんが橘花さんにキスしたなんてっ!」
「え・・・う、うん・・・。」
「いつっ!?どこでっ!?」
「坊ちゃん、落ち着け。」

「ロッタ、お前、見間違いじゃないのか?」
「え・・・ホントだもん・・・。ぎゅーって抱き締めて・・・。」
「(・・・こいつ・・・バカか!?俺に合わせりゃいいんだよっ!)」

そんなギルの視線には気付かず、ロッタは正直にありのままを話してしまった。

「そんな・・・お父さんが・・・なんで・・・。」

「お父さんがライバルだなんて・・・勝てっこないじゃんか・・・。」

実際の左京の気持ちは分からなかったが、もし、左京が橘花に手を出せば、橘花は自分のものにはならないだろう。
そんな気がした。






途中からがっつり作り直していたので、時間がかかってしまいました。すみません~。

親子で一人の女性を奪い合うなんて、鬼畜な展開だなぁ。
ダニエルも混ぜてあげたいなぁ。無理かな?

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