「お前さ・・・坊ちゃんにあんなことはっきり言うもんじゃないよ。」
「だって・・・ホントのことなのに?」
「いくらホントのことでも、知らない方がいいこともあるだろうが。」
「でも・・・。」
「お前はもうちょっと頭を回転させろ。」
「・・・最近、ギルに怒られてばっかり・・・。エッチもしてくんないし・・・。」
「ギル、あたしのこと嫌いになっちゃうかな・・・。そんなのヤだな・・・。」
思ったことを素直に口に出すばかりではダメなのかもしれない。
ロッタの心境に、変化が現れ始めていた。
「橘花さん、おはよ。今起きたの?」
「ううん。起きてたよ。ご飯食べてた。」
「・・・ね、出掛けない?」
「そうねー・・・。」
「ね。行こうよ!天気良さそうだし。」
「種拾い?」
思えば、左京の様子がちょっとおかしいかもしれない。
なんだかぼんやりしている時間が多いし、自分の問いかけにも生返事をしていることがある。
もしかすると・・・と宗太は焦っていた。
「その前に委託販売所行きたいんだ。描き溜まった絵を持って行かなきゃ。」
「う~ん・・・家の中に閉じこもっててもカビ生えそうだし・・・行こうか。」
気が向いたら・・・と宗太は言っていたが、こんなに早く誘ってくるなんて思いもかけないことだった。
その分、考える時間がなくて、簡単に誘いに乗ってしまった。
「こんにちは。絵を預けたいんですけど。」
「ああ!どれだい?」
宗太は数枚の絵を委託し、用事はこれで終わった。
「お待たせ。さっ。こっからが本番!」
「どこに行くの?」
「沼地の方に池があるんだよ。行ったことある?」
「そんなとこあるの?行ったことないや。」
「よし。じゃ、行こう!」
「そうね。面白そう。」
宗太が橘花を連れて行ったのは、霧の深い人気もない場所だった。
「ここだよ!」
「こんなトコにあるの?」
「こういうところの方が珍しい種が落ちてるんだよ!」
珍しい種を探したい、というのは本当のことだったが、こんな寂しい場所に橘花を誘い出したのは、とにかく二人きりになれる場所に行きたかったからだ。
「ワタシは釣りでもしてよっと。種なんか探せないし。」
橘花は、宗太の意図に気付いていない。
「あっ。金魚!ワニワニのエサになるかな?」
気付いていたら、のんきに釣りなどしていない。
しばらく時間が経ち、宗太も対岸で釣りを始めていた。
「宗太くーん。種、見つかった?」
「ばっちり!あとは肥料になる魚を釣って帰らなくちゃ!」
しばし釣りを楽しんでいると、辺りは夕闇に包まれてきた。
「宗太くん、そろそろ帰ろう?お腹すいてきちゃったし。」
「ん~・・・今、何時?」
「8時くらいじゃない?」
「あれ。いつの間にかそんな時間かぁ。」
「よし。じゃ・・・帰ろうか。」
「灯りがないから真っ暗で見えないや。」
「大丈夫?転ばないでね。」
「うん。」
と、帰りかけた二人だったが、
橋を渡る途中で、宗太が突然立ち止まった。
「宗太くん?どうしたの?」
「橘花さん・・・。」
「なに?」
「ボクの話、聞いてくれる?」
「ん?」
ちゅっ。
「ボク・・・橘花さんのこと、好きだ・・・。」
「・・・え?ちょっ・・・それ・・・。」
「返事なんかいいよ。ただ・・・ボクの気持ち、知って欲しかっただけなんだ。」
「驚かせてゴメン・・・。」
「・・・。」
「・・・帰ろう。」
言葉が出なかった。
そう言えば・・・以前にもこんなことがあったかもしれない。
宗太が学校を卒業して、妙に大人っぽくなった時、左京に変装して、困った顔をしていた時、それから・・・。
『・・・ワタシ・・・なんで・・・?。これって・・・遺伝なのかな・・・。』
なぜ、拒絶しないのだろうか、出来ないのだろうか。
自分はクリスの血を引いている、エリックもそう言ったし、周りもクリスの芸術的才能のことばかり考えている。
けれど、引いているのはクリスの血だけではない。
娼婦だったシンディーの血も継いでいるはずなのだ。
『多情なのはそのせいか・・・。』
『クリスは芸術の才能を持っていただけじゃ・・・ないんだし・・・。』
エリックの話を聞いている間、ずっと思っていた。
クリスの遺伝子を受け継いでいるなら、当然その妻であったシンディーの血も引いている。
そして、クリスは芸術的才能を確かに持っていたかもしれないが、周りが見えなくなり、親に背き、妻を屠って自身も命を絶った。
そんな壮絶とも言える人生を送った人物の遺伝子が自分にも備わっているのか、と考えると怖くなった。
「宗太!どこ行ってたの?探してたんだよー。」
「橘花さんとデート。」
「あのさ・・・あの・・・昨日の話し・・・。」
ギルに怒られて、宗太に、『やっぱり見間違いだったかも』と言い訳をしようとしていた。
しかし・・・
「ボク・・・橘花さんにコクったよ。」
「は?」
「あの話聞いてさ、ぐずぐずしてらんないって分かった。ロッタさんのおかげだよ。」
「えっとー・・・。」
思いもかけない急展開に、ロッタの頭はついていけない。
「ギル、ギルーっ!」
「なんだ?俺、疲れてんだけど・・・。」
「あのねっ、あのねっ。」
「宗太が橘花にコクったんだって!宗太に聞いちゃったーっ!」
「おま・・・それ、絶対に左京には言うなよ?」
「なんで?なんで?」
「バカかお前。親子関係が破綻するだろう?」
「はたんってなーに?」
「・・・。」
『・・・いや、聞いちゃったんだけど・・・。』
『内緒話ならもっと小声でやれっての・・・。』
『ちくしょう・・・。』
宗太の行動が、左京に火をつけた。
ワタシが左京に惚れてしまうわ。こんなん。
ヤッター!ヤッター!!読み終えた、読み終えたぞ~
返信削除早くコメントしたかった!!!
こ、ここここんばんは!おはようございます!
ただ今朝の3時でございます。
全部ではないんですけど、きっかちゃんの所が始まったとこから
ようやく今読み終わりました!
いや本当は前からちらちら見てたんですが、
まとまってちゃんとお話を読んでから、お話の内容を
ちゃんと解ってからコメントしたかったんですよお~~~~~
yuzuさんこんにちは!!!
会いたかった、会いたかったよ~~~って、
いきなり馴れ馴れしくてすいません。
yuzuさんのブログでは初めましてです。
某リンク先から飛んでまいりました。言わずもがな。
言いたいことがたくさんあるんですけど、あるんですけど、
超長文になりそうなので、ササッと言っちゃうと、
ここに来て!いよいよ恋の炎がメラメラと燃え立ちましたか?
最初のほうは、特にラブラブなあつあつな濃い~展開がある訳でもなく、
エジプト旅行とかほのぼの~としてて、こういうのもアリだなと思ってました。
シムズ3プレイ日記みたいなのもいいなと。
だたしかし!ここに来て。左京がマルゴの食事の誘いを断ったのと、
きっかちゃんが、自分の意思ではなく彫刻を作ら「されてる」感が
似てるというか、理解できるとうか、この二人は。(きっかちゃんと左京さん)
「誰かに生かされてる」「自分の意思ではない」っていうのがこの二人の
テーマなのかな?な?
深い、深い、非~~~~~常に深い。
あぁ、文章が長くなっちゃった、まだまだたくさんお喋りしたいんですが、
むぐぐ~~~、この辺で一旦切ります。
今後も楽しく拝見させてくださいね。
この間の通りすがりの人さん、おはようございます~。
返信削除初めまして!・・・という感じではないですねr(^ω^*)
まことんさんのところで、いつもコメント拝見しています!
こんなトコまで来てくださって、本当にありがとうございます!
しかも・・・3時!?
いや・・・無理なさらないでくださいまし・・・。
もう86話目なので、そうそう簡単に読んでいただけるものではないので、申し訳ないです~。
これ、自分で書いてて、『ワタシ、恋愛物は苦手だなぁ~』って感じで、前半は恋の話なんかはほとんど絡めずに書いてたんですが、なんだろう・・・シムのいちゃいちゃシーンがないことにだんだんストレスが溜まってきてしまって・・・。
正直、恋愛抜きで最後まで進めるつもりだったんですよ。
でもですね、左京じゃないんですが、突然、火がついちゃいました(*^▽^*)ゞ
テーマなんて、そんなだいそれたものではないんですよ~。恥ずかしい・・・。
けど、それいいですね!
『誰かに生かされてきた人生を送ってきた(・・・と思っている)二人が惹かれあう』ってシチュエーション。
最初は二人とも、どっか一歩譲って一緒に生活してたんだけど、左京の思いが決壊して、橘花の心も揺れ動き始めたってことで。
けど、そう簡単にいくかな~?
いくかも(笑)
長文コメント、大歓迎ですよ!
この間の通りすがりの人さんのコメントって、テンション上がる~っ!!
実はここのコメントって、投稿されるとメールでお知らせがくるんですが、なぜか4時ごろ目が覚めてしまって、「メール来てる・・・なんだ?」と思って開いたら、この間の通りすがりの人さんのコメントだったわけで、「ぐわっ!なんでっ!?やったっ!ヾ(〃^∇^)ノわーい!」とか一人で思ってました。
物語は終盤に入っていくんですが、一体どうなるのか読めない!・・・みたいな展開で、読んでくださる方をやきもきさせたい、なんて思ってます。(そんな力量はないんですが・・・。)
コメント、本当にありがとうございます!
朝からばっちり目が覚めました(≧∇≦)b
こんにちわ~♪
返信削除お~!左京に火がついた!
ヤバイヤバイ…。面白い面白い(笑)
これにダニエルが混じったら凄い事になりそうですね。
最初、左京が嫉妬してて、なんだかうっとりしちゃいました。
あの左京が橘花に振り回されて、いつものクールな左京が崩れた!
最高にセクシーに感じてしまったのは私だけ?
最後の『ちくしょう…』がやけに男っぽい。
やっぱり左京いいな…。素敵ですよね…。
物語はどんどん続きが読みたくなるような展開になってますね。
もちろんユズさんの策略なんでしょうけど(笑)
続きを楽しみにしています!
追伸 この間の通りすがりの人さんのコメントは本当にテンションがあがりますよね!
実はこの間の通りすがりの人さんのファンがたくさんいる事に彼女は気づいているのでしょうか?(笑)
あふぅ~・・
返信削除つ・ついに・・
恐れていた親子対決ですかっ!!!?
さて・・どっちの応援をするかが問題です(そこっ?w
宗太は昔っから大好きっ!そぉ子どもの頃から・・
人から離れて絵を描いてる姿が印象的で。
でもでもでもですっ!
左京ってココに来てなんか男の哀愁というか色気というか
そういうものがグーーーンっと出てきまして
ちょっと?かなり?いいなぁ~なんて思ってました。
さてさて・・どっちを・・いや悩むなってwww
結果はきっとおバカなロッタがやらかしてくれるに違いない
(*≧m≦*)
ふぅ~~続き楽しみにしていまぁす☆
まことんさん、こんばんはー!
返信削除ああ・・・やっと返信が書ける・・・。
仕事中にレスしちゃおっかな~・・・とか思うんですが、うちの会社、検閲してるからなぁ。
あんまりプライベートなことやってると、教育的指導が来たりするんで、面倒なんですよ。
アダルトサイトとか見てると、一発で上長にチクられますww
最後の、左京が階段にいるトコ、アップにしたら、ホントに怖い顔してるんですよ。
あのシーンの為だけに階段昇り降りさせただけなのに。
クールな左京なんですが、結局、以蔵の息子、ってことです(^-^)
振り回されていくかな?振り回すかな?
・・・いやいや、内緒、内緒♪
左京、やっぱカッコいいや。
でも、ワタシが惚れ込んだシムは、性格がおちゃらけていくからなぁ・・・。
ところで、この間の通りすがりの人さんって一体・・・何者!?
なんでコメント一つでこんなに書き手の気分を盛り上げてくれるんだろう・・・。
素敵な才能だわ~♡
ぽよ~んさん、こんばんはー!
返信削除ああ・・・やっと返信出来るww
そ。親子対決ですよっ!
あらら?ぽよ~んさんも左京にやられちゃいましたか?
ふふふふふ・・・読者に愛されてるなぁ~♪
宗太もだんだん大人っぽく、オトコっぽくなってきたしね~。
どっちもイイオトコ♡
ロッタちゃん・・・バカっぽくってゴメン・・・。
でも、そこが可愛いんですよぉ~(^-^*)
ギルに怒られても、嫌がられても、「ギル、ギル~。ゴメンねぇ~。」ってすり寄っていっちゃうの。
だからギルも、ついつい甘やかしちゃうんだろうなぁ。
ロッタちゃんの、もっと深刻な顔とか見たいけど、見せてくれないのよー。
でも、ギルとロッタもそろそろ本腰入れて仲を進めます!!
ホント、やらかしてくれるに違いないですヾ(▽^ヾ)