「きーーーっか!!いくらこの家にあるって分かったからって、そんなに闇雲に掘るもんじゃないよ!」
「だって・・・。」
「見なさい。庭が・・・
「穴だらけで歩けなくなるよ。」
「うん・・・。そうね・・・。」
「どうすんだよ、これ。」
「うん。ダニエルか宗太くんに頼んで埋めて貰うわ。」
『・・・こいつ、オトコ利用するのうまいな・・・。』
墓はこの家にある。
それが分かって、橘花は嬉しかった。
だが、まだ、それらしきものが見つからない。
「まぁ、待てって。エリックのヤツを呼び寄せよう。」
「でも・・・エリックにも場所は分からないんじゃない?」
「うん。あいつが知ってるわけじゃない。」
「でも・・・じゃあ呼んでどうするの?」
「設計図を持ってきて貰う。」
「設計図?家の?」
「そ!」
「でも・・・設計図に載ってるんだったら、エリックは気がついてるはずじゃない。」
「もちろん墓がある場所が載ってるわけじゃないさ。」
「だったら・・・。」
「持ってきてもらうのは、今のこの家の設計図だけじゃない。この家は、何回か建て直してるんだろ?だったら、昔の・・・チャールズ・クレメンタインが暮らしていた家の設計図を見てみれば、なんか手掛かりがあるんじゃないか?」
「そんな古い図面・・・あるのかなぁ。」
「橘花。アーネストは・・・設計士だったんだよ?」
「あ・・・。」
そうだ。
アーネストは、街の開発の為、設計を学んでいた。
もちろん、チャールズが建てた家は、アーネストが設計したわけではない。
しかし、この家になんらかの仕掛けを施したのがアーネストなら、その図面は存在するはずだ。
そして、アーネストの家系に連なる、エヴァンス一族が、その図面を保存していないはずがない。
「な、左京。こないだの話なんだけどさ。」
「うん?」
「宗太の与太話!」
「ああ。空想癖が強いってヤツ?」
「それそれ!」
「あの時さ、宗太、なんて言ったと思う?」
「ん?さぁ・・・。」
「橘花とお前がさ・・・。」
「俺と?橘花ちゃん?」
「・・・電話、出なくていいの?」
「ん。ちょっと失礼。」
「はい。佐土原・・・。」
「続きはまた今度な!」
「・・・なんだ。まーたお前か!お前の専用回線じゃねえんだよ、米沢っ!!・・・ご機嫌伺いなんかいいんだよっ!・・・わーかったからっ!明日な、明日!」
「・・・ったく・・・。こいつ、仕事出来るのか出来ねえのか分かんねえな・・・。」
「・・・ふ・・・。けど今回だけは礼を言ってやるか・・・。」
いつものマネージャーからの電話に、今回ばかりは救われた。
さっき・・・ダニエルが言いかけてたこと・・・。
『宗太に・・・聞いたのか・・・。』
もし、電話が鳴らず、あのままダニエルに問い詰められていたら、自分はなんと返事をしただろうか?
正直に打ち明けただろうか?
『・・・いや、おそらく・・・。』
シラを切りとおすに違いない。
橘花とのことが本当だ、と発覚すれば、ダニエルも、そして宗太も、今までのように自分に接してくれなくなるのは分かっている。
自分たちの恋は、誰からも歓迎されない。
そういえば・・・ギルはロッタにプロポーズ出来たのだろうか?
いや、ロッタから逆にプロポーズしたかも知れない。
誰からも祝福される愛。
それがとてつもなく羨ましくなった。
『・・・イヤな男だな・・・。俺。』
だから橘花は制止するのだろう、と思った。
激情に駆られ、彼女を抱き締めようとする自分を、そう言って押し留め・・・
『・・・俺・・・橘花に守られてる・・・?』
情けなかった。
本当は、守ってやらなければならないのは自分なのに、欲望に勝てなくなる自分が、心底情けなかった。
「あ!おじさん!おじさん!」
「(・・・こいつまで・・・)・・・なんだい?」
「出たらしいですね!例の幽霊!!」
「ああ!この家にきっとあるぞ~。」
「墓!!」
「お宝!!」
「・・・なんだ、なんだ。君は金目当てかい?」
「だって!!エリックが言ってたじゃん!莫大な遺産が眠ってるって!!」
「そりゃそうかもしれないが・・・別に君のものじゃないだろ?」
「けど・・・あ!そうだ!俺が橘花と結婚すれば、遺産は俺のものっ!!」
「おいおい・・・。」
「お義父さんと呼ばせてくださいっ!!お義父さんっ!!」
「・・・橘花はそういうの、好まないと思うな~。」
「え?」
「あいつそういう即物的なのキライだから、ギラギラしてるヤツはキライだろうな。君みたいな。」←おじさんって言われた仕返し。
「あ・・・そう・・・なんだ・・・。」
「・・・ま、あいつ、今は恋愛どころじゃないだろ。焚きつけたのは君だけど、なんか、こう・・・。」
・・・どうしてこんな時にうまい言葉が見つからないのだろう。
仮にも物書きで生計を立てているというのに、作家として失格だな、と圭介は黙り込んだ。
『なんだろう・・・生き急いでる・・・っていうのが一番ぴったりくる表現かもしれないな・・・。』
『思い詰めてる・・・そんな感じがする。』
「・・・お義父さん?お義父さんったら!」
『・・・ま、こいつに言っても分かりゃしないだろうけど・・・。』
どいつもこいつも、『お義父さん』と呼ばせるには決め手に欠ける・・・となぜか品定めをしてしまっている圭介であった。
そして・・・
「やぁやぁ。みんな、元気かな?」
エリックがやってきた。
いや・・・なんでいきなりこんなメルヘンチックなタイトルに・・・
思い浮かばなかったんです・・・。
今回、お笑いがなくってつまらないので、おまけ。
「ふむ。」
左京さん・・・それ、あんたのベッドじゃないです・・・。
こんばんわ~♪
返信削除たご…田吾作から電話!!!!
もしやそろそろか…?
ああ…ドキドキしちゃうよ~。
学芸会に出る子供を見守るお母さんの心情です!
って子供はまだいないので分かりませんが(笑)
なんだか最近、圭介が面白いです(笑)
てか、ダニエルとのからみが最高です♪
いいコンビですね~~(笑)
あと、最近左京が本当に人間臭くなりましたね。
私は前のクールな左京も好きでしたが、
今の彼も可愛くて好きです。
本当に橘花に惚れちゃってんだな~♪
私、思うんですけど、圭介とうまくやっていけるのは左京しかいないと思うんですよね。
と言いますか、圭介が認める男は彼しかいないと言いますか…。
圭介が凄いと思って魅せられたのは左京だけでしからね。
って、どうしても左京側に気持ちがいっちゃうんだな~(笑)
なんだか味方してあげたくて(笑)
続きを楽しみにしていますね!
まことんさん、こんばんは!!
返信削除もう~辛抱たまらんくなっちゃって、名前だけ先に出しちゃいました(^┰^)ゞ
名前呼びにするか、名字にするか迷ったんですが、あえて名字で。
ああ・・・確かに、子供の出番をドキドキしながら待ってる親の心境に近いものがあるのかも・・・。
もうちょっと待っててね♪
圭介、いろんな人と絡ませて楽しんでますよ~(^-^)
誰が婿にふさわしいか、無意識のうちに品定めしてるんですね~。
やっぱいいキャラだぁ~。パパ、大好き♡
いや、ホントホント。
左京といい亮といい、経験豊富なくせに、さほど色気もない(失礼!)どちらかというと青臭い女の子にノックアウトされちゃってますよね~!
思うに、橘花とこのみちゃんって若くてまだ幼さもあるけど、芯が通ってて、信念をちゃんと持ってる気がします。
今まで真剣に恋愛なんかしたことなかった左京には、眩しいんですよ。
うん。
圭介は、左京のことは見直したというか、認めてるんですよ。
ただ、年齢のことがある。
そこがネックなんですよね~。
例えば橘花が、真剣にダニエルとか宗太とかに恋をすれば、圭介はそれを認めますよ。
でも、橘花がなんとも思ってないのを知っているので、それとなく、『諦めなさいよ』って仄めかしてあげてるんです(笑)
いやいやいや・・・
ワタシが既に、左京から目が離せなくなっちゃってるんで(笑)
可愛くて可哀想で・・・。
ワタシの中での今年ナンバーワンの男は左京です。
あ~・・・なんでこんなに惚れちゃったかな~。