「・・・いっちまったな・・・。」
「うん・・・。」
「デッキから見送ろうよ。」
「そうだな。」
二人は階上に上がり、送迎デッキへと足を向けた。
「おっ。あの飛行機に乗るんかな?」
「寂しく・・・なっちゃうな・・・。家に帰っても、もう、橘花さんもお父さんもいないんだよね・・・。」
「そうだな・・・。」
見送る側と、見送られる側、どちらがより寂しいのだろう・・・と、ふと考えた。
「ダニエルさん・・・。さっきさ・・・友達として・・・って橘花さんに言ってたけど・・・。」
「うん。」
「もう、ふっきれたの?」
好きでい続けるのは自由だ、と言っていたダニエルが、いつの間にそんな心境まで至ったのだろう、と思った。
しかし、ダニエルは、何も吹っ切れたわけではなかった。
「バカ。お前、あの場合は、ああいうしかないだろ?」
「そっか・・・。」
「お前だって、諦めたわけじゃないんだろ?」
「まぁね。そんなにすぐ諦められるほど、そこらへんの普通の女の人とは違うよ。橘花さんは。」
「だよなー。」
橘花に恋をしていた季節・・・。
楽しくもあり、苦しくもあり、そして切ない気持ちでいっぱいになったが、簡単に終わらせられるはずがない。
それは二人とも同じだった。
「ここは一つ・・・。」
「オトコを磨いて、橘花をあっと言わせてやらなきゃならんな!」
「そうだよ。」
「しかし・・・左京に負けないくらいに、か・・・。」
「それはかなり難しいんだけど・・・。」
橘花の笑顔に応えたい。
左京に負けないくらいいいオトコになって、そして後悔させてやるんだ、と気概だけは十分あった。
「けどさー・・・。」
「ん?」
「考えてみたら、お父さんと橘花さんって、20歳以上離れてるんだよ?」
「それが?」
「今はいいけどさー・・・。」
「20年後・・・いや、30年も経ったらさ・・・。」
「お前・・・。」
「・・・なんか、コワイこと考えてないか・・・?」
「そうかな?」
人生はどう転ぶか分からない。
自分の気持ちも、季節の移ろいと共に変わるかもしれない。
だけど、今はただ、覚めない夢を見続けていたかった。
搭乗ロビーに入った橘花もまた、寂しさを感じていた。
「・・・だから見送り、いらないって言ったのに・・・。」
涙が溢れるのを抑えるのに必死だった。
けれど、せっかく見送ってくれた二人とは、笑顔で別れたかった。
「・・・あ。ジュースバー、ある。」
飛行機に乗るまで、あとほんの少しの時間、喉を潤して落ち着こう、と橘花はバーに向かった。
「甘さ控えめ・・・っと・・・。」
ジュースを作っている橘花の背後に、誰かが近寄ってきた。
「お嬢さん、俺もそれ、貰っていいかな?」
「え・・・。」
その声に橘花はゆっくりと振り返り、その人物の顔をまじまじと見つめた。
その人も、帽子とサングラスを外し、橘花の目を見つめている。
「・・・左京・・・?」
そこに立っていたのは、左京だった。
「さ・・・左京・・・。ど・・・どうして・・・?ツアーに行ったんじゃ・・・。」
「行ったさ!で、すぐ戻ってきた!」
「なんで!?」
「ライブは今夜じゃ・・・。」
「ああ!そうだよ?」
「まさか・・・一緒に行くなんて・・・。」
「そうしたいけど・・・お前を見送ったらまた戻る。戻らないと、京子さんにどやされるからなー。」
「ま・・・間に合うの・・・?リハーサルとか・・・。」
「ぶっつけ本番で歌ってやるさ!米沢は泣いてたけどなっ。」
橘花は呆気にとられて、何を言っていいのか分からなくなっていた。
想定していなかったことが次々と起こり、頭が混乱してきた。
「その格好・・・。」
「あ、これ?いちおー変装してるつもり!似合うだろ?」
「なんで・・・。」
「なんでか俺も分かんねぇ。気がついたら戻ってきてたんだよ!だいたいさー・・・お前・・・。」
「なんで電話、出ねえんだよっ!」
「・・・出たじゃない・・・。」
「8コールも鳴らしたっ!!俺からの電話はワンコールで出ろってのっ!!」
その言葉で、ここにいるのは紛れもなく、本物の左京だ、という実感が湧いた。
「・・・左京だ・・・。」
「幽霊だとでも思ったか?」
その実感を身体で感じたくて、橘花は左京に抱きついていた。
「左京・・・左京・・・。」
抱きつくと、左京の温もりが伝わってくる。
「橘花・・・。」
左京の腕が、強く背中を抱き締める。
「ホントは・・・一時も離れてたくなんかないんだ・・・。」
「うん・・・。」
「ね・・・顔・・・見せて?」
「とくと見ろ!」
「・・・可愛い・・・。」
「どっちがだよ!」
「橘花・・・。」
頭上で、最終案内のアナウンスが響く。
「左京・・・もう一回・・・。」
「いくらでも。」
「行くわ。」
「ああ。」
ぎりぎりの時間まで、お互いに唇を重ね合い、温もりを伝え合った。
そして二人は、違う目的地へと飛び立っていった。
ちゅうちゅうばっかりでゴメンね(^_^;)ゝ
ここで、いったん本編は終了です!
このあとはエピローグ♪
yuzuさん、こんばんは!
返信削除ついにみんな旅立ちの時ですね。
クレメンタイン・ハウスから出ていく人、
残る人、守る人、みんなそれぞれだけど、
それぞれが前に向かって歩いていて、
淋しいけれどワクワクする・・そんな心境です^^
橘花と宗太は話す事が出来て良かった。
実はすっごく気になっていたんです。
あのまま離れてしまうのかな?
それは嫌だな・・・と。
だから本当に良かった!!
ダニエルも宗太もこれから新しい出会いがあるはずさっ!!
あっ、でも宗太君、20年30年たっても
左京さんは元気で橘花を毎日愛しているだろうから、
余計な事は考えないように(^_-)
左京さんはやっぱり来ちゃいましたね(笑)
愛だな~愛!!!
あとは圭介パパの状態がわかれば安心です^^
ついに本編は終了なんですね(:;)
淋しいな、悲しいな。。。
でも、みんなのこれからを最後まで見届けたいです☆
次回も楽しみにしてます♪
Naonさん、こんばんはー!!
返信削除みんな、それぞれの道を歩き始めました。
これで、ツインブルックとお別れですので、いったん、本編終了、ということです。
この後は、バーナクル・ベイ⇒カスケード・ショアーズ⇒そして新しい街へ・・・と移動していきます!
最後の最後でしたね。
宗太、いつも左京が側にいるから、なかなか橘花に話しかけるチャンスがなかったんです。
でも、左京も行ってしまったし、やっと話せる機会をつかみました!
あのまま知らん顔なんて、そんなオトコじゃありません!!
でも、逆に橘花に謝られちゃって、宗太はますます橘花に惚れ込んでしまってますね~ww
20年経っても、30年経っても、左京は絶対橘花の側にいますよねっ。
宗太とダニエルには、新しい出会いを用意してあげなくっちゃ♪
あ。やっぱり左京、来ると思ってました?
ここはやっぱ来るでしょう!!
無茶するオトコですから!左京は!!
この後も、結構無茶します(^-^*)
そこが可愛いんだな~♪
さて。
バーナクル・ベイの撮影に入りたいと思います!!
ちょこちょこっと動かしてみたけど・・・軽いワールドって・・・いいわ~ww
家とか間引く必要、ないんだもん。(データを軽くするために、普段は建物とか人とか、だいぶ間引いてるんです・・・ええ・・・。)
最後まで、どうぞよろしくお付き合いくださいませ~!!
こんばんわ(*^_^*)
返信削除白衣・・・へへ(゜q゜)
前回はパパが倒れたときき・・・心配で・・・
でもきっとパパのことだ大丈夫だ!!と・・・
でもやっぱり心配・・・
さてさて徐々に皆様が旅立っていきますねぇ
でもそれは新しい時間の始まりでもあり・・・
ん~・・・わー\(゜ロ\)(/ロ゜)/
(うまくまとめられなかった涙)
ふふ、やっぱり左京さんくると思いました・・・
もう・・・すき(*^_^*)(え)
って本編は終了なんですね・・・
寂しいですねぇ~・・・
こんばんわ~☆
返信削除橘花ちゃんと宗太くん、ちゃんと話出来たんですね(*´∀`*)
よかった・・・
まだまだ、宗太&ダニエルにとってはほろ苦い思い出かもしれないけど・・・
また成長して、素敵な恋愛できますように…(*>艸・)
左京のサプライズ、ビックリしました!!
ひと時も離れてたくないんですよね~^^
いいなぁ・・・羨ましい(笑)
20年30年後・・・(笑)
いや、左京は橘花ちゃんの為ならきっと長生きすると思う(* ̄m ̄)
いや・・・自分のため?w
宗太くん、頑張って・・・次の恋探しましょうd(^_^o)
こくいさん、こんばんはー!!
返信削除白衣、萌えますか?ワタシもですっ(≧∇≦)
ダニエルと宗太が、よりによって同じ制服とは・・・。
せめて、ネクタイの色だけでも替えようと思ってたのに、忘れてましたっ!
(レンにはぜひ、法医学捜査官の道を選んで欲しいと・・・)
パパは大丈夫なんでしょうかねぇ・・・。
この二人、ちっともパパのこと心配してないですよね~ww
ま、あのパパのことですから!!
みんな、旅立っちゃいます。
結局、クレメンタイン・ハウスに残るのは、ギル・ロッタ夫婦だけなんですよねー。
(ダニエルと宗太は、そのうち旅立ちます!)
そうそう。新しい物語の始まりですよぉ~(^-^)
あれ?やっぱり左京、来ると思いました?
う~ん・・・まぁ、片時も離れていたくないって気持ちが、みんなにバレバレ、ってことで(^_^;)ゝ
しょうがないオトコだなぁ。
けど、そんなところが好きでしょ♡
ワタシも好き~♪
あ。ザックのポスター、もうちょっとお待ちくださいませ~(>_<。)
今週中くらいには作りますんで・・・。
出来たら報告に行きますねっ!!
クララさん、おはようございますー!!
返信削除宗太、やっと謝ることが出来ましたよ!!
左京とは和解したけど、橘花とあのままじゃ、もやもやが残ってしまいますもんね~。
二人共に振られちゃって、苦~い思い出になってしまいましたが、相手が左京なのでしょうがないですねー。
あ!左京が現れたのにビックリしていただけましたか!?
おお!よかった~(^-^)
もう、絶対絶対離れたくなんかないんですよ。
でもこの後は、ちょっと離れることになってしまいますけどね!
きっと何十年経っても、左京は橘花の側にいます♪
ホント、宗太、いい加減諦めろって・・・。
でも、橘花のことが好きでたまらなかったので、その恋心を忘れるには、時間がかかりそうです。
いい出会いを経験して、大人になってもらいたいものです!!
こんにちわ~♪
返信削除左京が来てくれた!
な、なんかジーンときちゃった…。
はあ~やっぱいいな…左京。
最後にあんな風に現れるなんて思ってなかったから
ビックリしました。
んでもって感動しちゃった。
いいね…いいね!
はあ…いいね…。
何度も何度もウザくてすいません(笑)
ダニエルと宗太もとりあえずは区切りをつけたようですね。
いや…まだつけてないか。特に宗太(笑)
左京の後釜を狙ってるな~(笑)
でも、本当に好きならそういう事って実際に考えると思うんですよね。
その方が人間らしいです。
それを正直に口に出して言う宗太もなんだか可愛い…♪
けど、左京と橘花はそうそう、宗太の思い通りには行かないでしょうね(笑)
愛し合ってる二人ですもん。
左京は橘花のパワーをもらって絶対に長生きしますよ!
それでも、万が一左京が先に逝ったとしても、
橘花はもう誰も愛せないんじゃなかな…。
いや、違うか。
愛せないんじゃなくて、死んでも左京をずっと愛す。の間違いだ。
きっとそうだと思います。
う~ん…それにしてもパパが気になる…(笑)
まことんさん、こんばんはー!!
返信削除やっぱり、最後の締めは、左京でしょ!!
まことんさんはビックリした派ですね(^-^)
ここは来るでしょ~。
ツインブルックとお別れする大事な時ですから!
本当は橘花と一緒に行きたくて堪らない左京がとった、ギリギリの妥協案ですね。
左京・・・あんな格好も意外と似合うな・・・。
いっつもタイトな服着せてたんですが、あれも有りですねー。
・・・っていうか、なんでも似合うかも?
ダニエルと宗太は、ここで一区切り。
実は・・・
このストーリーを始めてからちょっとして、すぐにラストシーンが思い浮かんだんですが、それが、前回の、橘花がダニエルと宗太に向かって、『いいオトコになってね!!』と手を振って飛行機に乗り込む・・・というシーンだったんです。
つまり・・・どっちともくっつける気はなかった、と・・・(^_^;)ゝ
それがいつの間にか左京と出来てしまったので、終われなくなってしまいましたー!!
宗太の台詞、もっと生々しいものにしようかとも思ったんですが、あれだけで伝わるかな、と。
そんな気持ち、ありますよね?
例えば、20年、30年じゃなくても、2年経ったら・・・とか。
あの人と別れたら、そのスキマに・・・って思うのは、自然なことかもしれません。
宗太の場合はちょっと極端ですけどね♪
左京はきっと、橘花のためにも、自分のためにも長生きするでしょう。
以蔵とヒイナさんみたいになったらいいな、と思うのですが、さすがにそれは、ちょっと無理かな。
左京が先に亡くなってしまったら・・・
ああ・・・
考えただけで泣きそうなので、やめときます。
でも、橘花はずっと、一生、左京一人を愛して生きていきますよ!
パパの話は・・・次回をお楽しみにっ(≧▽≦)