翌朝・・・。
橘花は電話が鳴る音で目が覚めた。
「ん~・・・電話・・・。」
「・・・あ・・・マズイ・・・。」
昨夜は気が抜けて、食事をしたら睡魔が襲ってきて、そのままぐっすりと寝入ってしまった。
「もしもし・・・。」
「あ・・・左京・・・。」
電話の向こうにいるのは、案の定、左京だった。
それを確認するなり、怒鳴りつけられた。
「あ、左京、じゃねぇだろっ!!お前、なんで電話出ないんだよっ!!俺、昨夜っから何回もかけてんのにっ!!」
「ん・・・ゴメン・・・。昨夜は・・・。」
「俺からの電話はワンコールで出ろって言ったろ!?何度も何度もかけたのにっ!!電源切ってたのかよっ!!」
「切ってないよ。ホントにゴメン。昨夜はさー・・・。」
「お前、俺に対する愛情、足んないんじゃねぇのっ!?俺からの電話なら、何やってたって寝てたって出るのが愛ってもんじゃねぇの!?自分からはかけてこないしっ!!」
「あー・・・俺、愛されてないんだ!お前の愛情の程が知れるってもんだ!ちょっと離れただけでこれだもんなー。まったくっ!!」
「・・・。」
「・・・そんな言い方するんなら、もう電話出ない。」
ぶちっ。
「あっ!!橘花っ!!」
「・・・。」
ぴっ。
「・・・はい。」
「・・・ゴメンなさい・・・。切らないでください・・・。」
「ワタシの話、聞いてくれないんだもん。謝ってるのに・・・。」
「聞きます。ゴメンなさい・・・。」
「昨夜・・・電話しなかったのは悪かったわ・・・。ゴメンなさい。パパが・・・。」
「あ・・・うん。圭介さん・・・悪いのか・・・?」
橘花がなかなか電話に出てくれないので苛立って、そのことが二の次になっていた。
もしかすると、圭介の容態が悪くて、つきっきりになっていたかもしれないのに、配慮に欠けていた・・・と左京は反省していた。
けれど、そうではなかった。
「そうじゃなくて・・・なんともなかったから、安心して気が抜けちゃって・・・。・・・で、寝てた。」
「は?なんともない?」
「うん。なんか・・・フジツボ踏んで、痛くって、浅瀬で溺れかけたらしいんだけど・・・。」
「うん。・・・それで?」
「それだけ!足の裏は切ったらしいけど、ピンピンしてるのよ!」
「あ。そうなのか!よかった!!安心したよ!!」
それを聞いて、本当に心からそう思った。
「うん。ゴメンね。心配かけて・・・。」
「じゃあさ、じゃあさ、すぐこっち、来れるんじゃん!」
ならば、問題はない。
圭介の怪我の回復を数日待てば、橘花を呼び寄せることが出来るだろう、と思ったのだったが・・・。
「うん!そのつもり!でもね~・・・。」
「パパにね・・・左京のこと話そうと思ったんだけど・・・。」
「・・・反対された?」
「勝手に結婚なんて、許さない、って・・・。ワタシ、説得してみるけど・・・なんかね、左京からじゃないと話し、聞かないとか言っちゃって・・・。」
「お・・・俺から!?」
「うん・・・。そうなの。」
「そう・・・か・・・。・・・ま、どのみち挨拶しに行かなきゃいかんけど・・・。」
「ワタシ、もうちょっとパパと話してみるけどね。昨日の今日だし、ほとんど話してないんだもん。」
「うん・・・。」
圭介に前もって許可を得ず、あんな形で結婚宣言をしたことに、へそを曲げているのかもしれないな、と思った。
「・・・ね、左京・・・。」
「ん?」
「さっき・・・あんなこと言ってたけど・・・。」
「あ・・・ゴメン・・・。俺・・・なんかイラっときちゃって・・・。」
「顔見てたら、イライラなんかしないのにね・・・。」
「うん・・・。」
「ワタシだって・・・傍にいたくて堪らないの。でも・・・。気持ちはいつだって一緒にいるから。」
「橘花・・・。」
「愛してるからっ!!」
「俺も。」
顔が見られないから、言葉は重要だ。
いつも聞いている言葉でも、こうやって電話で聞くと、その言葉だけが耳に残って、胸がきゅん、となる。
電話の向こうで、橘花がどんな顔をしているのだろう、と想像すると、左京はなんだか嬉しくなっていた。
「う~む・・・。」
しかし、である。
「・・・やっぱりこれは・・・避けては通れないか・・・。」
「まいったな・・・。」
気が重くはあるが、時間が空いたら、一度バーナクル・ベイに行って、橘花を貰い受けてこなければ・・・そう思っていた。
「パパ。足は?」
「うん。痛いよ。」
「病院行ったの?」
「一応ね。」
小さな傷でも、万が一、ということもあるので聞いてみたのだが、『痛い』と口で言う割には、圭介は平然としている。
「あのさっ。左京のことなんだけど・・・。」
「お前さー・・・。」
「ん?」
「左京と、いつからそういうことになったわけ?」
「パパがツイン・ブルックにいる時よ。」
「なんで僕に言わないの?」
「だって、聞かなかったじゃない。」
「・・・ったく・・・。どうしてよりによって左京なんだよっ。僕は、自分とそう変わらない年の婿なんか、イヤなんだからっ!」
「・・・それだけ?」
「それだけ!」
「たいしたことじゃないと思うんだけど・・・。パパ、左京と気が合ってなかったっけ?」
「友達としてはね!あいつ、いい男だし、頭も切れるし、話してて面白いし!」
「きっと・・・お前のこともちゃんと本気で愛してくれてるんだと思うよ。じゃなきゃライブで、あんな形で結婚宣言なんかするもんか!」
「え・・・。」
「あいつにあんなことさせるなんて、お前、たいした女だよ!さすがは僕の娘だ!」
「でもさ。だからこっちにお前を呼んだんだよ。」
「え?」
「いくら左京がああ言ったって、お前、マスコミに追っかけられるぞ?」
「うん・・・。覚悟はしてるけど・・・。」
「お前の生半可な覚悟じゃ、耐えらんないって!」
「そうかな・・・。」
「だから、ほとぼりが冷めるまで、外出禁止ー。」
「なによ!それ!ありえない!」
「ダメー。結婚も、ダメー。」
「・・・ってのは冗談にしても、左京が来るまで我慢しなさい。ツアーが終われば来るだろ?」
「左京に『お嬢さんをください』って言わせたいわけか・・・。それが本音かー。」
「・・・駆け落ちしたっていいんだけどな・・・。」
「お前・・・ホントにやりかねんからなぁ・・・。勘弁してくれよ。」
「左京がちゃんと挨拶しに来れば許してくれるの?」
「だからそれは左京次第なの。」
と、いうことは、左京の返答によっては、許可しない、ということだ。
橘花には、圭介の魂胆が読めた。
左京に無理難題を押し付けて、それを見て楽しもう・・・という腹だ。
「変な注文、つけないでよ。」
「ドキっ。」
「どうせあれこれと左京に注文つける気なんでしょ。そんなことしたって、結婚するもんっ。」
「これだもんなー。」
「ワイドショーでも見ようっと。」
「ワイドショーなんか、左京のことばっかだよっ!」
「だから見るんじゃない。」
「くっそ・・・。絶対左京が困るような条件、出してやるっ。」
左京がここに橘花を貰い受けにくるまで、しばらく時間はある。
だったらその間に、クリア出来ないような質問をいくつも作って、困らせてやる・・・と圭介は思っていた。
二人の痴話喧嘩はこんな感じ(^-^*)
こんばんわ~♪
返信削除やっぱりたいした事なかった!(笑)
なんかパパと左京ってマジで似てるわ(笑)
子供みたいなところがありますよね。
左京が電話で橘花にあんな事を言ったのは、
なんとなく分かります。
会えない淋しさと、自分はこんなに思ってるのに、
橘花は意外とツラっとしてるように見えたんじゃないかな。
クールなのは左京の特権のはずだったのに、
今では橘花の方がクールになってますよね(笑)
でも、それは左京の愛を信じてるからであって、
決してクールにしてる訳じゃないんですよね。
って言うか、左京の速効のかけなおしと、
「・・・ゴメンなさい・・・。切らないでください・・・。」
このセリフ。かわいい~~!
あんな風に言われたらすぐに許しちゃうさ♪
なんか左京、恋してますね~~♪
ますますいい男になってるわ…マジで。
エロいし、かっこいいし、かわいいしって。
これってどうよ?ズルくね?(笑)
yuzuさん、こんばんは☆
返信削除圭介パパ、何事もなくて良かったです^^
なんだかんだ言っても結局は橘花をこの騒動から守る為呼び寄せたんですね!
あっ、でも左京さんとのバトルの為なのかな(笑)?
左京は束縛するタイプですね!
でもその後で反省する。
でもまたたぶん同じ事をする(笑)
それぐらい橘花が好きで好きでたまらない。
でも、ちょっと束縛しすぎかな?(笑)
橘花が電話切ってしまった気持ちわかります^^
ついに左京さんと圭介パパのバトル(?)が始まりますね!!
でもその前に、yuzuさんの体調が良くなりますように☆
まことんさん、おはようございます!!
返信削除パパ、やっぱり・・・て感じでしょ?
でもね~。娘を思う、親心が半分なんですよー。
あと、左京に簡単に持っていかれてたまるか!!・・・っていう悔しさもあったり(^_^;)ゝ
橘花はね、電話しなくったって会えなくったって大丈夫!って、自分たちの絆を信じてるんですよ。
でも、左京はどうしても声が聞きたいし、会いたいし・・・で、怒っちゃうww
そんで、橘花を逆に怒らせちゃった。
やっぱソッコーかけなおすでしょ(^-^)
左京、可愛いオトコなんですよ♪
うん。パパとちょっと似てるんですよね~。
変なわがまま言うところが(笑)
でも左京がこういう可愛いトコ出すのって、橘花の前だけなんですよ。
橘花に甘えてるんですよ。それって、愛し合ってるから出来るんですよね!
エロイしカッコいいし可愛い・・・理想のオトコです!!
左京だから許されるんだなぁ。
ズルイでしょでしょ?
次からはちょっとカッコいいですよ~♪・・・エロイけど(^_^;)
Naonさん、おはようございます!!
返信削除パパはなんともありませんでした~!ご心配おかけしましたm(_ _)m
マスコミから守るため、それから左京とのバトルのため、呼び寄せました!
あ、でもバトルっていってもたいしたことないですよ~。
パパの我がままっぷりは炸裂しますけど!
束縛しすぎでしょ?
左京、不安でしょうがないんですよ。橘花と離れたことなんかないから。
一時期、橘花の気持ちが分からなくなったこともあったけど、その時だって同じ屋根の下に一緒に住んでたので、顔は見れたんですよね。
けど、こんな風に本格的に離ればなれになるのって初めてで、だから橘花の愛情を確かめたくって、こんなわがまま言うんですよー。
うふふ~♪
パパと左京の対決はもうすぐ!
さーて。左京は認めて貰えるかな~?
認めて貰えなくったって、橘花は駆け落ちする気、満々なんですけど!!
うう・・・;;
体調、今日はだいぶいいんですが、大事を取って仕事は休むことにしますー。
ストレスと激務が原因なので(つまり過労)の~んびり・・・シムズしようっと!!
ストレスの解消にはこれが一番です♪
(*´∇`)o。゜:.・+ オハヨォォ・.:゜。o(´∇`*)
返信削除かわいぃですね~パパさん
でも大切な娘を盗られるというお父さんの心境・・
とってもよくわかります!
本当はどこにもやりたくないし傍においておきたいっ!
そんな事をしたら娘の幸せがなくなる。。
だからちょっとした意地悪なんてしてみたくなったり?w
左京の最初の電話はちょっとひきましたね~w
そんなに怒鳴らなくてもいいのにぃー。
連絡しなかったのも悪いけどそこは男の寛容さで
どんっと受け止めてほしかったな~
でも、プチっと切られて、スグ電話して謝るというのは
ちょっと感動っ!
意地っ張りじゃなくてそのまんまの自然体なんですねw
かわいぃじゃないですか~~( ´艸`)
きっと橘花ちゃんの尻にひかれますねっ!確定www
そこが左京の魅力ですね☆
以前あんなに無感動でクールだったのに
純粋な少年になっちゃって~~人は人で変われますよね!
ステキな二人です☆
さてさて、左京がパパの難題をクリアして
結婚に導くことができるのでしょうかぁ~~。
ん~~楽しみです(つ∀`*)っ))⌒☆
パパ、難題いっぱいだして困らせちゃってねw
ぽよ~んさん、こんにちは!!
返信削除パパ、寂しいんですよね~。
やっぱり大事に育ててきた、奥さんの忘れ形見の一人娘だしね~。
でも、相手が左京なので、うむむむ・・・となっちゃってるわけですよー。
左京なら安心、って思う反面、自分とそう変わらないオッサン(笑)に可愛い娘を・・・とか思っちゃってて。
左京の電話、引いたでしょ?
ワタシもあんな言い方されたら切るっ!
ぶち、っとねww
でも、すぐ反省するところが左京のいいところですよ!
橘花が電話してくれないし、電話してもなかなか出てくれないから拗ねちゃってるんですよ♪
ええ。もう、間違いなく尻に敷かれますね!!
ホント、左京ってば変わったわ~。
冷たいオトコだったのに、いつの間にか熱くなっちゃって( ´艸`)
橘花が変えたんですよね~。
さぁ!パパの難題はなんでしょう?
一生懸命考えてるんですが、(パパが)相手は左京ですからね~。
どうなることやら(^-^)