All or Nothing

「・・・という計画なんだが・・・どうだ・・・？」

左京の話を聞いたメンツは、それぞれ一様に黙り込んでしまった。
「ダメ・・・かな？」

しかし、沈黙は、長くは続かなかった。
「・・・左京・・・しかし・・・そんな方法を取らなくても・・・他に手があるんじゃないのか？」

「うん・・・。でも、今日じゃなきゃダメなんだ。俺にとって・・・今日が運命の分かれ道なんだ。」

この街を離れ、全国に打って出る。まさしくここが、自分の岐路だと思っていた。
この先、橘花を同行させる為にも、今夜やらなければ意味がない。
「いや・・・左京さん・・・。それ、いいやないですか！！」
「ん？」

「それ、最高です！！俺、左京さんにどこまでも着いていきますよ！！」

「山田・・・。」
「山田って呼ばんでください！リュウって呼んでくださいよ～。」
「だって・・・山田じゃないか・・・。」

「あっ。左京さん、そういえばさっきのリハの時・・・橘花ちゃんに似た子がいたんすけど・・・もしかして・・・？」

「その通りだよ。スケ。」
「やっぱり！オイラ、声かけようかって思ったんすけど、リハ終わったら、どっか行っちゃったんで。」

「え？来とるんですか？なし紹介してくれんとですか！」
「お前らにちゃんと話をしてから、って思ってな。」

スケ三郎は、ロッタや橘花と友達づきあいをしていたので、橘花の顔も名前も知っている。けれど、他のメンバーにはまだ、橘花のことは伏せてあった。

「しかし佐土原、その計画は・・・。」
「なんだ？別所・・・お前・・・反対か？」

「いや！当たりだと思うぜ！」

「別所！！」

「コムロさん。反対なんすか？」
「反対・・・というか、そんなことをしなくともいいんじゃないか、って言ってるんだ。」

年長者らしく、リーダーのコムロが皆をたしなめる。
彼一人が抜けても、まず今夜のライブの幕は開かない。
「そうか・・・。全員に賛成してもらえなきゃ、この計画はおじゃんだ。残念だけど・・・。」

「左京・・・そうじゃない。他にも方法はあると思う。お前ならそんなことしなくても、世間が認めるだけの実力は十分あるんだから。けど・・・。」

「・・・お前が早急に事を起こしたいというのなら・・・。」

「・・・今日、その方法でやるのがベストだ。僕は、あの曲は絶対にやるべきだと思う。・・・いや、最高の形でやりたい。僕たちは、お前のバックだ。お前のやり方には文句をつけられない立場だからな。」

「あ～っ！理屈っぽくってヤだねぇ。ようするに賛成ってことだろ！とっととそう言えっての！回りくどいんだよ！お前は！！・・・佐土原、俺たちはお前について行くぜ！どこまでもな！」
「そう・・・か・・・ありがとう・・・。お前らを巻き込むことになって・・・すまん。」

「何言ってるんすか！面白いじゃないっすか！オイラ、ワクワクしてきたぞ！！」
「俺も・・・。左京さん、今夜のライブ、伝説のライブにしちゃろうやないですか！」

「伝説・・・か。いいな。それ。」

「吉と出るか、凶と出るか・・・どっちにしても、一世一代の大博打だ！」

「みんな・・・本当にありがとう。お前ら、最高のメンバーだよ・・・。」

「そう思うならさぁ・・・礼は体でしてくれよ。」
「やっ・・・。」

「ヤダよ！！バカっ！！俺ぁ、そっちの世界は知りたくねぇんだっ！！」
「う～ん・・・残念。」
「残念じゃねぇよ！バカっ！！」

バンドのメンバーは全員賛成してくれた。
もともとミュージシャンなんて、世間の枠からはみ出たような存在だ。
不安を口にするものもいない。みんな、こんな大博打が大好きなのだ。
「・・・よし、そろそろ開場だ。」

「みんなで最高のライブを作ろうぜ！！」

ライブを前にして、こんなに気持ちが高揚したのは初めてだった。
この勢いで乗り切る。
傍には橘花もいる。
成功しても、失敗しても、今夜のライブは左京にとって、最高のライブになるだろう。

そして、ライブ会場には、ぞくぞくとファンが集まり始めた。

「ねぇねぇ。さっきさぁ、こないだの女、見たよ！」
「こないだ？」

「ウチらがぼっこぼこにしてやったじゃん！あの女！またやっちまおうよ！」

この二人も、もちろんライブ会場に足を運んでいた。
そこで、ちら、っと橘花の姿を見かけたのだ。
「今日はやめてよ！！」
「なんで！？あんた、こないだノリノリで殴ってたじゃん！」

「こんなトコで騒ぎ起こしたら、左京に知られるって！！」
「それもそっか・・・。じゃ、ライブが終わってから探し出そう。」

「けど、あの女・・・左京にあの事・・・言ってないよね・・・。」
「あ・・・一緒に住んでるんだった・・・。チクられてたらえらいことだ・・・。今日は・・・おとなしくしとくか・・・。」
「せっかくのライブなんだから、今日だけはいい気分でいたいよ！」


ダニエルと宗太も仕事を終え、開演に間に合った。
「宗太～。間に合ったな！」
「大丈夫だって！！」

「しかしよぉ！ホントにタダで入れるんだなっ！なんか、気持ちいい～っ！！」
「ボク、お金払ったことなんかないよ。」
「お前・・・そういうの、早く教えろよ！病院のみんなに自慢できるじゃんか！」
「だから、どんな院長なんだよ、って・・・。」

「なぁ、ギルとロッタは？」
「あ。向こう側にいたよ！」

ダニエルと宗太がいる反対側には、ギルとロッタの姿もあった。
「ギル、あのね・・・後で話したいことあるんだー。」
「なんだ？今言えよ。」
「ライブが始まってから・・・言う！」

本当なら、今、大きな声で言ってしまいたい。
「お前・・・ライブ始まったら、騒がしくて話しどころじゃないぞ？」
「それでも！今じゃない方がいいの。」
「？なんだ？いったい・・・。」

けれど、ライブが始まり、もっともっと気分が高まってから、ロッタはギルに話そうと思っていた。


「橘花！」

「橘花。メンバーは賛成してくれたよ。」
「よかった！さすがだね！」
「ああ。メンバーが賛成してくれなきゃ、今夜のライブ自体、出来ないからな。」
「ね、ね、左京。見て！」
「ん？」

「ここ・・・灯台が見えるの！」
「あ！ホントだ！！」

「いつか・・・一緒に灯台、見に行ったよね？覚えてる？」
「お前、バカにしてんのか？ありゃ、俺が連れてったんだ。忘れるはず、ないだろ？」
「ふふっ。ワタシもいつか、サンセット・バレーに行きたいなぁ。」

「俺、カスケード・ショアーズに行きたいよ。お前が生まれて育った街、見てみたい。」
「なーんにもない田舎町だよ？」
「いいじゃないか！そんなとこで、二人で暮らしてみたいよ！」

「今夜の計画・・・失敗したらとりあえずカスケード・ショアーズに逃げよう。」
「うん。」
「成功したら、しばらく行けないもんなぁ。」

「左京・・・失敗した方がいい、って思ってるでしょ？」
「なんで分かる？」
「そんな顔してるもん！」
「お前は？」

「ワタシは・・・。」



「・・・どっちでもいい。でも・・・」

「・・・まだ・・・」

「光の海の中で泳ぐあなたを見ていたい。」
「橘花・・・。」

「俺・・・。」
「・・・うん。」

「頑張るから！お前に喜んで貰えるように！そして・・・世界中のみんなをハッピーにしてやるさ！」
「それでこそ佐土原左京よ！行って！ずっと見守ってるから！！」
「ああ！！」


「皆さん、準備はいいですか？そろそろ開演です。」

「ああ！いつでもいいぜ！！」

「気合入れて・・・いきましょう！」

田吾作は、今夜のライブで左京が何をやろうとしているのか知らなかった。

そして、幕は上がった。







ライブはまだか！？
以下、次回！！


左京にモデルポーズを取らせてみたショット抜粋。
エロイので隠します(^_^;)

服着てるのはまだまとも。

脱がす必要があるのか、と・・・。

どう見てもエロすぎ。

女性用のポーズなんでしょうね。
表情が無表情なのがちょっとね・・・。
もっと恥らった顔してたらいいんだけどね～。

これが一番好き(^･^*)
ケツ～♪

「・・・もっと・・・まともな写真、使ってくんないかな・・・。ライブシーンとか・・・。」

すみません・・・。