「ギルもステキ・・・。」
「ロッタ・・・一生、お前のことを守るよ。何があっても。」
「嬉しい・・・。」
「誓約のリング。一生、愛してね!」
「もちろん!」
「どんな時でも守ってやるさ!」
「俺も・・・。」
「大事にするね。」
粛々と式が進む中、橘花はうっとりと二人の姿を見つめていた。
「ロッタ・・・キレイ・・・。素敵だね。ね、左京。」
「ん・・・。」
「誓いのキスを・・・。」
「うん・・・。」
「・・・さ。これでもう俺たちは夫婦だ!一緒に歩いていこう!」
「うん・・・。」
「なんだ?泣いてんのか?」
「嬉しくって・・・胸がいっぱいになっちゃった・・・。」
「なんだよ!らしくないぞ?ほら!笑え!」
「うん。」
「ギル!ロッタ!おめでとう!!」
↑この人、気にしないでね・・・
「いいね。幸せそう。最高の晴れ舞台だよね!」「・・・。」
「・・・それだけ・・・?」
「え・・・?」
「・・・いや・・・。」
左京は、ギルとロッタの晴れの姿に、自分たちを重ね合わせていた。
式が始まった直後から、目では二人の姿を見つめていたが、考えていたのは、自分たちのことだった。
幸福の絶頂にいる二人。
美しく着飾り、純白のドレスを見に纏ったロッタ。
これからは一家の長として、家族を守るという決意を顕わにしている、頼もしいギル。
そんな二人を見て、自分も橘花にあんな顔をさせたい、と思っていた。
なんとなく、自分は二度目だし、籍だけ入れて、それで済ませてもいい、と思っていた。
一緒にいられれば、形に囚われる必要などない、と思っていたのだったが、いくら一緒にいよう、結婚しよう、と言葉を紡いでもそれだけではダメだということに気付いた。
なによりも、形が大切なのだ。
橘花にドレスを着せて、晴れの舞台に立たせたい。
今、痛切にそう思っていた。
式が終わると、パーティーが始まった。
わずかな招待客だったが、それでも大いに盛り上がった。
「左京のギターで踊れるなんて、贅沢だね!」
「お前・・・ドレス、大丈夫か?貸衣装だろ?それ。」
「ううん。買取にした!」
「1回しか着ないのにか!!」
「ちゃんと、とっといてね、子供が生まれて大きくなって、お嫁さんに行く時に、着せてあげたいの。」
「女の子が生まれるとは限らないぞ?・・・って、お前・・・子供出来たのか?」
「ううん。出来てないよー。」
「なんだ・・・がっかり・・・。」
「赤ちゃん出来てたら、こんなに派手に踊れないよー。」
「左京・・・。」
橘花は皆の輪の中には入らず、踊りもせずに、ギルとロッタへのはなむけ、と言って、ギターを奏で続ける左京を見つめていた。
盛大なカンパネラが鳴り響くような祝いの曲。
それを聞きながら、胸が熱くなるのを感じていた。
『左京・・・ワタシ・・・あなたのお嫁さんになりたい・・・。』
左京に、『一生、傍にいて欲しい』と言われた時には、その言葉にぼぉーっとなり、夢見心地だったのだが、ギルとロッタの式に参列して、それが急に現実味を帯びてきていた。
現実世界は厳しい。
いくら二人で、結婚しよう、一緒にいようと言ったって、多くの人が賛同してはくれないだろう。
左京はそういう存在なのだ。
けれど、そんな左京が『愛してる』と言ってくれる。
今まで、そんなことは考えたことがなかった。
だが、橘花は初めて、自分は左京にとって、『特別な存在』なのだ、と誇らしくなった。
「橘花さん・・・。」
そんな橘花の後姿を、宗太はじっと見つめていた。
あれきり・・・橘花とも左京とも言葉を交わしていない。
姿を見れば、逃げるように自分の部屋にこもっていた。
「ダニエルさん・・・ボク、もう帰るよ。」
「んっ?まだ宵の口だぜ?一晩中、騒ぐんじゃないの?」
「ん~・・・人酔いしちゃってさ・・・。」
「なんだ!じゃ、二人で飲みに行こうぜ!俺、まだ、なんだか現実に戻りたくないんだよなぁ。」
「二人で?」
「独り身同士!こんな時は女はいない方がいいんだぜ?」
「・・・そっか・・・。それがいいや。ボクもまだ、家には帰りたくないんだ。」
「よし!行くか!」
場はまだまだ盛り上がっていたが、二人はパーティーを抜けた。
それをきっかけにして、熱狂的に踊り続けていた招待客も、食事をしたり、談笑したり、と和やかな雰囲気に変わっていった。
「左京・・・いいパーティーだったね。」
「ああ。」
左京と橘花も、一足先に家に帰ってきた。
「夜になると、やっぱ寒いね。着替えてくる。」
「いや・・・待って。火、熾そう。」
そう言って、左京は炉に火をつけた。
まだ結婚式の余韻に浸っていたかった。
「マシュマロ、焼こうっと。」
「ちょっとは暖まった?」
「うん!」
「風邪なんか引くなよ。・・・あー・・・上着、貸してやろうか?」
「大丈夫!」
「・・・いい式だったな。俺、感動しちゃったよ。」
「ワタシも。」
言葉は少なかったが、それでお互いの気持ちが通じた気がした。
「焼けたかな?」
「火傷、すんなよ。」
「うん。」
「・・・なんかさ。俺・・・だらしねぇよな。」
「え?なんで?」
「なんか・・・ギルみたいな甲斐性、なくってさ。」
「なんで?そんなことないよ。」
「いや・・・。俺、口で結婚しよう、結婚しようって言うだけでさ。結局、指輪も買ってねぇし、お前のために式場の予約もしてない。口で言うだけじゃダメなんだ。ちゃんと行動しないと・・・。」
「・・・その気持ちだけでいいのに・・・。」
「・・・うん。お前がそう言うから、甘えてるんだよな。情けないよ。」
「情けなくないって!・・・あちっ。」
「火傷すんなよって。」
「平気。」
「・・・俺、ちゃんと・・・考えるから。」
「うん。」
「とりあえず・・・指輪だな。それから・・・。」
「・・・しかしさ・・・。」
「ん?」
「俺・・・子供の頃から思ってたんだけど・・・。マシュマロなんか焼いて食っても、別にうまくないよな。身体が暖まるわけでもないし、腹の足しにもならない。」
「そう?美味しいよ。」
「うまいか?これ・・・。」
「けど・・・こうやってマシュマロ焼いたりしてるとさ、なんか・・・子供の頃のこととか・・・親父とお袋が生きてた頃のこと思い出して、懐かしい気持ちになるんだよな。」
「暖かくなる?」
「そうなんだよなぁ。変な感覚だよな。」
「・・・あ。そうだ。」
「ん?」
「うちのパパ・・・手ごわいよ?」
「う・・・それなんだよなぁ・・・。」
「でも大丈夫!ワタシが守ってあげるから!」
「え・・・それはやっぱ情けないかも・・・。」
「じゃ、一人で平気?」
「・・・やっぱ守って・・・。」
「うん!・・・もう着替えるね!」
左京の気持ちが嬉しい、と橘花は言う。
けれど、彼女だって望んでいるはずだ。
ドレスを来て、花嫁になる日のことを、きっと望んでいる。
そんなに遠い未来のことではない。
圭介に許可さえもらえればすぐにでも・・・そう思っていた。
「ああ~・・・いいお式でした・・・。」
そしてこの男もまた、ギルとロッタの結婚する姿を見て、感動していた。
「京子さん!素晴らしい結婚式でしたね!!」
「そうね。」
最後の最後まで教会に残り、もう、空が白み始めていたが、興奮が覚めやらない。
「我々も、素晴らしい結婚式をあげましょう!そうだな・・・招待客は50人・・・いや100人?」
「・・・田吾作くん。」
「ああ・・・あなたのウェディングドレス姿を、皆に見せたいっ!!そして自慢してやるんです!!この美しい人は僕の花嫁なのだと!!」
「田吾作くん。」
「なんでしょう?ドレスを選びに行きますか?」
「私・・・あなたとは結婚しないわ。」
「・・・え・・・?」
どうする!?田吾作っ!?
いやぁ~・・・。
田吾作とスケ三郎のスーツの色合いが同じでした・・・。
スケさんはアクティブにしたことはないので、最初に作ったときに設定しちゃってたんだな・・・。
・・・ま、ツイン・ブルックの商店街の、同じ店で買ったんでしょう。きっと。
おまけ。
踊り狂う花嫁。
「お・・・おいおい・・・。」
踊りすぎです・・・。さすがパーティーアニマル。
yuzuさん、こんばんわ~(*^▽^*)
返信削除ロッタちゃん&ギル、おめでとう~(*´∀`*)
素敵な結婚式でした・・・
橘花ちゃんも、きっと結婚式あげたいでしょうね~。
なんっていっても、女の子にとって人生の一大イベント!!
でも、まだ壁が厚そうですね(泣)
き・・・京子さん!!!
思い切った行動にでましたね!!
京子さんの作戦やいかに・・・。
次が非常に気になります(≧∇≦)
クララさん、おはようございます!!
返信削除ギルとロッタちゃんにお祝い、ありがとうございます!!
ギルとロッタちゃん、二人とも盛装がとーってもよく似合ってて、幸せそうで、いい結婚式になりました!
やっぱり女にとっては、結婚式・・・というより、ウェディングドレスは憧れです♪
美しく着飾って嫁ぎたい、というのは、女なら当然だし、男だって、自分の愛する人にその喜びを味わわせてあげたい、て思いますよね~。
京子さんは、とうとう最終手段に出ました(^-^)
田吾作・・・ホントにどうする!?
けど、田吾作の考えを変えられるのは、やっぱり京子さんしかいませんよね!
次回をお楽しみに~♪
yuzuさん、こんばんは~☆
返信削除そ・し・て、ギルとロッタ結婚おめでとうーーー!
私も2人の幸せオーラにあやかりたい(笑)
そうそう、結婚式に参列すると自分もしたくなるんですよね~
って、私の場合はまず相手探さないとだけど^_^;
橘花のウエディングドレス姿も可愛いでしょうね♪
たぶん左京は嬉しすぎて泣いちゃうかもしれない(笑)
宗太とダニエルは相変わらず仲良くしてるんですねw
2人のことちょっと忘れてた・・(笑)
京子さん、ついに作戦開始ですね!
こちらも目が離せません!!
Naonさん、こんばんはー!
返信削除ギルとロッタちゃんにお祝い、ありがとう!!
も~。ギルったら頼もしいんだからぁ(^-^*)
友人とか兄弟とかの結婚式って、ホントに幸せな気分になりますよね!!
自分まで気合入れて着飾っちゃったりしてww
二次会とか行って、カップル成立する確率が高いのも頷けます。
あやかりたい~っ!・・・って思ってしまうんですよねぇ~。
あ、Naonさん、鋭いです!!
自分たちの式、当日の左京の気持ちを分かってらっしゃる!
嬉しすぎて感涙ですよぉ~きっと!!
宗太とダニエル、めっきり脇に押しやられてて(^_^;)ゝ
でも・・・というか、次の話を、この二人でやる予定なので、最近はちょっと出番を控えめにしてるんです。
仲いいですよ~。
いっつも二人でお喋りしてるし。
ところで、京子さんが本気になってしまいました。
田吾作、どうするのかなぁ~?
次回はそんなお話です(^-^)