どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

木曜日, 11月 24, 2011

第4話 始まりの時

「あ・・・もう朝か・・・。」

昨夜、以蔵は帰ってこなかったようだ。
父親の許しがなければ外出も出来ないし、どうしようか・・・と考えていた。
「釣り・・・行きたいな・・・。」

「・・・あ、また・・・。」

ぼんやりとした頭でベッドから起き出ると、ズキ、と痛みが走った。
「なんなんだよ・・・これ・・・。」

このところ、度々こんな頭痛に襲われる。
けれど、それは長い時間続くものではなく、薬を飲まなくとも、1時間ほどで消えてしまうのだ。
「枕が合わない・・・とか?」

しかし、寝違えた、などというものとは違う。
寝違えたのなら、痛みはもっと続くものだと思うし、それよりも、もっと頭の芯から痛いような気がするのだ。
「・・・ま、いいや。どうせそのうち良くなるだろうし・・・。」


「以蔵、新聞、載ってるよ?」
「もう?マスコミは仕事が早いな・・・。」

昨夜の事件が、もう今朝の新聞の一面に載っていた。
以蔵は事件の後処理を終え、ついさっき帰宅したばかりだった。
「以蔵、すごーい!4人も逮捕したの?」
「ボスがいなかったから、下っ端ばっかりだけどね。これじゃ、一味を潰すまでにはならないなぁ。」
「でも、しばらくはおとなしくなるんじゃない?」

ダイニングで両親がそんな話をしているのを、左京は小耳に挟んだ。

「疲れたでしょ?」
「ああ。けど、変に目が冴えちまってなぁ。」
「ちょっと仮眠したほうがいいんじゃない?」

「君は?仕事は?」
「午後からなの。」

『へえ・・・。』

『昨夜・・・なんか事件があったんだ・・・。』

自分も後で、新聞を見てみよう、と思っていた。
やはり、いつの間にか頭痛は消えていた。
『父さん、さすがだな。犯人逮捕なんて。』

そんな父親を、左京は誇らしく思う。
例え、自分に対して厳しい父親でも、真面目に仕事をして社会の役に立っている人物なのだ、と思わずにはいられないのだ。

「あ、そうだ。仮眠する前に・・・。」
「ん?」

「電話で言ったろ?課長から、頼まれちまってさ。」
「あ。なぁに?」

「子供をさ、預かって貰えないかって。」
「子供!?」
「うん。」

「どうもその子、ワケアリらしくってさ・・・。元は署長から降りてきた話で、課長も詳しいことは知らんらしいんだが・・・。」
「子供って・・・。」
「左京と同じ年の女の子らしいんだ。」

「女の子なの!」
「ああ。」
「いいじゃない!ワタシ、女の子が欲しかったのよね~。」

「君・・・もう一人子供、欲しかったのか・・・?」
「ま、今だから言えるのかもしれないけどね。でも・・・同じ年頃の子が家にいた方が、左京もここで暮らしやすいんじゃないかしら?」

「左京か・・・そうかもしれんな。」
「せっかく・・・一緒に暮らすようになったのに、ワタシ、あの子の顔、まともに見てないわ。」
「昨日・・・なにかあったのか?」
「う・・・ん・・・。」

「あの子、以蔵がまだ怒ってるか、って気にしてたの。なのにワタシ、台詞覚えるのに必死で、生返事しちゃって・・・。」
「そうかぁ・・・。」
「なんだか・・・うまくいかないのよね・・・。」
「ふーむ・・・。」

「・・・まぁ、左京がその子と気が合うかは分からんが・・・俺たちがあまり家にいられない分、誰かが側にいた方がいいかもしれんな。」
「そうね。」

「じゃ、空き部屋にベッド入れなきゃ!」
「そうだな!」

その女の子がどんな子なのかは分からない。
問題児だ、という話だったが、それならそれで構わない。
家の中に変化が訪れることで、左京の心境にも変化があれば・・・と二人は単純に思っていたのだった。


「おい。佐土原。」

左京はまだ、なにも知らなかった。
両親は、左京には折をみて話すつもりではいたが、以蔵は夜勤の疲れで眠ってしまい、ヒイナはその日も遅くまで仕事で、左京の顔を見る間もなかった。
左京も、家にいながら両親を避けるように行動して、月曜のこの朝も、二人とは会話もしないまま、登校していた。
「え?なに?」

登校すると、同級生が声をかけてきた。
転校してきてから、いつだって一人で行動していて、こんなことは始めてだった。
「お前んとこの親父、警察官なんだろ?」
「あ、うん・・・。」

なんの話だろう。
しかし、この雰囲気は、おそらく、いい話ではない。
いつもつるんで悪さをしている、という三人組に囲まれ、左京は身構えた。
「てめぇんとこの親父のせいで、ウチの親父がパクられたんだぞ!」
「え・・・。」

「ジェイクんとこの親父は、ビジー一味の幹部なんだ!!なっ。」
「ああ。」
「あ・・・。」

「てめぇの親父のせいで、撃たれて怪我させられた上に、ムショ送りだ!どうしてくれんだよ!!」
「え・・・そ・・・そんなの・・・。」

なるほど、犯罪組織の一味の幹部を父に持ち、やりたい放題悪さをして、幅を利かせているというわけだ。
「そんなのっ!父さんは警察官なんだから、犯罪者を捕まえるのは当たり前じゃないか!!」
「なんだと!?このチビ!!」

こんなことを言われて、左京はだまってはいられなかった。
父が犯罪者を検挙したニュースは、新聞で読んだし、テレビでも見た。
左京にはそれが悪いことだとは思わない。
犯罪を犯すほうが悪いのであって、父に非があるわけではない。
「てめぇ・・・生意気なんだよっ!!」
「う・・・。」

しかし、身体の大きな同級生に詰め寄られ、左京はたじろいだ。
腕力にはまったく自信がない。
「ま・・・てめぇがちっと都合つけてくれれば、済むことよ。」
「な・・・なに・・・?」

「分かんないの~?金だよ。金!」
「な・・・。」

「てめぇの親父のせいで、小遣いもらえなくなっちまってなぁ。遊ぶ金に困ってんだ。」
「・・・なんで・・・。」

「なんで俺がお前らの小遣い出さなきゃいけないんだよっ!誰が出すか!!」
「この・・・。」

「いいから黙って出せっ!!」
「あ・・・っ!」

「持ってんだろ!?てめぇんち、金持ちらしいじゃねぇか!!」
「お前らにやる金なんか・・・。」
「ジェイク、やっちまえよ!!」

「あ・・・。」

こんな理不尽なことを言われて、屈する気はない。
だが、暴力を振るわれ、左京は足が震えて何も言えなくなった。
「おら!チビ!!金出せよ!!」
「・・・やっ・・・!」

「おらおらぁっ!!」

「いたっ!!」
「どうだ!!」

「はっ!ざまぁみろ!!」
「・・・う・・・。」

「俺に逆らうとこうなるんだよ!覚えとけ!!」

「あ・・・イタ・・・。」
「ふん。やっぱ金持ってんじゃねぇか。おとなしく出しゃいいんだよ!!」

したたかに殴られ、持っていた金をすべて奪われた。
「明日も持って来いよ!チビ!!」
「・・・おい、ジェイク。田中が来たぞ。」

通りかかった教師が、左京が囲まれているのを見てか、近付いてきた。
だが、今頃やってきても、事は終わった後だ。
「こら!剛田!!何やってる!?」
「別に~。」

「暴れてたんじゃないだろうな!」
「運動不足なんでレクリエーションっす。」
「さっさと教室に入れ!予鈴はもう鳴っただろう!?」
「へーい。」

悪さをし慣れているせいか、こいつ等は要領がいい。

いつだってそうだ。

「・・・くそっ・・・。」

心底悔しい、という気持ちはある。
「自転車買うお金だったのに・・・。」

だが、対抗できる腕力は、左京にはない。

いつだって、

周りの連中は見て見ぬ振りで、

大人だって、わざと外しているとしか思えないタイミングでしかやってこない。

犯罪組織の幹部を父に持ち、睨みを効かせている彼等が、同級生などに乱暴を働いたり、街でイタズラをしたりしていることを、誰もが知っているはずなのに、何も言わない。
そして、彼等も、現場を押さえられるようなヘマは決してしない。
「う・・・くそっ・・・。」

悔しさばかりがこみ上げてきて、授業が頭に入らない。
目立たないように行動していれば、標的になるはずなどなかった。
けれど、父親の仕事のせいで、自分が的になるとは、思ってもみなかった。

彼等の左京に対する攻撃は、その日を境にして始まった。

「チビ。金、持ってきただろうな。」

翌日も校舎の裏に引っ張っていかれ、金をせびられた。
「お前らにやる金なんか・・・ないよ!」
「なんだと!?」

左京はまだ、理不尽に感じこそすれ、彼等に対して恐怖感は抱いていなかった。
「持ってこいって言ったろうが!!どうしてくれんだ!!遊びに行けねぇじゃねぇか!!」
「そ・・・そんなの俺、知らないよ・・・。」

こいつ等が、遊ぶ金欲しさに自分を強請るなら、現金を持ち歩かなければいい。
金を持っていないと分かれば、暴力は振るわれるだろうが、そのうち、しつこく付きまとわれることはなくなるだろう、と思っていたのだ。
「なんだと!?生意気なんだよてめぇっ!!」
「あっ!!」

殴りたければ殴ればいい。
それで気が済むならいくらでも殴って、そして自分に付きまとうのはやめてくれればいい。
そんなことを考えていた。

「やっちまえ!ジェイク!!」
「骨の1本でも折ってやれば分かるか?ああん!?」

「・・・いってぇ・・・。」

いくらでも殴ればいい、とは思うが、強い力で殴りつけられ、左京は立ち上がることも出来なかった。

「ジェイク、コイツ、ここに閉じ込めちまおうぜ!」
「おお。サトシ、そりゃいいな。」

「一晩ここに閉じ込めときゃ、金を用意する気にもなるだろ。」

三人組は、左京を物置小屋に放り込み、そして、外から鍵をかけてしまった。
「お・・・おい!ちょ・・・出せよ!!」

「バーカ!誰が出すか!」
「そこで一晩考えるんだな。金を持ってこなかったおしおきだ。」

「ち・・・くしょ・・・うっ・・・えっ・・・。」

左京は・・・こんなことは慣れていた。
前の寄宿学校の時も、こうやって苛められ、トイレや倉庫に閉じ込められたことがある。

理由は・・・

あの時は、誰とも親しく接しようとしなかった左京が、女優の息子である、と知った同級生からその境遇を妬まれたのだった。
それに対して左京が、両親とは離れて暮らしているし、自分には関係ない、と突っぱねてしまった為、苛めがエスカレートした。
ただ、良家の子女が多く通う学校だったせいか、金をせびられたり、暴力を振るわれたりすることはなかった。
その分、陰湿ではあったのだが。
まして、左京が子供っぽい趣味を持っていることで、周りから白い目で見られ、だから・・・

授業に出るのも、寄宿舎に帰るのもイヤで、街をふらついたりしていたのだ。

「ここでも・・・か・・・。」

どこにいたって、自分は爪弾きにされる。

ブリッジポートからこの街にやってきて、両親の下に逃げ込んだつもりだったが、ここにも自分の居場所はなかった。
「暗く・・・なってきた・・・。」

どうしてなんだろう?

なぜ自分は、どこに行ってもうまくやっていけないのだろう?
「くっそ・・・小便してぇ・・・。」

「うっ・・・。」

その日、見回りの教師がここを開けてくれなければ、左京は本当に一晩、ここで過ごすことになっただろう。
たかが同級生、まだお互い子供だし、さほど執拗でもないだろう、と思っていたが、悔しさがだんだんと怖れに変わっていったのはこの時からだった。


「で?どうしたのー?」
「裏の物置に閉じ込めてやったのに、誰かが開けやがったんだよ!!」

「ま、金持ってくるまで何度もやってやるけどさぁ~。」
「あんまりやったら、チクられるんじゃない?」
「あのチビにそんな度胸、あるかよ!」

「だってアイツの親、警察官なんでしょ?親にチクられたら、どうすんのさ!」
「大人なんかちょろいもんさ!アイツの方が嘘ついてるって言い張って、涙の一つでも見せりゃ、なんとでもなる!」
「ジェイク、頭いい~!さすがだな!!」

「おっ。来たぞ。」

学校に来るのはイヤだった。
だが、登校しなければ、親にバレる。
この前も、門限を破って、父親にしたたか怒られた後だったので、左京は勇気を振り絞って登校したのだ。

学校では、彼等に極力接しないように、休み時間はトイレにでもこもって、授業が終われば、声をかけられないようにすぐに帰ればいい。
そう思っていた。
「・・・あ・・・。」

「・・・。」


教室の自分の机の上に、



花が飾られていた。

「おっ?佐土原ー。」
「うひひっ!」

「お前、死んだんじゃなかったのか~?もう、あそこから出てこないかと思ったぜ!!」
「・・・。」

何を言っても無駄だ、ということは分かっている。
「金も用意できないんなら、死んじまえよ!!」
「そーそー。」

だから左京は口を噤み、いっさい受け答えしなかった。
前の学校の時もそうだった。
そうやって、ずっと一人でいることに慣れていたのだ。
その時、チャイムが鳴った。それに救われた思いだった。
「ほら~席、つけ~。」

「ちっ・・・もう来やがった。」
「ふん。命拾いしたな。」

この時ばかりは、時間通りにきちんと授業にやってくる教師に感謝した。
「ま、週末までに10万用意してくれば、考えてやってもいいぜ!」
「10万じゃ足んないんじゃね?」
「とりあえずだよ。」

「親の財布から抜き取ればわけねぇだろ?それが出来なきゃ、スリでも引ったくりでもなんでもやって用意するんだな。」


こんなことは・・・

慣れている。

大人に訴えたところで、子供同士のコミュニケーションだ、と一笑に付されるか、苛められるほうにも原因があるのだから、自分で解決しろ、と言われるか、なんにせよ、大人はアテにならないことを、左京は経験上、知っていた。
だが、慣れてるからといって、

平然としていられるわけではない。

ここから今すぐにでも逃げ出したい。
胸の中にぐるぐると嫌な感情が渦巻き、鼓動が激しくなる。

だがどこにも逃げ場はない。
左京は自分が、ハンターに狙われた、なんの力も持たない小動物にでもなったような、そんな切羽詰った感覚を味わわされていた。

2 件のコメント:

  1. ( ゚▽゚)/コンバンハ
    (ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ- 今回も面白い!
    と言うか、続きがすっごく気になります!!

    「剛田」でフイテしまいましたがwww

    それにしてもみなさんの制服指定とか、学校ってRABBIT HOLEで入れないのかと思っていましたが、実は入れるのでしょうか?

    seifukuも上品な感じで素敵ですね!

    いじめっていつの時代もどこにでも存在しますが、ホントなくなればイイのに!って思います。
    でも、因果応報を信じて頑張って欲しいです!

    応援してます(*´∇`*)

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  2. もんぷちさん、こんばんは!
    学校ですね~・・・。
    学校は実際はRABBIT HOLEなので入れないはずなんですが・・・外観を元の建物に似せて、がっつり中を作りこみました!!
    で、学校のシーンは別データで動かしてて、この『学校』を家にして、先生と生徒、22人が生活しております(^_^;)ゝ
    で、生徒は全員、普段着が同じ制服というわけで。
    やってみたかったんですよね~。こういうの!
    裏話的ですみません;;

    剛田はもう、いじめっ子を作るときに、『剛田』しかないだろうって・・・。
    彼は『剛田ジェイク』って名前ですww

    いじめ、って誰にでも経験、あるんじゃないかなぁ、って思います。
    ワタシが子供の頃なんかも、男子と女子、ってだけで仲が悪かったり、ちょっとしたきっかけで、仲間はずれにしたり・・・。
    ワタシは子供いないんで、最近の学校事情は分かりませんが、昔よりもひどいイジメが存在してるんだと思います。
    ホント、なくなって欲しい(ノ_-。)

    左京がこの後どうなるのか・・・実は次回はもっとひどいです。
    けど、次回がどん底で、そこからは少しずつ、左京の笑顔も見てもらえるんじゃないかな~と思います!!

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