採掘機なるものが発明で出来上がったので、穴掘りを試してみることにしました。
うぃーん。がしゃっ。
「えーっと操作は・・・。」
「こうかな?うんしょと。」
ががががががっ!
「ひゃーっ!すごい音っ!」
その音を聞きつけて、左京が見に来ました。
「橘花ちゃん。また、なにを始めたんだい?」
「穴掘りっ!この機械、試したくって。」
「庭に穴なんか掘って大丈夫?」
「ん?」
「墓建ててる自分が言うのもなんだけど・・・この家の持ち主になんも言われない?」
「え?後で埋めておくよー。」
左京は疑問に思い始めていました。
橘花は最初、家賃はタダだと言いました。
その理由について、なにか訳ありの様子でしたが、橘花が話したくなさそうだったので、その時は聞かなかったんですが、これだけの家と土地が橘花のものであるとは思えないんです。
「やっぱ穴掘っちゃまずいかなぁ。」
「でも、掘っちゃダメとか言われなかったし・・・掘っていいとも言われなかったけど。」
しかし、確かにここは自分の家ではないのです。
「ぎゃーはははっ!なんだ、あれっ!」
「君ら、お気楽でいいな。」
テレビを見て大笑いしているギルとロッタに、左京が突っ込みをいれます。
「どしたの?左京。イライラしてる?」
「そんなんじゃないんだけど。お前ら、いつまでここで生活するんだ?結婚したら出て行くのか?」
「結婚?そんなのまだしないよー。左京のこと落としてないしー。」
「ローーッタ!!貴様、まだそんなこと言ってんのかっ!?別れるぞっ。」
「それはイヤー。」
左京、呆れています。
「左京に言われて改めて思ったけど・・・ワタシ、ずっとあの家に住んでていいのかな・・・。」
左京に言われなくても、頭の片隅ではずっと思っていました。
『彫刻さえすればいい』
あのオジサンはそう言いました。
けれど、本当にそれだけなんでしょうか。
「あのオジサン・・・どこに住んでるんだろう。街で見かけたことないし、ツイン・ブルックの人じゃないのかな・・・。」
「それに、この、チャールズ・クレメンタインって人・・・。なんか関わりがあるんだよね・・・。」
図書館だけではなく、本屋でチャールズ・クレメンタインに関する文献を探してみましたが、ほんの数冊しかありませんでした。
しかも、名前が一行載っている程度。
かろうじて、古い写真が一枚載っている本を買って、何度も読み返しています。
「ダニエルが言ってたっけ。昔はこの池は水深が浅かったって。ダニエルに聞いたら・・・なんか分かるかな?」
そろそろ、みんなにあの家に住むことになったいきさつを話す時がきたのかもしれません。
「おっと!エリック!いいとこで会った!」
「おー。ダニエル、どうした?」
上司に頼まれたお使いの帰り、公園を通りかかったところで、ダニエルは病院の同僚にばったり出くわしました。
「エリック、こないだは悪かったな。緊急手術、代わってもらって・・・。」
「ちょうど空いてたからな。何度も謝るなよ。」
「うん。・・・あのさ、エリック、ツイン・ブルックの歴史に詳しいだろ?」
「まぁ、詳しいな。代々この土地に住んでるからな。どうした?語ってやろうか?」
「いや、俺じゃなくって・・・同居人なんだけどさ、なんか伝説の話、聞きたいんだって。今度、家に来てくれないか?」
「君のところは可愛い女の子はいるかね?」
「ああ・・・ま、二人ほど・・・。」
「だったら行くよ。」
時間が出来たら連絡する、と言ってもらいました。
その、可愛い女の子の一人、ロッタは、
「仕事、仕事っ!」
今夜もお仕事に精を出しています。
「出たなーっ!!」
「こっちも!!」
「・・・ってか、またあんたの家なのっ!?スケっ!!」
「ロッタちゃん、がんばれー。」
「あんたも一緒に吸ってやるっ!!」
「わあああああっ!かんべんっ!」
いつものスケさんの家で幽霊退治。
もう一人の橘花は、
「左京、動かないでね。」
「OK-。」
こちらも彫刻に精を出しています。
左京をモデルにした後は、
「うんっ。おじさん、なかなかいいねーっ。」
「そのまま、そのままー。」
以蔵の彫像を作り、それから宗太も作って、庭に三体並べてみました。
佐土原家三代。
うーむ・・・。素晴らしい・・・。
けれどもやはり、三日ほどで溶けてしまいました。
こ・・・腰が痛くて、パソコンの前に座ってるのがツライ・・・。
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