練習に練習を重ね、板割りが出来たダニエル。
報告する相手が学校の先生なので、学校の裏手で終業時間を待っていたんですが・・・
「病人の気配がする・・・。」
「わ!」
「おい、大丈夫か!?」
「お医者さんはいないかー!?」
学校の前で、具合が悪くなった子がいるようです。
「おっ。どうした?どうした?」
「おじさん、なにー?」
「むっ・・・おじさんじゃないぞっ。俺は医者だ。」
「おじさん、お医者さんなの?授業が終わったら、頭がふらふらして・・・。」
「だから、おじさんじゃないっての・・・。」
「ちょっと診てやるよ。」
「なんで白衣じゃないの?」
「プライベートなんだよ。・・・うん。軽い貧血かな?」
「そ・・・その機械・・・なに?」
「これは病院の研究班が開発したヤツで、光線で治療するんだよ。」
「げっ・・・。だ・・・大丈夫なの?それ・・・。」
「まーかせとけって!」
「よしっ!じゃ、今度はこれ見て!」
「えっ?えっ?」
「ほいっ!」
「な・・・なに?」
「さぁ!具合はどうだ?」
「あ・・・あれ?なんだかすっきりしたよ!気分、良くなったみたい!」
「そいつはよかった。」
『え・・・おかしい・・・』
『どうみてもおかしい・・・この人・・・ホントに医者なの・・・?』
後ろの野次馬は怪しんでいるようですが、具合の悪かった本人が治ったと言ってるのですから・・・。
ダニエルがやぶ医者まがいの治療をしている頃、橘花はロッタをモデルに、氷像を製作していました。
「キュートに作ってね♪」
「努力はするよー。」
「あのさー、ロッタ。」
「んん~・・・モデルしてんだから話しかけないでー。」
「・・・そりゃどうも・・・。」
普通、逆じゃない?
「あと、もう一息だからねー。」
「・・・。」
微動だにせずモデルを勤めるロッタ。さすがです。
「よし!完成!・・・どう?」
「・・・。」
「すごい!すごーーーい!!」
「イエーーーースっ!!!」
ロッタ、大喜び。
確かにいい出来です。
次はこの人ですね。ギルの像を作れば、同居人全員分です。
・・・以蔵は作れないのかな・・・?
「あたし、橘花に氷で彫像作って貰っちゃったー。」
「うん。ボクも。」
「みんなの彫像、作ってんだねー。左京は?」
「作って貰ったよ。」
「氷なのが惜しいよねー。」
「溶けちゃうもんね。」
「石とかで作ればいいのにー。」
「氷だから価値があるんじゃない?・・・なんか、聞いたことあるよ。」
「なに?」
「氷の像をたくさん作って腕を上げたら、溶けない像が作れるようになるらしいよ。」
「えー?氷なのに溶けないの??」
「らしい、ってだけさ。実際は知らないよ。だって、そんなの見たことないもん。」
「ふぅーん・・・。・・・ね、左京はどう思う?」
「さぁ・・・。でも・・・橘花ちゃんなら出来そうな感じがする・・・。」
本に夢中なように見えて、左京は、ちゃんと二人の話を聞いていました。
最近の橘花は、部屋にこもって彫刻を作っていることが多く、左京はちょっと気になっていたんです。
「・・・まぁ、彫刻家なんだし、それが当たり前なんだけど・・・。」
好きでやっているのならいいんですが、このところ根を詰め過ぎなのではないか、と心配でした。
以蔵の氷像が作れるのかどうか、今まで、考えたこともなかったなぁ。
試してみようっと♪
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