「あれ?パパ、出掛けるの?」
「出版社に呼び出された。」
「終わったら電話するからさ、たまには外でメシでも食おうか。」
「ホント?やった!」
「たまには僕の不味い料理から解放されたいだろ?」
「パパの料理は別に不味くないよ。」
「そうか・・・?」
「ね、ついでに服でも買って?」
「なんでだよ。」
「はぁ・・・しょうがないな・・・。服も買ってやるか・・・。」
食事をしながら、橘花と話し、ツイン・ブルックに行くことを許可しようと思っていたのだ。
「しかし・・・なんだか嫁に出すような気分だぞ・・・?ま、エリックにはやらないけどな。」
一人娘が独り立ちするのを頼もしく思いながらも、圭介は一抹の寂しさを感じていた。
おまけに、エリックの筋書き通り、事が運んでいるのもなんだか腹立たしいのだ。
「出版社から呼び出しなら・・・また旅行に行くのかなぁ・・・。」
「だったらその前に、やっぱり許してもらわなくっちゃ。」
橘花も圭介と気持ちは同じ。
いざとなれば家出する覚悟ではいたものの、やはり許しを貰って、ツイン・ブルックに行きたい、と考えていた。
たった一人の肉親である父親の側を離れるのは不安だったが、それよりも、ツイン・ブルックに行けば、何かが待っている・・・そんな気がしてならなかった。
「パパ!お待たせー。」
電話を貰って、待ち合わせたレストランで落ち合った二人。
最初は二人とも黙って食事を口に運んでいたが、やがて圭介が切り出した。
「橘花。ちょっとしばらく外国に行くことになったんだ。」
「やっぱり?長いの?」
「そうだなぁ。今回はちょっと長くなりそうなんだ。」
今までも長い間家を空けることはあったが、橘花はまだ学生だったし、案外一人の時間も楽しんでいるようで、心配したことなどなかった。
けれど、今回ばかりは違う。
「ねぇ、パパ・・・。」
「やっぱりプロが作るワッフルはうまいや。」
「パパってば・・・。」
「・・・気をつけろよ。」
「留守中のこと?分かってるって・・・。」
「そうじゃなくて・・・行くんだろ?ツイン・ブルック。」
しかし、ここできちんと許可しておかなければ、橘花は本当に遠くに行ってしまう・・・。
そんな気がして圭介が出した答えだった。
「許して・・・くれるの?」
「留守中に家出されたらたまらんからな。」
「バレてた?」
「お前の考えてることなんかお見通しさ。」
「えへ。・・・パパ、ありがとう。」
圭介が外国に旅立つ同じ日に、橘花もツイン・ブルックへ行くことに決めた。
それまでの短い数日間、二人で街のあちこちに出掛け、何を話すでもなく一緒に時間を過ごした。
その間に圭介は、約束通りエリックに連絡しておいた。
エリックは迎えに行く、と言って聞かなかったが、橘花がツイン・ブルックの街に着くまでは姿を見せるな、と言い渡しておいた。
万に一つの確率で、橘花の気が変わる、ということもありえたからだ。
しかし、その日はついにやってきた。
「いい天気!幸先いいな~。」
「ん~っ。暑いと厄介だぞ?」
「お前、そんな色気のない格好でいいのか?左京に会いに行くんだろ?」
「ライブの時はめかしこんで行くもん。」
「そうか?」
「・・・ね、パパ。どうして最初、あんなに反対したの?」
「なんとなくだよ。」
「うそ!なんとなく、あんなに反対するわけないじゃん!」
「んー・・・そのうち分かるさっ。」
「そのうち?・・・ってどのくらい?」
「お前次第!・・・っていうか、ホントに気をつけろよ?知らない街なんだし。住むトコどうすんの。」
「向こう行って探す!」
「・・・ま、お前は僕の娘だから、間違ったことはしないって信じてるけどね。」
「なぁに?それっ。」
「橘花・・・元気で。自分の思った通りに生きるんだよ。」
「ふふっ。永遠の別れじゃないのよ?」
「永遠の別れだったら・・・パパ、泣いちゃうよ?」
「パパっ!苦しいってば!」
「ね、旅行から戻ったら、ツイン・ブルックに遊びに来てよ。」
「気が向いたらね。」
「もうっ。そんな言い方っ。」
「とにかく・・・お前は自分の意思に反することはしちゃダメだ。それだけは守ってくれよ?」
「分かった。約束する!」
「いい子だ。」
こうして橘花はツイン・ブルックへと旅立った。
・
・
・
「・・・と、いうわけ。」
「なるほど。反対された理由が、今、よーく分かったわ・・・。」
そして現在。
エリックがお膳立てしたとはいえ、橘花は彫刻家としての才能を開花させていた。
そして、チャールズの像を見事に作り上げたのだ。
やっと繋がりました!
とりあえずホッと一息(^-^;)ゝ
パパの性格と顔、本当に好きだぁー!
書いてて途中で切なくなってきちゃった。なぜか。
こんにちわ~♪
返信削除いよいよ現在にやってきましたね!
彼女の祖先の過去を知り、
これから橘花がどんな風に生きていくのか楽しみです。
又、彼女の恋の行方も見逃せないですね~♪
パパ、私も好きですよ!
なにげにオトボケが入ってるとこがいい!
見れば見るほど本当の人間のように見えて来る。
本当に素敵なパパです♪
一緒に物語を作るって言う話、いつでも言って下さいね。
その時には相談しましょう。
どこにサイトを開設するかとか…色々。
うん!楽しみだ!
また遊びに来ます!続きを楽しみにしていますね♪
まことんさん、こんにちは~!
返信削除今から仕事に行くので、お返事は帰ってからゆっくり書きますね!
ごめんなさい~。
まことんさん、ただいまー!
返信削除成長した橘花とパパの二人の生活、ちょっと楽しかったんですけど、旅立つ日が来てしまって、やっと現在に繋がりましたよ!
ん~・・・長い過去話だったなぁ。
橘花の恋かぁ。あはは。どうしよっかな~・・・とまだ悩み中なんですよ。
最後はどうやって終わるか決めているので、そこまでどんな風に進めるかってトコですね。
いやいや、パパ、ホントに好きなんですよ~。
今までの登場人物の中で一番好きかも。
ここで脇役だけで終わらせるのが本当にもったいないです。またどっかに出てくるかも?
とりあえずしばらくは、橘花たちと一緒に生活させます。
本当は数日のつもりだったけど、長い滞在になりそうだー(笑)
共同サイト開設、なんだか考えただけで楽しいっ!
どこのブログが使いやすいのかなぁ?
ここはあんまりカスタマイズが利かないので・・・というか、詳しく調べようと思ったら英語を読み解かなきゃいけないんで、結構めんどうなんですよね~。
まことんさんとの合作だったら、絶対画像が多くなるから、容量が大きいトコじゃないとダメだしなぁ。
お話も、どんな感じにするか考えなくちゃ!
現代?近未来?過去?それとも歴史大作とか?(^m^*)
そのために、頑張ってこのストーリーを収拾します!