「橘花ちゃん。お父様がいらしたわ。」
「パパ。」
「うん!キレイだ!!」
「ホント?」
「まだ、招待客が全員揃ってなくってね。」
「そんなに遠くから呼んだの?」
「急なことだったからだよ。」
「あたし、ギルんとこ行ってるね!」
ロッタがそう言って、立ち上がった。
京子も気を利かせて、部屋を出ていた。
嫁ぐその瞬間まで、親子二人きりでゆっくり話して欲しいという配慮だろう。
「ギル!」
「おお!橘花は支度、出来たか?」
「うん!でもね、まだお客さんが揃ってないからってパパさんが。」
「そうか。・・・ま、俺たちは移動しとくか。ロッタ、赤ちゃんは?大丈夫か?」
「うん!平気!あたし、ずっと座ってたもん。」
「よし。左京、行くぞ。」
「お・・・おう。」
圭介の言う、招待客は少しずつ集まってきていた。
その中に、宗太は懐かしい顔を見つけていた。
「宗太!」
「お・・・お兄ちゃん!?」
「うわ・・・久し振り!!」
「お前さぁ、サンセットバレー出て行ってから音沙汰なしなんだもんな!」
「お互い様だろ!!」
「元気そうだな!お前、でっかくなったなぁ!!」
「お兄ちゃん、ちょっと痩せた?」
久し振りに、兄の儀助の顔を見た。
「なに?宗太の兄ちゃんなの?」
「ええ。サンセットバレーで、警察官やってるんです。」
「俺、ダニエルっての。宗太とかと今、一緒に住んでるんだ。」
「へぇ。そうなんだ。」
「ダニエルさんはさ、ボクの親友なんだよ!」
「お前・・・友達出来たんだなぁ。」
「出来るよ!友達くらいっ。」
「ダニエルさん、こいつ、気難しくって付き合いにくいでしょ?」
「ひどいなぁ。お兄ちゃん!」
「けど・・・宗太より分かんないのはやっぱお父さんだな!」
「テレビで騒がれてたから、結婚するってのは知ってたけど、ずいぶん年下の人なんだって?」
「それだよ!」
「お前・・・よく許したなぁ。反対しなかったのか?」
「反対っていうか・・・いろいろあってさ・・・。」
そこへ、ギルとロッタが控え室から出てきた。
いよいよ支度が整った、ということだ。
「よぉ、坊ちゃん。そいつがお前の兄さんか?」
「あ、ギルさん。お兄ちゃんまで呼んでくれたんだね。」
「呼んだのは橘花の親父さんだ。後で、礼言っとけよ。」
「なぁ、ギル!左京は?」
「ああ。今来る。・・・ロッタ、そこ、座ってな。」
「うん!」
「じゃ、橘花は?」
「ダニエル、なんでお前が橘花のこと気にするんだよ。」
「いや・・・惚れ直すくらいキレイだろうなぁ・・・って思って・・・。」
「俺も見てないから知らんが・・・そんなこと言ってたら、左京にぶん殴られるぞ。」
「キレイだって言うくらいいいじゃん・・・。・・・あ・・・左京。」
「え・・・あ・・・。」
控え室から出てきた左京がまず、目を止めたのは・・・久し振りに会う、息子の儀助の姿だった。
「儀助!?」
「宗太くんのお兄ちゃんなんでしょ?パパさんが呼んだんだよ。」
「お父さん!」
「お父さん!ボク、ビックリしちゃったよ!」
「あ・・・。すまん。急に結婚なんて・・・。」
「ま、お父さん、いっつもやること突拍子もないから、今更なんだけどさぁ・・・。」
「うん。」
「ボクと同じくらいの年の子なんだって?そっちの方がビックリしたよ!お父さん・・・そんな趣味あったっけ?」
「別に趣味とかじゃないんだが・・・。」
「でもさ・・・どんな人か知らないけど・・・考えたら、お父さんが選んだ人なら間違いないかな、って思ってさ。」
「まぁな。いい女だぞ!惚れるなよ!」
「そんなに?」
「けど・・・お父さん、ホントに久し振りだ!全然変わんないね!」
「お前・・・1年や2年で変わるかよっ!」
「テレビではいっつも見てるんだけどさ!ケンシロウおじさんたちも心配してたんだよ?」
「そうか・・・。義兄さんたちは来ないのか?」
「ジュウザとかリュウガも来たがってたんだけど、ケンシロウおじさんがちょっと身体悪くしててさ。」
「え・・・。」
「大丈夫なのか・・・?」
「練習中にちょっと怪我しちゃって、リハビリ中なんだ。だから、迷惑かけたらいけないからって・・・。」
「そうだったのか・・・。俺、そんなことなんにも知らなくて・・・。」
「お父さんには知らせないでくれ、って言われてたんだ。たいした怪我じゃないし、左京は大変な時だから、って。」
「義兄さんも水臭いな・・・。今度、落ち着いたら一度、サンセットバレーに帰るか・・・。」
「そうしなよ!奥さん連れてさ!」
そこへ、田吾作が息せき切って駆け込んできた。
「さ・・・左京さん。お式は・・・?」
「お前・・・久し振りの親子の対面、邪魔すんなよ。まだだよ。」
「はぁ~・・・間に合いました!!受け取りに時間がかかってしまって・・・。」
「なんの受け取りだよ。」
「指輪ですよ!ゆ・び・わっ!!」
「指輪~?」
「結婚指輪です!お式には必要でしょ?」
「それってまさか・・・。」
「お前が選んだんじゃないだろうな・・・。」
「もちろん!・・・と言いたいところですが・・・。」
「京子さんのセレクトです!」
「ああ!だったら間違いないな!」
「ええ!!・・・って・・・僕のセレクトだったら間違いなんですか・・・?」
「当たり前だろ?」
「ああ・・・そうだ!まもなく彼らも到着しますよ!」
「彼ら・・・?」
「橘花。ホント、キレイだなぁ。」
「そう?なんか・・・落ち着かないな。」
「いや・・・ホントに。ママに・・・そっくりだ。」
「ママ?そんなに似てる?」
「ああ。」
「なんか・・・思い出しちゃったな。」
「ママと結婚した時のこと?」
「実はさ・・・この教会で式挙げたんだよ。」
「え!?そうだったの!?知らなかった・・・。」
「だから、お前にもここで・・・って密かに思ってたわけなんだけど、左京のヤツ、せっかちだからなぁ。」
「しょうがないよ。左京はそういう人だもん。」
「お前・・・あんな男でホントにいいの?」
「好きなの!そういうとこも全部!!」
「・・・勿体無いなぁ・・・。」
「なんで?左京ならいいって、パパだって・・・。」
「そうじゃなくって、もっと・・・3年は結婚しちゃダメ、とか言えばよかった。」
「そんなこと言ったら、駆け落ちしちゃうよ?」
こういう時間は二人とも苦手だった。
だから圭介も橘花も、出来るだけ普段どおりに話をしよう、と思っていた。
けれども盛装して、結婚の瞬間を待つこの時間、どうしてもしんみりせずにはいられない。
「ホントに・・・結婚するんだなぁ・・・。」
「うん・・・。今までありがとう・・・。」
「それ以上言うな。涙が出るから。」
本当に、それ以上話すと涙が溢れてきそうだった。
結婚式は笑顔で臨みたい。
だから二人とも、もうそれ以上話はしなかった。
「佐土原!」
「左京さん、どうも~。」
「え・・・お前らっ!」
「お前、式挙げるんなら、ちゃんと言えって!」
「いや・・・別に挙げるつもりはなかったんだけど・・・。」
「米沢さんに聞いて驚いたぞ!」
「左京さん!橘花ちゃんは?どこにおるとですか?ドレス姿、可愛いやろうなぁ。」
「バカ。俺だってまだ見てないんだ。」
「ひゃ~!楽しみやなぁ~っ!」
「山田・・・お前、橘花に惚れるなって。」
「けど・・・みんな、遠いとこ、来てくれて・・・ありがとう。」
「なんちゃないですよ!」
「左京、僕、ピアノ弾こうか?」
遠くから、バンドのメンバーも駆けつけてくれた。
これで準備は万端。
本番を迎える時間がやってきた。
「田吾作くん。お客様も集まったようだし、そろそろね。」
「ええ。始めましょうか。」
「左京さん、スタンバイしてください。」
「ここに立てばいいのか?」
「ええ。」
招待客すべてが席に着き、その瞬間を待ちわびる。
ざわざわとした話し声が止み、荘厳な空気が降りてきて、ゆっくりとその場を満たした。
鐘が鳴る。
静寂の空間の中、鐘の音だけが鳴り響き、扉が開く。
そして、純白のドレスを身に纏った彼女が、父親に手をとられて、姿を現した。
「橘花・・・行くよ。」
「・・・はい。」
彼女が、一歩ずつ自分に近付いてくる。
幾度・・・こんな光景を夢に見ただろうか。
なのに、どうしてその時の夢を忘れていたのだろうか。
純白のドレスに包まれて美しく着飾った橘花の姿を、どうしても見たい、とずっと願っていたはずなのに。
彼女の姿が霞んで、見えなくなってくる。
嬉しくて、幸せすぎて胸が潰れそうで、大声で泣き出してしまいそうだ。
けれど・・・そんな自分を見て、彼女は微笑んだ。
『俺・・・』
『俺が泣いて・・・どうする・・・。』
胸を張って、背筋を伸ばし、彼女を受け止めなければいけないのだ。
『橘花・・・。』
夢にまで見た瞬間が、清かな衣擦れの音と共に近付いてくる。
望んで、望んで、焦がれた瞬間が、やっと今、手に入る。
「左京・・・任せたぞ。」
圭介が小さな声でそう言った。
「はい。」
この瞬間が・・・ずっと欲しかった。
出会ってから今までの・・・
彼女との小さな思い出のかけらが
キラキラと輝く水晶の結晶のように
一つずつ降り積もって
胸を満たしていく。
笑顔も泣き顔もすべて覚えている。
「橘花・・・キレイだ・・・。」
「ホント?」
「当たり前だろ。」
「左京も・・・素敵。」
「指輪・・・うまく、嵌められるかな・・・。」
「京子さんが選んでくれたんだってよ。」
「うん。ピッタリだ・・・。」
「俺からも・・・。」
「キレイだね・・・。キラキラしてる・・・。」
「橘花・・・。」
「左京・・・泣いてるの・・・?」
「俺・・・泣いてる?」
「泣いちゃイヤだ。ワタシまで・・・。」
「・・・泣けてくるから・・・。」
「ゴメン・・・でも・・・止まんない・・・。」
「左京のバカ・・・ワタシ・・・泣かないって決めてたのに・・・。」
「左京・・・苦しい・・・。胸が潰れそうなくらい・・・愛してる・・・。」
「俺だって・・・。」
「俺の方が・・・お前のこと、死ぬほど好きで好きでたまらないんだよ。愛してるよ。橘花・・・。」
「橘花・・・誰よりも・・・幸せになれよ・・・。」
「絶対離さない!ずっとお前の傍にいる!!」
「このまま・・・。」
「きゃっ!」
「ずーーーっとだ!!」
ようやく二人で辿りついた。
この瞬間を、絶対に忘れない。一生手離さないと誓った。
あぁぁぁ~~~~~
返信削除ああぁああ~~~~~
ぁぁぁぁああ~~~~~~!!
泣いてしまったじゃないですか~ yuzuさんのバカー。むちゅちゅちゅ~~~w
昼ごはん食べながら見ていたんですが、
ふりかけに海苔を巻いて食べながら泣いてましたww
こんなのだめだよ!絶対感動するじゃないですか、
是非この動画が欲しいっておもっちゃうじゃないですか、
鐘の音を聴きたいとおもってしまうじゃないですか、
そんでyuuzさんが物語の主題歌を歌って欲しいって思うじゃないですか。
あ、エンディングでもいいですよ。
なんだかこうやって皆改まって同じ場所に集まるというのは、
特別なことなんだなぁと思います。
私もこの式に参加させてください。
皆で一緒に賛美歌を歌いましょう。
そんでこの後は披露宴で出し物を考えなくっちゃ、
私は何にしようかなw
こくいです…こんにちわ…(T_T)
返信削除まずTOPの左京さんにいきなりやられました…
そして…会社なのに…会社なのに…泣きそうです(T□T)
た、助けてください…(え)
いや、すみません本当に今ちょっときてます;;
そしておめでとう(*^▽^*)
あ、この間の通りすがりの人さんも参加するのなら…
わたしもぜひとも参加します(゜▽゜)
みなさんの出し物を楽しみに…ww
ユズさん.:+:.::.:+:(,, ・∀・)ノ゛コンニチハー.:+:
返信削除パパと橘花ちゃんの二人の会話からもー胸が
苦しくなってきました・・。
左京の涙の瞬間、そして輝く思い出たち・・
もぉー涙があふれました。
そぉ、宗太君やみんなの分まで誰よりも幸福に
なってくださいねっ!
本当に(○*´⌒`Pq) ォメデト★。+゚
この間の通りすがりの人さん、こんばんは!!
返信削除あ・・・泣かせてしまいましたね(^_^;)ゝすみません・・・。
ワタシ、これ書き上げるのに何回も何回も台詞とか見直して、その時はなんともなかったのに、出来上がって、ブログにアップして、改めてじっくり読んでみたら、じわ~っと、きちゃいました。
自分で書いたのに、なんだか泣けて・・・。朝、更新するんじゃなかったなぁ。
ふりかけ海苔ごはん、いい塩加減だったでしょ~ww
この物語、主題歌はどんな歌がハマるかな?って真剣に考えちゃったじゃないですか!!
儀助は、絶対ここで出そうと思ってたんですよ。
息子なのに、父親の結婚式に出ないのはおかしいし。
でも、この一話、長くなりすぎちゃって、あんまり話しがさせられませんでした。
披露宴の出し物!!
通りすがりの人さんには何をしてもらおうかな?
歌でも踊りでもなんでもいいですよ!!
ぜひ、場を盛り上げちゃってください!!
こくいさん、こんばんは!!
返信削除左京は間違いなく泣くだろうな、って思ってたんで、泣かせちゃいました(^-^)
すみません・・・会社でうるうるきちゃった?
ティッシュ、送ります~。
逆に、橘花はずっとニコニコしてるかもしれないなぁ、なんて思ってたんですが、左京の泣き顔見てたら、釣られちゃいました。
この時の心境って、バンザイして踊りだすような嬉しさじゃなくって、感動して、自然に涙が溢れてくるような嬉しさかな、って思って。
ふふ。
みんなが披露宴で何をやってくれるのか、とっても楽しみです!!
ザック・レン・ブラッドのトリオコントでもいいですよ~。
(実は以前、そういう動画を作ろうとしたけど挫折しました;;)
ぽよ~んさん、こんばんは!!
返信削除本当は橘花、もっとパパに感謝の言葉とか言いたかったんですが、お互い泣きそうだったんであれだけしか言えませんでした。
やっぱりこういう場を設けて、結婚式っていう儀式をすることってすごく大切だって、左京はやっと分かったんですよね。
勢いで結婚するのもありかもしれないけど、ちゃんとした手順を踏んで、執り行っていくことに意味があって、じゃなきゃこんなに感動して泣くこともなかったし。
過去の二人の写真を並べてて、ワタシも思い出しちゃって、ちょっとうる、っとしてしまいました。
誰よりも幸せになっていい二人なんだと思います。
ダニエルも宗太も、二人のこんな場面を見たら、もうなんにも言えなくなってしまって。
お祝い、ありがとう!!
おめでとう~~~!
返信削除とうとうこの日がやって来ましたね!
あ、ユズさんこんばんわ~~♪
よかった…すっごくよかった…(TT)
橘花がパパと入場するときはなんだかジーンときちゃって…
感動したぁ~~(TT)
よかったね、よかったね…。
左京が泣いてるのがまた可愛いって言うかなんて言うか…。
橘花まで泣いちゃって、涙と感動の結婚式ですね。
パパったらやはり粋な事をしてくれました…。
惚れてまうわ…。
って言うか…田吾作とスケの衣装…wwwwwww
左京が久しぶりに儀助と会って、親子の対面してるのに…
思わず吹き出してしまった(笑)
スケはスケでとっても素敵な衣装でwww
よくお似合いでした(笑)
あ、結婚式に私も参加します!
二次会行きしょう、二次会!
よ~し、今日は飲むぞ~~~~!
まことんさん、こんばんは!!
返信削除やっとここまで辿りつきましたよ~!!
ここまでくるのに本当に長かった・・・。
でも、理想的な結婚式になりました(^-^)
左京は、やっぱり泣いちゃいますね~。
ホントは、もっとぼろぼろ泣いて欲しかったんだけど、このくらいに抑えました。
橘花は、泣かせるはずじゃなかったのに、左京の泣き顔見てたら、やっぱり二人で泣きながら愛を誓い合う方がいいかな、と思いまして。
田吾作はやっぱあんな感じで(^-^;)
実は、田吾作の結婚式もちょっとやろうと思ってるんですけど、衣裳をどうするか悩んでしまって・・・
・・・というか、まことんさん!!
京子さんの衣裳が途中で変わってるのにお気付きでしょうか!?
この結婚式の最中に、妊娠が発覚したんですよっ!!
カスケード・ショアーズにみんな連れてきて、NPCで、ちょっとだけ二人で生活させてる間に・・・
田吾作・・・お前・・・。
仕方ないので、田吾作は出来ちゃった婚です!!
まぁ、田吾作らしいかも?
披露宴には、皆さんをご招待しなければ!!
二次会、いいですね~(^-^*)
歌いまくっちゃいますよ!!みんなで大騒ぎしましょう!!