「また来たのか・・・。」
「そう言うな。俺は心配してだな・・・。」

「頼むから・・・もう来ないでくれないか。」
「何を言うんだ!僕は何度でも来るさ!」

そうやってクリスに拒絶されても、アーネストは何度も訪れた。
しかし、ユージンからあの嫌な噂を聞いた頃から、家の中に、シンディーの姿が見当たらなくなっていた。
シンディーだけではない。
ジュディも・・・いなくなっていた。
アーネストはそのことをなかなか聞けずにいたが、ある日、思い余ってクリスに尋ねた。
「クリス・・・あの女は・・・シンディーは・・・どうしたんだ?」
「シンディー・・・?・・・ああ、中にいるよ。」
「・・・え?」
「最近はジュディの面倒もよく見ているんだ。はは、僕も頑張って稼がないとね。」

クリスはそう言った。
しかし、誰かが家の中にいる気配は、やはり、なかった。
「クリス・・・ちょっと上がらせてもらっていいか?」
「構わないよ。・・・あ、でもジュディが寝ているかも知れないから静かにしてくれよ。」

アーネストは家の中に入り、二人の姿を探した。
しかし・・・誰もいない。
「最近は絵が売れるようになってきたんだ。少し家具を揃えなきゃな。」
「クリス・・・シンディーは・・・?」
「そこにいるだろう?ベッドの上に。」
「・・・いないよ。」
「君・・・見えないのかい?」

「何を言ってるんだ?クリス。誰もいないじゃないか!どこに行ったんだ?」
「妙なこと言うな!いるだろう!そこに!」
「クリス!!」
「大きな声を出さないでくれ!静かにしてくれと言っただろう!・・・もう・・・帰ってくれ!」

街でクリスの絵が売れているという事実はなかった。
それに、いつ行っても同じキャンバスに同じ絵を繰り返し描いているだけなのをアーネストは見ていた。
シンディーもジュディもいないのに・・・クリスはそこにいると言う。
明らかにおかしかったが・・・何かがあって、気が動転しているのかもしれない。
落ち着くのを待って、もう一度きちんと話した方がいい、とアーネストは思った。
そして、クリスの言う通り、その場を立ち去った。
「・・・分かったよ。また・・・来るから。」
「・・・ああ。」

この時、すんなりとクリスのもとを去ってしまったことを、アーネストは一生後悔し続けることになる。
クリスの様子がおかしいということに気付いていながら、なぜ、言われるまま背を向けてしまったのだろう。
なぜ、もっとしっかりとクリスの目を見て話を聞かなかったのだろう・・・と。
『アーネスト・・・分かってる・・・。』

『夢・・・そう、夢なんだ、これは。幸せで暖かい家庭・・・。
僕が育ったあの、クレメンタインの家のように暖かい・・・。
僕も・・・父さんのようになりたかった。父さんのように家族を守り、暖かい家庭を作りたかった・・・。
でも・・・夢はもう、終わらせなきゃいけない・・・。』

『父さん・・・。』
『父さん・・・子供の頃の約束・・・僕は忘れたことはなかったよ。
父さんの立派な像を建てる約束・・・果たせなかった・・・。』
『ごめん・・・。』
その晩、クリスは保安官事務所から盗み出した銃で自殺を図った。
「おじさん!大変なことが・・・!」
「どうした?アーネスト。そんなに慌てて。」
「クリスが・・・クリスが・・・。」

クリスの遺体を発見したのは、誰あろう、アーネストだった。
人が訪れることもない湿地帯の端の掘っ立て小屋など、保安官たちは人が住んでいるとも思わず、探索していなかったのだ。
「クリスが・・・亡くなり・・・ました・・・。」
「まさか・・・。ははっ。冗談はやめたまえ。アーネスト。」
「本当のことです。僕は・・・この目で見てきました・・・。クリスは・・・銃で・・・自ら命を絶ったんです・・・。」

チャールズには、アーネストの言葉がどうしても信じられなかった。
なぜクリスが自殺など図ったのか。
シンディーと暮らし、貧しいながらも幸せを感じていたのではなかったのか。
「そんなに・・・追い詰められていたのか・・・?なぜだ?・・・なんてことだ・・・なんて・・・。」

・
・
・
「その後の捜査の結果、敷地内から、無造作に埋められたシンディーの遺体も発見された。クリスは、シンディーが自分から離れていこうとしているのに耐えられず、シンディーを銃で撃ち、そして自分も命を絶ったのではないか、というのがアーネストの推測だ。」

「なんだか・・・クリス、可哀想・・・。」
「うん。・・・悲しい話だ・・・。」

・
・
・
それからというもの、チャールズはあまり外にも出ず、クリスが好きだった絵本を眺め、ベッドの上で日を過ごすことが多くなっていった。

妻に先立たれ、たった一人の息子に背かれ、そして失ってしまった喪失感が、チャールズを包んでいた。
クリスの自殺シーン、セピアにしてもちょっとグロなので、青にしました。
血も銃も、ちょっとリアルで・・・。
でも、もしかしたら見てみたいという方がありかもしれませんので・・・
画像加工なしのヤツです↓(心臓弱い人は見ちゃダメよ。)
嘘!
返信削除クリスが……!!!
マジで?
あの女ぁ~~~!
あの女が全部悪い!殺されて当然だ!
って凄く興奮してます!
もちろん殺されていいはずの人間なんて一人もいませんが、
それでも彼女のやった事はクリスをも殺した事になりますよね!?
なんで自殺なんか…。
お父さんも信じたくないはずですよね…。
けどアーネストが悪い訳でもなく…
うっ…。クリスの人生があまりにも悲しい結末です…。
それにしてもすごくリアルでした。
画像加工なしのヤツもしっかりと見てしまいました。
え~!この続きがどうなるのか凄く興味があります!
アップを楽しみにしてますね!
あ、前回のコメントのまこは私、まことんです(笑)
まことんさん、こんにちはー。
返信削除早速のコメント、ありがとうございます!
この話を最初に考えた時から、クリスは早く亡くなるということは決めていました。
ただ、それを、病気にするか、事件・事故にするか、と悩んで悩んで、悩み抜いて、この形になりました。
クリスは、すぐに後悔する事になったけど、家を出た時は本当にシンディーのことを愛していたんです。
子供が出来たこともとても嬉しくて・・・。
でも、クリスは大人になりきれていない部分があって、夢はいつかは形になる、と信じていたので、裏切られたのがただただ辛かった、ということです。
本当に、アーネストが悪いわけではないんですけど、描写は少ないですが、アーネストはすごく苦しんで、クリスのために出来ることを考えます。
それが、現在の話に繋がります。
過去話、今、作っているあと1回で終わります!
あ~・・・見ちゃいました?
リアルでしょー。
あんなにリアルに出来上がるとは思ってもみませんでした!
こうやって撮影(?)していくのって、面白いけど・・・大変ですよね~。
ユズさん ( ´ー`)ノ コンチャ
返信削除クリスの運命・・儚いですね。。
何が悪いってこともなく、育った環境と縁なのかなぁ。
そこに寝ているだろ?・・っという言葉に
ゾッとしました。
さすが、ユズさん本当に描写がうまくて唸るばかりでした。
やはり今日も入り込んで読んでいました。
見て?・・じゃなく 読んでになっちゃいますね^^;
素晴らしいです。
たぶん、ユズさんの文字だけのストーリーでも
没頭して楽しみにワクワクしながら読み進めていったと思います。
んー・・もっともっと出来るだけ長く
この過去話だけじゃなく読みふけりたいと思いました。
残念・・
アーネストの性格は大好きです、
いや・・クリスも大好きです。
二人とも純粋に自然に自分の生きる糧を模索しているから。
そんな一生懸命な生き方が共感できました。
あー楽しい時間でした。
アリ(´・ω・)(´_ _)ガトーゴザイマシタ♪
ぽよ~んさん、こんばんはー!
返信削除本当にこの話、まともにやったら面白かったかも。
と、いうか、この時代背景は面白そうですよね~。
『大草原の小さな家』の時代なので、だから、チャールズとか、キャロルとかいう名前をつけたんですよね。
(昔のドラマなので、若い人は知らないだろうな・・・。)
クリスはお金持ちの息子にありがちなぼんぼんで、夢見がちな子だったんですよ。
子供がそのまま大人になったような。
純粋で、自分の気持ちに正直で・・・。
なので、夢が叶わない、と気付いた時に、壊れてしまったんですよね。
・・・いや、壊れたふりをしないと耐えられなかった。
だから、本当に壊しちゃったんですよ。
対照的に、アーネストはしっかりと現実を見ていて、自分に出来ることはなんでもやろうとするタイプ。
もっとこの二人の深い絆を描きたかった気がします。
文字だけのストーリーかぁ・・・。
物書きには憧れますね~。
情景が浮かぶような文章を書ける人がうらやましい!!
ワタシのは、SSに助けられてます(^-^;)ゝ
いやぁ~・・・いつも褒めていただいて、恥ずかしいです///
でも嬉しい♪
シムズで童話みたいなのも出来ると面白いんですけどね~。
頑張りまぁす!