今夜のロッタのお仕事場は・・・
「んもうっ!またここの家っ!!」
毎度お馴染みのスケ三郎の家。
「んん~・・・こんだけ毎回出るっていうのは・・・絶対この場所、昔、お墓だったとかじゃないのかなぁ。」
肝心の家主は留守でした。
「こんな時・・・王子様がいてくれればよかったのに・・・。」
王子様・・・ですか。
「ふ・・・ふふふふふ・・・。」
ロッタの王子様は、一人寂しくテレビを見ていました。
週末の朝・・・。
「な、橘花。お前、今日なんか用事ある?」
「あるよー。昨日、さぼっちゃったから、仕事しなきゃ。」
「まーた氷の彫刻か?一日くらい作らなくったって腕が落ちたりしないだろ?」
「そういう問題じゃないんだよねー。」
「じゃ、なんだ?生活費か?」
「お金じゃないよ。作りたいから作るのっ。」
「・・・。」
『せっかくの週末なのになぁ・・・。』
『こいつ・・・俺の気持ちとか、一生気付かない気がする・・・。』
もう一押しすれば、もしかすると橘花は乗ってくるかもしれません。
けれど、今のダニエルには、そのもう一押しが出来なくなっていました。
「んー・・・ダニエルのヤツ・・・こないだっからなーんか変なのよねー。」
「なんか言いたそうなのに言わないし・・・。」
橘花、気付いてないこともないのですが、その『言いたいこと』がなんなのかは分からないんです。
「彫刻家が彫刻作るのなんて当たり前じゃない。名声とかお金とかじゃなくって・・・。」
「んー・・・なんだろう・・・。」
遺伝子
・・・という言葉がふと頭に浮かびました。
「出来た・・・っていうか・・・これ・・・誰?」
もやもやした気持ちのままで作った彫像は・・・見たこともない紳士。
「なんか・・・気持ち悪い・・・。」
普段なら、作ったものは惜しげもなく売ってしまうのですが、この時はなぜかそれが出来ませんでした。
「誰だろう・・・。どこかで見たこと・・・。」
街で見かけた人だったのでしょうか?
それとも、橘花の記憶の中にある誰かなのでしょうか。
考えても答えが出ないまま、外出することにしました。
ちょっと一人で頭を冷やしたかったのです。
見事に橘花に振られたダニエルは、仕方なしに武術の練習なぞしておりましたが、
「いよ~っ・・・はーーーっ・・・。」
「ん?電話。」
「はい。もしもーし。」
「・・・ああ!なんだ。エリックか?・・・どうせヒマだよ。悪かったなー。」
「こないだの?・・・ああ!話に来てくれるのか!今から?いいぜ。・・・うん。場所、分かるか?」
どうやら友人からの電話で、今からこちらに遊びに来ると言っているようです。
「約束してたな。そう言えば。宗太はどこ行ったかな?」
同僚のエリックとやらが、今から伝説について話をしに来ます。
伝説を知りたがっていた宗太と、当事者である橘花にも話を聞かせたい、とダニエルは思っていました。
ダニエルが電話を受けて、しばらくした頃・・・。
「ふむ・・・久しぶりだ。」
あのオジサンがクレメンタイン・ハウスにやってきました。
「私の見込みは間違っていなかったかな?」
オジサン、勝手に家に上がりこんでしまいました。
「あー・・・ちょっと。あんた、誰?」
「ん?」
ギル、思いっきり胡散臭そうです。
いきなり見ず知らずの人が入り込んできて、きょろきょろしているのですから、当たり前といえば当たり前なのですが・・・。
「ん?君はここの住人かね?」
「そうだけど?あんた、なんなんだよ。人んちにずかずかと・・・。警察呼ぶぞ。」
「あ・・・怪しい者じゃないよ!女の子・・・いや・・・その・・・ダニエルは?」
「なんだ。ダニエルの知り合いか?なら先にそう言え。」
オジサン、ギルにたじろぎながらも、訪問の目的を告げます。
「あ!エリック!」
「お。ダニエル。このおっさん、お前を訪ねて来たらしいぞ?」
「ああ。ちょっと話聞かせてもらおうと思ってさ。・・・な、ギル。橘花知らない?」
「さっき、出掛けてたみたいだぞ?」
「なんだ。そっか。エリック、ちょっと待ってもらえるかな?メンツ、揃ってないんで。」
「ああ。構わないさ!どうせ週末だ。ゆっくりして行くよ。」
『なんかこのオッサン・・・イヤに図々しくないか?』
ギルはやっぱり胡散臭そうな顔です。
少しの間、玄関先で話していると・・・
橘花が帰ってきました。
なんか、数日、練って練って書いていたら、いつの間にか長くなってました。
ところで、『ヴァイス・ベルク』をちゃんと撮ったSSがなかったので・・・
こんなんです。
上から見ると、
こんな感じ。
屋根、剥いてみました。
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