「へえ。こんな場所があるんだね。」
「ああ!何を飲む?バーボンか?ジンか?」
「そうだなぁ。」
友人に誘われて訪れた酒場は、クリスが今まで見たこともない雰囲気の場所だった。
街の人間だけではなく、開拓者や流れ者・・・そんな人物もちらほらと見受けられた。
しかし、クリスはこの、荒廃した雰囲気の酒場が気に入り、足を運んだ。
「あら。また来たの?いらっしゃい。」
「ああ。家にいると息が詰まるんでね。」
「あっは。お坊ちゃんが、言うわね~。」
「坊ちゃんなんて言うなよ。僕はクリストファーっていうんだ。踊ろうぜ!」
「クリストファーね。あたいはシンディー。」
「シンディーか。君はどこから来たんだい?開拓者の家族かい?」
「んー・・・そんなことどうだっていいじゃない。でも・・・家は貧しくて、あたいがこんなとこで働いて仕送りしなきゃ、家族は飢え死によ。」
「そんな・・・。」
シンディーというこの娘の素性は不明だった。
けれど、彼女に限らず、ツイン・ブルックの創始者であるクレメンタイン家の一人息子に関心を持たない娘はいないと言っていいだろう。
手練手管に長けたシンディーにとって、世間知らずのクリスを篭絡することなど、たやすいことだった。
「ねぇ・・・あたい、あんたが気に入ったわ。一晩だけでいいの。夢、見させてくんない?」
「ああ・・・。」
シンディーの家族の為になると信じ、クリスは
彼女と一夜を過ごした。
もちろん、代価は奮発した。
けれども、それは一夜だけでは終わらなかった。
シンディーとの甘美な夜が忘れられず、クリスはシンディーとの逢瀬を重ね、家に寄り付かなくなった。
「クリス・・・。」
「ん・・・?なんだ・・・アーネストか・・・。」
「・・・。」
アーネストがクリスを心配し、探しに来た。
家ではチャールズもクララも、そしてキャロルも心配しているのだ。
「クリス・・・なんて格好だ!君は一体何をやってるんだ?家へ戻れよ。」
「アーネスト、聞いてくれよ。シンディーは素晴らしい女性なんだ。」
「素晴らしい・・・?」
「彼女は家族を養う為に、こんな場所で身体を売っているんだ。とても慈愛に満ちた女性なんだよ。」
「君・・・それを信じているのかい・・・?」
「なに?」
「そんな言葉を信じているのか?」
「あの女と結婚でもするつもりか!?家はどうなる?キャロルは?」
「家か・・・どうせ僕は父の事業は継げないんだ。誰と結婚しようと構わないだろう。キャロルとは・・・君が結婚すればいいじゃないか。その方が父も安心するだろう。」
「クリス!!」
「僕はシンディーと結婚するよ。そして、彼女と彼女の家族のために生きるよ。」
「そんなこと・・・許されるわけがないだろう!!・・・ともかく家に帰れ!」
アーネストは必死に説得したが、シンディーに溺れていたクリスには、その必死の説得は耳に入らなかった。
そして・・・シンディーと結婚することを告げるため、彼女を家に招いた。
彼女の素晴らしさを説けば、両親も納得してくれるだろう、と楽観していた。
「シンディー、君を両親に紹介するよ。」
「嬉しい・・・。けど・・・大丈夫なの?」
「大丈夫さ。僕に任せてくれ。」
しかし・・・
「父さん、母さん。彼女、シンディーというんだ。とても苦労してる人でね。僕は・・・彼女の助けになってあげたい。彼女と結婚したいんだ。」
「ははは。何を言い出すんだ、クリス。」
「父さん・・・。」
「火遊びもほどほどにしろ。最近は作っていないようだが、お前には立派な芸術家になるという夢があるだろう?火遊びなどやめて、家に戻れ。キャロルになんと言い訳するつもりだ?ん?」
「火遊びなんかじゃないさ!」
シンディーとの結婚など、両親が許すはずもなかった。
「あなた・・・どうやってクリスを騙したの?二度とこの家に出入りしないでちょうだい!」
「ふん・・・。クリスがどうしてもって言うから来ただけさ。クリスはあたいと結婚してくれるって言ってんだ。」
「ははは。クリスは世間知らずだからな。悪いことは言わない。帰ってくれないか?迷惑料は・・・支払うよ。」
「あー・・・そんならー・・・。」
「父さん!失礼なこと言うなよ!彼女は・・・金が目的じゃない!僕を・・・本当に愛してくれているんだから・・・。」
「君・・・本当にそうなのか?」
「んー・・・あたい、クリスのことはホントに好きだよ。けど、おじさんもなかなか精力的でステキじゃん。うふふ。」
「な・・・なんて女だ!!出て行け!!」
「なっ・・・なによ!褒めてんじゃないよ!」
チャールズまでも誘惑しようとする女を、認めるはずがない。
クリスは厳しく外出を禁止され、シンディーと会うことを許されなかった。
「坊ちゃん・・・。」
「ユージンか・・・。僕はどうしたらいいんだ・・・。」
「坊ちゃん、悪いことは言いません。あの女は・・・坊ちゃんの手に負えるような女じゃありません。」
「お前までそんなことを言うのか・・・。」
「チャールズ様やクララ様に心配をかけてはいけません。お二人は坊ちゃんのことを誰よりも愛してらっしゃるんですよ?」
「だったら・・・僕が愛した女性も愛してくれればいいのに・・・。」
「坊ちゃん!」
周りの誰もが、シンディーとの結婚を認めてくれない・・・。
周りの誰もが自分の敵だ・・・と感じたクリスは、こっそりと家を抜け出し、シンディーに会いに行った。
「シンディー・・・。」
「クリス・・・。」
「家を・・・抜け出してきたんだ。」
「ああ・・・シンディー・・・。僕は誰がなんと言おうと、君と結婚するよ・・・。」
「クリス・・・。ねぇ・・・クリス。」
「なんだい?」
「あたい・・・子供が出来たみたいなの・・・。」
「・・・なんだって・・・?」
「それなら・・・ますます両親に君の事認めさせなきゃ。花嫁として・・・君を家に迎えるよ。」
「うん・・・。」
シンディーの目的はクリスの地位と金だった。
子供さえ出来れば、あの堅物の両親も自分を嫁として迎え入れざるをえないだろう、と考えていた。
空気が読めないクリスとシンディー(笑)
せっかく作った街だけど、全然外のシーンがなくって紹介出来ないので、この街に設置したそれっぽい建物の紹介でもしますー。
市場。MTS様より ⇒ http://nene.modthesims.info/download.php?t=399338
見えてる部分は中にも入れるし、別になんにもないんですが、地下に食料品店と本屋が仕込んであって、買い物できます。
ユージン・エヴァンスとアーネスト・エヴァンスが最初に住んでた家。
これもMTS様 ⇒ http://nene.modthesims.info/download.php?t=399096
古びた感じが素晴らしい!・・・んですが、冷蔵庫がなかった・・・。
すぐにクレメンタイン家に引っ越しちゃったんで、数日しか暮らしてないです。
宿屋。これもMTS様 ⇒ http://www.modthesims.info/download.php?t=371356
内装はがらっと変えました。
内装の参考はこちら Sims3 marktplatz様 ⇒ http://www.sims3marktplatz.net/forum/index.php?page=DownloadDBData&dataID=900
で、ライトの色を赤っぽくしたりしたんですが、SSの色をセピアに調整しちゃったんで、全然わかんなくなっちゃった(^_^;)
こんばんわ!
返信削除コメントにての貴重な情報、ありがとうございます!!!
さっそく検索に行きました。
とくに洋服はかなり助かります。
あ~これで中世の物語が出来る…。
ありがとうございます。
さて、物語なんですが、クリスが溺れてますね。
まさに溺れてると言っていいと思います。
そして二人のベットシーン。
凄い!裸だし!
とても綺麗に撮れてますね。
裸ってのがビックリしました。
いったいどうやったの?ってマジマジと見ちゃいました。
決してスケベな気持ちからじゃないですよ?
なぁ~んちゃって(笑)
でも本当に綺麗でしたよ。
ちょっとエロくてそれでいて綺麗に撮れてました。
あ、物語的にはまずい展開なんだった。
このシンディー。ちょっと食わせ者ですね。
クリスは今は溺れてる真っ只中なので彼女の真の人間性に
気付いてないですよね。
彼はどこか逃げてるような感じがします。
このままシンディーと結婚しても絶対にうまくは行きませんよね。
早く大変な事になる前に彼が気付くといいんですが…。
でもますます面白くなってきました。
何気にハマってます…。
続きを強く、強く!楽しみにしています。
まことんさん、こんばんはー!
返信削除中世風の建物とか服とかは、MTS様とかTSR様とかMS3B様とかで、『Medieval』ってキーワードで検索すると、ざくざく出てきますよ!
特に、MTS様の「Challenge Themes」のところは、中世風のお題にチャレンジしたCC類の特集で、ここにだいぶお世話になりましたよー。
裸は、マスターコントローラーの「服装を選ぶ」?でしたっけ・・・CAS画面に入らずに、即、服装を変更できるコマンドの中に、「裸」というのがあるので、調子に乗ってやっちゃいました(^-^;)ゝ
なんだか・・・本編ではあんまり恋愛くささがなくって、いちゃいちゃするシーンもほとんどないんで、ここぞとばかりにストレス発散ですよ!!(笑)
物語ですが、クリスはとにかく世間知らずです。
もう、ただそれだけ。
周りのことが見えないし、見ようともしないんですよ。
両親のことも、アーネストやユージンのことも煙たく思っていて。
いろいろなしがらみから逃げようとしてるんだけど、クリス自身は、逃げてるなんて思ってません。
むしろ、自分が選んだ女性と結婚する、ということに満足感さえ抱いてるんです。
破滅への道をまっすぐ進んでます。
この話・・・最初っから詳しくやっていったら面白かっただろうなぁ。