夜も更け、既に明け方近くになっていました。
けれども誰もアクビ一つせず、エリックの話に耳を傾けていました。
「・・・橘花、君は私の見立て通りだ。彫刻家として、この街で有名になりつつある。だから、君にこの家を継ぐ資格がある、と私は判断した。ここは・・・君のものだよ。橘花。」
「おじさんのものじゃ・・・ないの?」
「私は、ここの管理を任されているだけだ。まぁ、チャールズの時代から、何回かは建て直しているが、この土地は、クレメンタイン家のものなんだから。」
「・・・けど・・・急にそんなこと言われても・・・。」
「ワタシ、ホントにチャールズ・クレメンタインの子孫なの?今まで、この家を貰い受ける資格のある人は、いなかったの?」
「いや、何人かいたさ。もちろん君の系譜に繋がる人物だけどね。しかし・・・その誰もが、チャールズの像を作るまでには至らなかった。君が初めてだよ。代々の記録を読み返す限り、ここまでアーネストの遺言に近い人物は!」
「えー・・・。」
と、エリックが熱弁していた頃、外に不審な人物の影が・・・。
「ん~・・・ここかな?」
「こんな時間なのに、灯りがついてるぞ。ラッキー、ラッキー♪」
「橘花、いるかなー?」
こんな夜更けにお客さんです。
「ん?誰か来た?こんな時間に・・・?」
「誰だ?」
左京が出てみると、見たことのない男性が玄関先に立っていました。
「どなたですか?」
「あのー・・・柑崎橘花の家ですよね?ここ。」
「はぁ。橘花ちゃんの知り合い?」
「僕は柑崎圭介。橘花の父親です。」
「橘花ちゃんのお父さん?」
「・・・ってか、左京だよね?佐土原左京。」
「ええ。」
「ふ~む・・・。橘花のヤツ、なかなかやるもんだ!」
「え?」
「ま、ここじゃなんだし・・・入ってもいいかな?」
「ええ。実は今夜、みんな起きてるんですよ。」
「なんだ、なんだ?季節はずれの百物語かい?僕も混ぜてくれよ!」
「・・・?とにかく中へ・・・。」
この人は橘花の父、柑崎圭介。
海外に取材旅行に出ていたが、久しぶりにこの国に戻ってきて、ついでに、ほったらかしにしていた橘花に会おう、とツイン・ブルックにやってきたのでした。
「誰が来たのかな?」
「こんな時間になぁ。」
「左京?誰?」
「ああ。橘花ちゃんの・・・。」
「はーい。橘花。久しぶりー。」
「パパ!?」
「はい。パパです。」
「どうしたの!?いつ帰ってきたの?」
「さっき。カスケード・ショアーズに帰るより、こっちの方が近かったからさぁ。ついでにお前の顔、見ていこうと思って。」
「もうっ!急なんだから・・・電話くらいしてよ。今日はたまたま起きてたけど、もし寝てたらどうすんのよ。」
「まぁ、その時はその時・・・って、なんでみんな起きてんの?ホントに怪談でもやってたのか?」
「怪談・・・みたいなもんかもしれないけど・・・。」
そこへ、パパの声を聞きつけたエリックがやってきました。
「やぁ!圭介さん。お久しぶりです。」
「んんっ・・・?」
「ああっ!お前は・・・エヴァンスっ!なんでこんなとこにいるっ!?」
「ご挨拶だなぁ。20年振りだっていうのに・・・。言ったでしょ?橘花を迎えに行く、って。」
「お前・・・あの話、してたのか?無駄に長い昔話。」
「パパ・・・おじさんを知ってるの・・・?20年前・・・?」
「そうさ!こいつ、突然ウチにやってきて、お前の母親に会いに来たとか言って、家に上がりこんで、延々とチャールズ・クレメンタインだかの話して・・・。」
「パパ、知ってるの?クレメンタインの話・・・。」
「ネタになるかと思って聞いてやったんだよっ。けど、話しが完結してないからさぁ。橘花が大きくなったら完結するかもしれないから、迎えに来るとかなんとか・・・。」
「まだ完結していませんよ。」
「どんだけ長いんだ・・・。その話・・・。」
「まだまだ。橘花が完結させてくれるんですよ。」
「時に・・・お前、相変わらず老け顔だなぁ。20年前と全然変わってないってどうなの?」
「ほっといてくれ。」
「・・・なぁ、俺ら、なんか、寂しいよな・・・。」
「ボクは別に寂しくないけど・・・。」
「・・・せめてカメラに写りにいかない?」
「そのくらいなら付き合うけど・・・。」
なぜか固まっている二人です(笑)
「ねぇ。20年前・・・何があったの?(・・・なんで二人とも、あんなトコに立ってんだろう・・・?)」
「その話、したいけど、眠くって・・・。」
「泊まっていく?」
「部屋はあるの?」
「どうかな?これだけ住人がいたら・・・。」
「・・・なんでお前が返事する?」
「私も、今夜は泊めてもらうとするかな。まだ話さなければいけないこともあるし・・・。」
エリックも泊まることにしたようです。
「あ、おじさん。よかったら俺のベッド、使いなよ。」
「え?いいのかい?君はどうするの?」
「俺、こいつと一緒に寝るから。な。ロッタ。」
「うん。あたしはいいよー。」
「そうか?悪いね。」
「じゃ、遠慮なく・・・。」
こうして、長い夜がようやく終わりました。
自分が、チャールズ・クレメンタインの子孫であると知った橘花。
どんな夢を見ているのでしょうか・・・。
橘花のパパ、カッコいいです♪
↑これは若い時。
カッコいいというか・・・めっちゃプレイヤー好みです(^_^;)ゝ
この人、実はシムズ3を買って、初めて作ったシムの改良版なんです。
好きな俳優さんをモデルにして作ったんだけど、最初はリアルに作りすぎて、改良に改良を重ねたらこうなりました。
左京よりちょっと年上で、すっごいお茶目な性格って設定です。
このユーザーメイドの髪型、DLするのにちょっと苦労しました・・・。
ようこそ、いらっしゃいませ!
こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。
*改めてごあいさつ*
長きにわたり、放置していてすみませんでした。
いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。
やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。
「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。
本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。
お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。
~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~
主役ふたり、やっと揃いました。
Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか
最終更新日 2015.04.03
*改めてごあいさつ*
長きにわたり、放置していてすみませんでした。
いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。
やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。
「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。
本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。
お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。
~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~
主役ふたり、やっと揃いました。
Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか
最終更新日 2015.04.03
木曜日, 11月 25, 2010
金曜日, 11月 19, 2010
クレメンタイン・クロニクル(その7)
クリスが亡くなった後、すっかり気を落としたチャールズは、ある日、アーネストとキャロルを呼び寄せた。
「二人とも・・・話しがある。聞いてくれるか?」
「なんですか?おじさん。」
「この家もすっかり寂しくなった・・・。」
「ええ・・・。」
「このことは・・・ずっと考えていたことだったんだが・・・アーネスト・・・この家に、養子に入ってくれないか?」
「・・・え?」
「私にはもう・・・跡継ぎもいない。出来ることなら養子になり、キャロルと結婚して、私の事業と、家を継いでくれないだろうか・・・?」
「おじさん・・・それは・・・。」
チャールズの申し出に、アーネストは戸惑った。
正直、クリスが自殺した遠因は、自分にあるのかもしれない、と考えていた。
自分がチャールズの事業の手伝いなどせず、もっとクリスの傍にいたなら、こんなことにはならなかったかもしれない。
そんな自分がチャールズの養子になることは、たとえチャールズが強く望んだとしても、してはならないことだ。
「おじさん・・・僕は・・・おじさんの養子になることは出来ません。」
「なぜだ!?アーネスト。君は私の事業を立派に継ぐ腕を持っている!・・・いや、もう既に私の後継は君だ、と周りも認めている。・・・頼む・・・アーネスト。私をこれ以上悲しませないでくれ・・・。」
「いえ・・・おじさんの事業は・・・継ぎます。この家にも・・・住まわせていただけるなら、残ります。けど・・・。」
「けど・・・クリスの子供は・・・生きています。」
「・・・なに!?」
「ええ・・・。確かに行方は知れません。でも、家を捜索しましたが、子供の姿は・・・なかったんです。」
シンディーが家を出ようと考えて、子供をどこかに預けたものか、それともクリスが事前に子供を遠ざけたのか、それは分からない。
しかし、どんなに探しても、子供の姿は見当たらなかった。
だから、アーネストは、子供が・・・ジュディは生きていると信じていた。
クリスの子供が生きているのに、自分が養子に入ることなど、到底出来ない。
「僕はクリスの子供を捜します。どんなに時間がかかっても、必ず探し出します!それが・・・僕に出来るクリスへのたった一つの償いだから・・・。」
「アーネスト・・・お前、そんなことを考えていたのか・・・。」
「キャロルとのことは・・・キャロルの気持ちもあるから、少し時間をください。」
「アーネスト・・・。」
「うむ・・・無理強いは出来ないな。しかし・・・お前が事業を継いでくれると言ってくれただけでも、安心した。」
チャールズが、キャロルとの結婚を勧めてくれたことが、アーネストには嬉しかった。
しかし、キャロルはクリスのことで傷ついている。
そんな彼女が、自分との結婚を承諾してくれるのか・・・アーネストは正直、自信がなかった。
「この湖の周囲にすべて護岸工事を施して、向こう側にダムを作る計画なんだ。」
「すごい・・・。何年かかるの?」
「そうだな・・・。すべてが出来上がるまで、10年・・・20年はかかるかもしれないな。」
「・・・キャロル。おじさんが言ってたことなんだけど・・・。」
「ストップ!アーネスト。」
「え?」
「私は・・・今度こそ本当に、実家に戻らなきゃいけないわ。」
「キャロル・・・。」
「・・・そしてね。そこからあなたに嫁ぐの!」
「キャロル!」
「ふふっ。びっくりした?」
「ああ!驚いた!君、なんで・・・?」
「私・・・あの家に長くいすぎたわ。もう、出て行くなんて考えられないの。・・・おじ様から・・・言われていたの。アーネストと結婚して、この家に残ってくれないか、って。」
「そうだったのか・・・。でも、君は・・・それでいいのかい?僕なんかで・・・。」
「アーネスト。私、言ったはずよ?『あなたのような人を愛せばよかった』って。いつしか・・・あなたの存在は私の中で大きくなっていったわ。クリスがいなくなった後も、あなたはいつも励まして、慰めてくれた・・・。」
「キャロル・・・。」
「もちろん、あなたがクリスの子供を捜したい、っていうのにも賛成よ。このままじゃ、おじ様が可哀想だもの。」
「ああ・・・。キャロル・・・嬉しいよ・・・。愛してるよ・・・。君を一生大事にする。ずっと・・・側にいてくれるかい?」
「もちろんよ!アーネスト!」
こうして、アーネストとキャロルは結婚し、クレメンタイン家で生活を始めた。
「これでいい・・・。しかし・・・なんと後悔の多い人生だ・・・。」
アーネストとキャロルの間には、5人もの子供が生まれ、そのうち二人は分家し、ツイン・ブルックの市長職を代々継ぐこととなった。
アーネストは、事業に精を出し、それ以上にクリスの子供を捜すことに尽力した。
「多くの後悔があったが・・・たった一つ、望みが叶うとするなら・・・クリスが私の像を完成させてくれるのを、見た・・・かった・・・。」
チャールズは多くの遺産と悔いを残し、クリスの子供が見つかるのを待つことなく、やがて亡くなった。
・
・
・
「・・・というのが、アーネストの日記に書かれている、このクレメンタインの家にまつわる話しさ。アーネストは長男にその日記を託し、代々伝わってきたというわけだ。私で五代目だよ。」
「・・・で、クリスの子供は?」
「アーネストは見つけたんだ。クリスの子供を。けど・・・見つけた時には、既に亡くなってたんだ。」
「え・・・じゃあ・・・。」
「しかしね、ジュディは子供を残していた。アーネストは次の代にその子供を探すことを託した。けど・・・ただ見つけ出すだけじゃダメなんだ。アーネストが残した遺言があってな。」
「なんだ?それは・・・?」
「すなわち・・・クリスの魂を継いでいる子孫を探せ、ということだよ。」
「なに?それ・・・。」
「クリスのように、芸術の才能に秀で、チャールズの像を作り、魔法をかけることの出来る子孫を探す、ということさ。それが『溶けない氷の像』という伝説の元になってしまったんじゃないかな?ツイン・ブルックに古くから伝わる伝説の。・・・そして・・・アーネスト・エヴァンスから五代・・・やっと私は見つけたんだ。・・・それが、君だよ。橘花。」
「・・・(なんでいきなり呼び捨て!?)」
橘花、突っ込みどころ、そこじゃないから・・・。
ようやくクレメンタインの過去話が終了です。
もうちょっと詳細に描写したかったんですが、SSの在庫が底をつきました・・・。
補足すると、チャールズが亡くなる前に、アーネストに遺言を残した、という設定です。
『事業はすべてアーネストに譲り、それ以外の資産は、クリスの魂を受け継ぐ子孫に譲る』
橘花は、クリスから数えると六代目です。
この話のためにわざわざ系譜まで作った自分って・・・orz
クリストファー⇒ジュディ(♀)⇒サイラス(♂)
⇒クラリッサ(♀)・チェルシー(♀)・サンディ(♂)・スタンレー(♂)(四人兄弟)
⇒カレン(♀)※クラリッサの娘
⇒橘花 ・・・ってな感じです。
次は、橘花のパパが出てきますよー。
「二人とも・・・話しがある。聞いてくれるか?」
「なんですか?おじさん。」
「この家もすっかり寂しくなった・・・。」
「ええ・・・。」
「このことは・・・ずっと考えていたことだったんだが・・・アーネスト・・・この家に、養子に入ってくれないか?」
「・・・え?」
「私にはもう・・・跡継ぎもいない。出来ることなら養子になり、キャロルと結婚して、私の事業と、家を継いでくれないだろうか・・・?」
「おじさん・・・それは・・・。」
チャールズの申し出に、アーネストは戸惑った。
正直、クリスが自殺した遠因は、自分にあるのかもしれない、と考えていた。
自分がチャールズの事業の手伝いなどせず、もっとクリスの傍にいたなら、こんなことにはならなかったかもしれない。
そんな自分がチャールズの養子になることは、たとえチャールズが強く望んだとしても、してはならないことだ。
「おじさん・・・僕は・・・おじさんの養子になることは出来ません。」
「なぜだ!?アーネスト。君は私の事業を立派に継ぐ腕を持っている!・・・いや、もう既に私の後継は君だ、と周りも認めている。・・・頼む・・・アーネスト。私をこれ以上悲しませないでくれ・・・。」
「いえ・・・おじさんの事業は・・・継ぎます。この家にも・・・住まわせていただけるなら、残ります。けど・・・。」
「けど・・・クリスの子供は・・・生きています。」
「・・・なに!?」
「ええ・・・。確かに行方は知れません。でも、家を捜索しましたが、子供の姿は・・・なかったんです。」
シンディーが家を出ようと考えて、子供をどこかに預けたものか、それともクリスが事前に子供を遠ざけたのか、それは分からない。
しかし、どんなに探しても、子供の姿は見当たらなかった。
だから、アーネストは、子供が・・・ジュディは生きていると信じていた。
クリスの子供が生きているのに、自分が養子に入ることなど、到底出来ない。
「僕はクリスの子供を捜します。どんなに時間がかかっても、必ず探し出します!それが・・・僕に出来るクリスへのたった一つの償いだから・・・。」
「アーネスト・・・お前、そんなことを考えていたのか・・・。」
「キャロルとのことは・・・キャロルの気持ちもあるから、少し時間をください。」
「アーネスト・・・。」
「うむ・・・無理強いは出来ないな。しかし・・・お前が事業を継いでくれると言ってくれただけでも、安心した。」
チャールズが、キャロルとの結婚を勧めてくれたことが、アーネストには嬉しかった。
しかし、キャロルはクリスのことで傷ついている。
そんな彼女が、自分との結婚を承諾してくれるのか・・・アーネストは正直、自信がなかった。
「この湖の周囲にすべて護岸工事を施して、向こう側にダムを作る計画なんだ。」
「すごい・・・。何年かかるの?」
「そうだな・・・。すべてが出来上がるまで、10年・・・20年はかかるかもしれないな。」
「・・・キャロル。おじさんが言ってたことなんだけど・・・。」
「ストップ!アーネスト。」
「え?」
「私は・・・今度こそ本当に、実家に戻らなきゃいけないわ。」
「キャロル・・・。」
「・・・そしてね。そこからあなたに嫁ぐの!」
「キャロル!」
「ふふっ。びっくりした?」
「ああ!驚いた!君、なんで・・・?」
「私・・・あの家に長くいすぎたわ。もう、出て行くなんて考えられないの。・・・おじ様から・・・言われていたの。アーネストと結婚して、この家に残ってくれないか、って。」
「そうだったのか・・・。でも、君は・・・それでいいのかい?僕なんかで・・・。」
「アーネスト。私、言ったはずよ?『あなたのような人を愛せばよかった』って。いつしか・・・あなたの存在は私の中で大きくなっていったわ。クリスがいなくなった後も、あなたはいつも励まして、慰めてくれた・・・。」
「キャロル・・・。」
「もちろん、あなたがクリスの子供を捜したい、っていうのにも賛成よ。このままじゃ、おじ様が可哀想だもの。」
「ああ・・・。キャロル・・・嬉しいよ・・・。愛してるよ・・・。君を一生大事にする。ずっと・・・側にいてくれるかい?」
「もちろんよ!アーネスト!」
こうして、アーネストとキャロルは結婚し、クレメンタイン家で生活を始めた。
「これでいい・・・。しかし・・・なんと後悔の多い人生だ・・・。」
アーネストとキャロルの間には、5人もの子供が生まれ、そのうち二人は分家し、ツイン・ブルックの市長職を代々継ぐこととなった。
アーネストは、事業に精を出し、それ以上にクリスの子供を捜すことに尽力した。
「多くの後悔があったが・・・たった一つ、望みが叶うとするなら・・・クリスが私の像を完成させてくれるのを、見た・・・かった・・・。」
チャールズは多くの遺産と悔いを残し、クリスの子供が見つかるのを待つことなく、やがて亡くなった。
・
・
・
「・・・というのが、アーネストの日記に書かれている、このクレメンタインの家にまつわる話しさ。アーネストは長男にその日記を託し、代々伝わってきたというわけだ。私で五代目だよ。」
「・・・で、クリスの子供は?」
「アーネストは見つけたんだ。クリスの子供を。けど・・・見つけた時には、既に亡くなってたんだ。」
「え・・・じゃあ・・・。」
「しかしね、ジュディは子供を残していた。アーネストは次の代にその子供を探すことを託した。けど・・・ただ見つけ出すだけじゃダメなんだ。アーネストが残した遺言があってな。」
「なんだ?それは・・・?」
「すなわち・・・クリスの魂を継いでいる子孫を探せ、ということだよ。」
「なに?それ・・・。」
「クリスのように、芸術の才能に秀で、チャールズの像を作り、魔法をかけることの出来る子孫を探す、ということさ。それが『溶けない氷の像』という伝説の元になってしまったんじゃないかな?ツイン・ブルックに古くから伝わる伝説の。・・・そして・・・アーネスト・エヴァンスから五代・・・やっと私は見つけたんだ。・・・それが、君だよ。橘花。」
「・・・(なんでいきなり呼び捨て!?)」
橘花、突っ込みどころ、そこじゃないから・・・。
ようやくクレメンタインの過去話が終了です。
もうちょっと詳細に描写したかったんですが、SSの在庫が底をつきました・・・。
補足すると、チャールズが亡くなる前に、アーネストに遺言を残した、という設定です。
『事業はすべてアーネストに譲り、それ以外の資産は、クリスの魂を受け継ぐ子孫に譲る』
橘花は、クリスから数えると六代目です。
この話のためにわざわざ系譜まで作った自分って・・・orz
クリストファー⇒ジュディ(♀)⇒サイラス(♂)
⇒クラリッサ(♀)・チェルシー(♀)・サンディ(♂)・スタンレー(♂)(四人兄弟)
⇒カレン(♀)※クラリッサの娘
⇒橘花 ・・・ってな感じです。
次は、橘花のパパが出てきますよー。
登録:
投稿 (Atom)