どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

火曜日, 5月 10, 2011

晴れの日

クレメンタイン記念館の、落成式典が行われるその日、ツイン・ブルックは快晴だった。

「天気が良くってよかったな!」
「うん!」

圭介と橘花は、早朝にカスケード・ショアーズを発ち、昼前にはツイン・ブルックに到着した。
今日から一般公開、ということで、式典の出席者だけでなく、既にかなりの人で賑わっている。
「エリックのやつにしては、なかなかいい建物じゃないか!」
「ね、早く中に入ろうよ。中、見てみたい。」
「そうだな!」

「ふふ。でも、ホント立派な建物!」
「ああ。場所もいいな。」

街の中心からほんの少し離れた、学校の目の前。 繁華街ではないが、隣りにはバーがあり、集客を見込める場所だ。

「あ!エリック、いるよ?」
「ホントだ。からかってやろう!」

記念館の入り口で、エリックが待ち構えていた。
ここは、橘花の進言で建てた記念館。いわば、今日の主役は橘花なのだ。
「よっ!エリック。久しぶりだなぁ。肥えたか?」
「圭介さん!ようこそ!!」

「なんだ?お前。その格好。」
「今日は落成記念式典ですから!」

「帽子、やめろって。帽子。」
「・・・トレードマークなんですよ・・・。」

「しかし・・・圭介さん、本当に久し振りです。」
「20年に比べたらたいしたことないだろ?」
「確かに!」

「エリック!」
「橘花ちゃん・・・。また一段とキレイになって・・・。私の嫁に・・・。」
「残念!売約済みなの。」
「・・・そうだったね・・・。」

「招待状、ありがとう。」
「招待状なんて!本来なら、君がホストなんだよ?」
「ワタシ?だって、建てたのは事業団でしょ?」

「だから・・・君は、本来なら事業団のトップにいるべき人物なんだから!」
「そんなのイヤよ。」

「今日は、ゲストとして楽しみに来たの!」
「そうだな!橘花。時間もないし、見て回ろう!」

「時間?」
「日帰りの予定だから。」
「ゆっくりしていくんじゃないのかい?」

「うん。ゆっくりするのは今度ね!」
「残念だなぁ・・・。」

何日か滞在しても構わないのだったが、ここを見て、そして原稿を早く仕上げたい、と圭介が言ったのだ。
だから、式典に出席したら、すぐにカスケード・ショアーズに戻るつもりだった。

「お前、一人でゆっくりしてってもいいんだぞ?」
「ううん。パパと一緒に帰るよ。」
「みんなと会わなくていいのか?」

「ギルに電話したから。ここに来るよ。」
「そっか。」

「しかし、ここ・・・。」
「うん・・・。」

圭介も橘花も、二人とも、同じ思いだった。
白い壁に眩いライトがあたり、そこに並んだクリスの絵・・・。
あの地下室を再現したような内装だった。

「・・・。」

絵が飾られた室内の内側には、ガラスで仕切られた通路があり、

そこを通って、建物の中核に進むと、
「・・・チャールズ。」

そこは、クレメンタイン家の墓標になっていた。

「チャールズ。これで・・・いい?」

チャールズとクララ、そして地下室に置かれていた粗末な石の下から掘り出した、クリスのものと思われる小さな骨壷をここに移し、安置してあった。

「チャールズ。ここなら安心して眠れるでしょ?」


「・・・クリス・・・。」

「ねぇ、クリス。ワタシ・・・素敵な人に愛されてるのよ。あなたみたいに情熱的で、真っ直ぐな人なの。
ワタシは、彼の愛に全力で応えるわ。悲しい結末なんか・・・あなたは望んでないでしょ?」

墓標に、クリスの笑顔が浮かんだような気がした。
誰よりも幸せを望んだクリスの為にも・・・自分は精一杯手を伸ばして幸せを掴み取ろうと、改めて誓った。
ここで・・・永遠に、多くの人々に見守られながら、眠って欲しいと、そう願っていた。

「・・・しかし、改めて見ると・・・。」

「・・・やっぱりすごいな・・・。」

圭介は、クリスの絵に圧倒されていた。
クリスが生きていた時代には認められなかったが、今なら、その才能は間違いなく世間に認められる。
死後、才能が認められるというのは、芸術家にはよくあることだったが、これで、クリストファー・クレメンタインの名前は、世界中に広まるだろう・・・と圭介は思っていた。

「橘花!」

背後から名前を呼ばれて、橘花は心が浮き立った。
振り向かなくても分かる。
懐かしい声だ。
「ギル!」
「久し振りだなぁ。おい。元気か?」
「うん!」

「お前、なんかキレイになったなぁ。」
「別になってないよ!」

「知ってるか?」
「ん?」
「女は、オーガズムを知ると、キレイになるんだぜ?」
「おー・・・。」

「そんなの知らないよっ!」
「知らないのか?」

「左京はイカせてくんないのか?」
「・・・よくわかんない・・・。」

「あ~・・・ダメだなぁ。アイツ。自分ばっかり楽しんでやがるな?
左京は?ちょっと説教してやる。」
「左京はね、今日はライブがあるから来れないの。・・・ね、ロッタは?」

「ロッタなぁ・・・なんか今頃になってつわりがひどくってさ。もう安定期に入ってるはずなんだけどなぁ。」
「大丈夫なの?」
「ちょっと出歩いた方がいいって言ったんだけど、歩くのも億劫そうだったから、寝かせてきた。」
「ん~・・・残念。会いたかったなぁ。」
「あいつも、お前に会いたいって言ってた。」

「泊まって行かないのか?」
「今日はね、これが終わったら帰るの。泊まるんなら、左京も一緒の時の方がいいし。」
「そっかぁ。」

「そうだな。また二人でゆっくり来いよ。」
「うん。」

以前と変わらない、ギルの優しい笑顔を見て安心した。
ロッタに会えなかったのは残念だったが、それでもギルの顔を見れば、二人はうまくやっている、というのが分かった。

「へぇ。ここ・・・。」

一面に絵が飾られた一階のフロアの上は、打って変わって静かな場所だった。
「二階は図書館か?」

ここに、ツイン・ブルックの歴史を始めとする文献を置き、チャールズ・クレメンタインの功績を知らしめよう、としているのだろう。
「僕の本も・・・書きあがったら置いてもらえるかな?」

ほんの短い時間の滞在だったが、圭介の中で、物語が完結した。
あとはそれを、文章に起こすだけだ。
早く書きたい・・・。
こんなにうずうずとするのは、初めてだった。

「橘花!」
「あ。」

「おお!ダニエルくん。君も来たのかい?」
「あ。おじさん。」

「誰がおじさんだ・・・。・・・ったく。」
「ね、ギルと一緒に来たの?」
「うん。今日、休みだし、お前に会えると思ってさ。」

「元気でやってる?まだクレメンタインハウスにいるの?」
「うん。俺・・・せっかくお前に遺産分けてもらったけどさ・・・俺が住んでた家、もう人手に渡ってるし・・・。」
「買い戻さないの?」

「う~ん・・・。お前には悪いんだけどさぁ・・・。なんか・・・そういうんじゃないような気がして・・・。」
「うん。」

「なんか、今ならさぁ・・・あの時お前が、遺産なんかいらない、って言った意味が分かるような気がして・・・。」
「ふふっ。」

「でしょ?」
「うん・・・。」

「ワタシには、大事なものが他にあるし、降って湧いたような遺産なんかね、いらないの。
・・・最初っからお金持ちの家に生まれてたら、考えも違ったかもしれないけど。」
「そうかぁ・・・。」

「やっぱさぁ・・・。」
「なに?」

「お前、いい女だよなっ!」
「なぁに?それ?」

『いや・・・ホントにいい女だよ。橘花・・・。』
左京になんか渡したくない、と思っていた。
今もそう思う。
同じ男として、橘花の愛を得た左京は、どれほど幸せな気分なのだろうか、と思う。
ダニエルも・・・

そして宗太も、まだ橘花を思い続けているのだ。

「あ。電話だ。」
「じゃ、後で。」
「うん。」

「もしもし。・・・あ。左京?」

「ライブは?今から?・・・うん!ギルに会ったよ~。ダニエルにも!」

「今日中にカスケード・ショアーズに帰るから!すごいの!写真撮って帰るね!」

「・・・うん。うん。・・・早く会いたい・・・。」

ライブ前のほんのわずかな隙を縫って、左京が電話をくれた。
それが、なんだか嬉しい。
そして、いつにも増して、左京の顔が見たくて仕方がなかった。
「早く・・・帰りたいな・・・。」

カスケード・ショアーズに・・・ではなく、左京の腕の中に帰りたい、と思っていた。
自分が帰る場所は、もうどこでもない。
左京の笑顔がある、その場所こそが、帰るところになっていた。

「橘花さん!」
「宗太くん!」

「元気そう!仕事は?ちゃんとやってる?」
「もちろん!」

「お父さんは?」
「今日は来られないの。会いたかった?」
「お父さん・・・電話一本寄こさないんだもの。」

「あ。ワタシ、言っとくね。たまには宗太くんに連絡入れるようにって。」
「忙しいのは分かってるから、別にいいんだけどさ。」

「それより・・・泊まっていけないの?」
「うん。残念だけど、今日は帰るわ。」

「そうかぁ・・・。」


式典が始まる時間が迫り、エリックが橘花を呼びに来た。
「橘花ちゃん。そろそろ時間だ!」
「うん。行くわ。」

「本当なら、君に一言貰いたかったんだけどなぁ。」
「だからそんなのイヤだってば!」

「仕方ないなぁ・・・。おかげで私が演説するはめになったよ。」
「いいじゃない!・・・あ、でもスピーチは短めにね!」

そんな話をしながら、エリックと橘花が行ってしまったあと、宗太はその後ろ姿をじっと見つめていた。
それは、ダニエルも同じだった。
「ダニエルさん・・・。」

「ん?」
「ボクさ・・・しばらく会わなかったら、橘花さんへの気持ち、薄れるかもしれない、って思ってたんだ。」
「うん。」

「でも・・・今日、会って、思った。」
「なに?」

「なんか・・・前より好きかも・・・。」
「お前、そりゃあ、俺も同じだよ。」

「だってあいつ・・・すっごくキレイになってないか?」
「うん。キレイだった・・・。ボクたち・・・このまま変わらないのかなぁ。」

「そうかもしんないなぁ。」
「参っちゃうな・・・。」
「・・・俺ら、不憫だよなぁ・・・。」

いつまで橘花のことを思い続けるのだろう。
思っても思っても叶わないことだと分かっているのに、けれど、だからこそ強くなる想い。
それがすぐに終わるものなのか、一生続くものなのか、誰にも分からなかった。

「やっぱ、式典なんて、退屈なだけだったなぁ。」
「招待状もらったから来たけど・・・普通の日に来ればよかったね。」

式典に出席し、酒席を断って、圭介と橘花はカスケード・ショアーズへの帰路を辿っていた。
「でもさ!これで本が完成する!」
「帰ったらすぐ、最終章、書くんでしょ?」

「そ!だからしばらく、左京と遊んでやれなくなるなぁ。」
「・・・左京は遊んでもらってるって思ってないよ?」

「えっ!?あんなに一生懸命遊んでやってるのに!?」
「からかってるだけじゃない!」

「それに、もうすぐツアー、終わるし。」
「そしたら・・・結婚かぁ・・・。」

「・・・聞こうと思ってたんだけどさ。」
「なぁに?」
「式、どうすんの?」

「式?」
「しないの?」
「別に考えてないよ。左京もなんにも言わないし。」

「きっとね。ツアーが終わったらすぐに来て、で、すぐに役所行こうって言うわ!」
「・・・そんな男だな・・・アイツは・・・。」


そして時間は流れ・・・


左京のライブツアーの、全日程が滞りなく終了した。







ブログの不調で、一時はどうなることかと思いました!
途中まで書いてたのが消えたらどうしよう・・・とか思ってたけど、
レイアウトが崩れてただけで、無事でした(^-^;)

さ。
大詰めでございますよ~!!

2 件のコメント:

  1. ユズさん.:+:.::.:+:(,, ・∀・)ノ゛コンニチハー.:+:

    とってもステキな建築でした。。。
    地下の再現かぁ~すごいです。
    橘花ちゃんがお墓に話しかけてるときなぜか解らないけど
    鳥肌がサーーって立ちました。
    神秘的な何とも言えない風が流れていきました。
    それはやっぱりユズさんの表現力ですよね。

    パパはやっと最終章を書けるのですねっ!
    そして遊んでもらえないw左京は大喜びw

    式・・しない?!
    いやいやいや、きっと素晴らしい事を考えてくれているっ!
    左京はきっとそうなんだっ☆
    ロマンチックなところもあるし・・ねっ!

    っと、キッパリハッキリのお返しで言ってみましたwww
    楽しみにしていまぁす☆

    返信削除
  2. ぽよ~んさん、こんばんは!!
    やっと記念館が完成しましたよ~(^o^)
    地下室の再現なので、真っ白な建物にしたかったのですよ~。
    これであとはパパが原稿を完成させれば、クレメンタインの物語は完結です!
    ・・・ま、次回にはもう完成しちゃうんですけどね(^_^;)ゝ

    もう、話しが予定話数を大幅に超えちゃってるので、あと二回か三回で終わりです!!
    式?うふふふ~左京は考えてないですよ!!
    橘花ももちろん考えてないけど~。
    ・・・ということは・・・誰が考えてるんでしょうねぇ~www
    えへへっ☆お分かりですね?
    感動的・・・かなぁ。
    笑っちゃうかな?泣いちゃうかな?
    楽しみにしててくださいね~(*^-^)/~~~

    返信削除