
カスケード・ショアーズの柑崎家を訪ねてきた、エリック・エヴァンス。
数年前に亡くなった父の遺言と、アーネスト・エヴァンズという自分の祖先が書いたという古い日記を手がかりに、クレメンタインの系譜を辿っていた。
そして行き着いたのが、クラリッサ・ノーランドという名前だった。
「あの・・・すみません。」
「ん?」

訪ね当てたクラリッサは、しかし既に亡くなっていた。
だが、彼女には娘がいて、このカスケード・ショアーズに嫁いでいると聞き、ここまでやってきたのだった。
「あの・・・こちら、カレン・ノーランドさんのお宅では?」
「カレン?カレンは僕の妻ですが・・・。」

「ホントに!?やった!やっとここまで・・・。」
「去年、亡くなりましたがね。」
「え・・・。」

「そんな・・・やっとここまで来たのに・・・。」
「妻に何か?あなた、どなたで?」
「ええ・・・。私は・・・。」

「まさか・・・昔のオトコとかそういうんじゃ・・・。」
「違います!違います!ある事情があって・・・カレンさんを探していたんです。」

「ある事情?」
「ええ・・・。しかし、亡くなられたのなら、もう・・・。」
「・・・その話、面白い?」
「え?」
「面白い?面白くない?」

「・・・まぁ、聞き応えはありますよ!」
「ふぅ~ん。・・・僕は柑崎圭介。あなた、名前は?」
「エリックです。エリック・エヴァンズ。」

「お茶くらい出すからさぁ。その『事情』ってヤツ、聞かせてくんない?」
「はぁ。」

何のためにエリックとやらが、亡くなった妻を訪ねてきたのか、圭介には分からなかったが、その話しが聞く価値のあるものなら、ぜひ聞いてみたかった。
圭介は駆け出しのジャーナリストだったが、妻を亡くし、仕事を辞め、物書きで身を立てようと思っていた矢先だったので、ネタが欲しかったのだ。
「いいんですか?」
「ま、入ってよ。男所帯だから散らかってるけど。」

カレンが亡くなったと知って、エリックは気落ちしていた。
また最初から調査のしなおしか・・・と思うと、今からツイン・ブルックに帰るのも億劫だったし、この街で、どこか泊まれるところを探そうと思っていた。
『いざとなれば、ここに泊めて貰うか・・・。語れば一晩かかる話だしな。』

エリックは、圭介に誘われるまま家に入った。
そして、そこで・・・見てしまった。
「・・・柑崎さん・・・。」
「ん?なに?」
「あの・・・その子は・・・?」
「ああ。そいつ、カレンの忘れ形見。」

「カレン・・・さんの・・・。」

「子供・・・。子供がいたのか・・・!」

「ああ・・・神様・・・。系譜は・・・途絶えていなかった・・・。」

柑崎橘花。
まもなく1歳になるという頃、エリックは彼女と出会った。

こんな感じで、橘花はエリックと出会いました。
もうちょっと過去話続きます。